もし家族の中に「少し働いている人」がいたら、その人の所得税をグッと減らせるチャンスがあるって知ってますか?それが「配偶者特別控除」という制度。家計を少しでも楽にしたい、税金で損したくないなら、この記事を読めば、その仕組みと活用法がスッキリわかりますよ。
- 配偶者特別控除は、パートナーが 少しは働いている ときに親の税金を減らせる制度
- 対象は配偶者の所得が 一定額以下 の場合で、扶養控除と使い分ける
- 申告することで 数万円〜数十万円 の節税になる場合もある
もうちょっと詳しく
配偶者特別控除が生まれた背景には、「働き手が少ない時代に、家族の力を大事にしたい」という国の考えがあります。昔のように「妻は家にいるもの」という時代ではなく、今は夫婦で少しずつ働きながら生計を立てる家庭が増えてきました。そんな中で、パートナーが働いても税金の負担を減らしてあげることで、家族がもっと自由に働き方を選べるようにしようというわけです。つまり、この制度は「夫婦で柔軟に働ける社会」を応援する、国からのプレゼントだと言えます。
配偶者特別控除は「パートナーが働いている」ことが前提。働いていない人には使えません
⚠️ よくある勘違い
→ 所得が一定を超えると、その控除が段階的に減っていき、最後には使えなくなります。上限があるんです。
→ 正確。所得が低いほど控除が大きく、増えていくにつれて控除額が小さくなっていく仕組みです。
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配偶者特別控除とはどういう制度なのか
簡単に言うと、パートナーが働いている人のための税金対策
配偶者特別控除は、ものすごく簡単に説明すると「パートナー(配偶者)が少し働いているときに、その人が納める所得税を減らしてあげる制度」です。
想像してみてください。たとえば、お父さんが会社で働いて、お母さんがパートで週3日働いているような家庭。そういう状況で、国が「お母さんの収入が少ないから、お父さんの税金をちょっと減らしてあげようね」と言ってくれるようなものです。
「税金を減らす」というのは、つまり「今年納める税金が少なくなる」ということ。年間で数万円、多いときは数十万円の差になるので、家計にとっては結構大きいですよ。
扶養控除とは違う仕組み
配偶者特別控除と似た制度に「配偶者控除」や「扶養控除」というものがあるので、ここでちょっと整理しておきます。
**配偶者控除**は、パートナーがほぼ働いていない場合(所得が48万円以下)に使う制度です。昔の「妻は家を守る」という時代の名残で、働いていない人を支える仕組みなんですね。
一方、**配偶者特別控除**は、パートナーが「少しは働いている」けど「まだ収入が限られている」という人向け。所得が48万円を超えて133万円以下なら、この制度が役に立つわけです。
つまり、パートナーの所得によって「配偶者控除を使うか」「配偶者特別控除を使うか」を判断するということ。どちらかを選ぶわけではなく、条件によって自動的に決まると考えてください。
誰が対象になるのか
配偶者特別控除の対象になるには、いくつか条件があります。
まず大事なのは「配偶者がいること」。つまり、法律上の結婚をしていないと対象になりません。
次に大事なのが「配偶者の所得の額」。この所得というのは、給料から基本的な控除(給与所得控除と言います)を差し引いたあとの金額のこと。つまり、パートで年間100万円稼いでいても、控除を差し引くと所得は55万円くらいになる、みたいな計算です。
さらに、「その年の給与所得控除が75万円以下」という条件もあります。これは「あんまり稼いでない人」という意味ですね。目安としては、パートやアルバイトで年間130万円〜150万円程度までが対象だと考えておくといいでしょう。
申告しないと制度が使えない
ここで重要なポイントがあります。配偶者特別控除は「申告すること」が条件なんです。つまり、自動的に税金が減るわけではなく、「この制度を使いたいです」と税務署に届け出なければならないんですよ。
これは、毎年2月や3月に行う「確定申告」という手続きのときに、配偶者特別控除の申告欄に記入することで実現します。会社員の人なら「年末調整」という会社での手続きで対応することもできます。
つまり、「知らなかった」では済まされません。きちんと申告しないと、せっかく使える制度を使えずに、多く税金を払ってしまう可能性があります。
扶養控除との違いを詳しく理解しよう
2つの制度の使い分けポイント
配偶者関連の控除には「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2つがあります。どちらが使えるかは、配偶者の所得次第です。
配偶者控除は、配偶者の所得が48万円以下のときに使えます。これは「ほぼ働いていない」という想定。給料で言うと、年間103万円以下が目安です。もし配偶者がこれ以下なら、配偶者控除が使えて、その人の親の税金が減ります。
配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円を超えて133万円以下のときに使えます。つまり「少しは働いているけど、まだ限られた収入」という想定ですね。給料で言うと、年間104万円から201万円くらいまでが目安です。
ちょっとここで注意してほしいのは、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の両方を同時には使えないということ。どちらかを選ぶわけではなく、所得に応じて「この人はこちらが対象」と決まるわけです。
いくら税金が減るのか、具体的な計算
では、実際にいくら税金が減るのか、例を出して説明しましょう。
配偶者控除の場合、配偶者の控除額は38万円です。これは「税金を計算するときに、配偶者の所得から38万円を引いてから計算しますよ」という意味。給与所得税の税率が約10%だとすると、約3万8,000円の税金が減ります。
配偶者特別控除は、配偶者の所得が高くなるにつれて、控除額が段階的に減っていきます。所得が48万円を少し超えたくらいなら、まだ38万円に近い控除が受けられます。でも、所得が75万円、100万円と増えていくにつれて、控除額は36万円、34万円、32万円…というように減っていって、最終的には0になります。
つまり、所得が増えるほど「税金の優遇が減っていく」という仕組みなんです。これは「働くのが損になってはいけない」という配慮なんですね。パートナーが多く働けば働くほど、その人自身の給料は増えるけど、親の税金控除は減っていく。そのバランスを取ろうという制度設計です。
扶養者がいる場合の扶養控除との関係
ここでさらに混乱しやすいのが「扶養控除」です。これは配偶者の話ではなく、子どもや親など「自分が養っている家族」に関する控除です。
たとえば、お父さんが子ども2人を養っている場合、その子どもたちそれぞれに対して「扶養控除」が使えます。1人につき38万円(16歳以上)の控除ですね。これも「税金を減らす」仕組みですが、対象が「配偶者」ではなく「その他の家族」という点で異なります。
つまり、配偶者特別控除と扶養控除は「別の制度」だと考えてください。両方同時に使うこともできます。お父さんが「配偶者特別控除を使いながら、子どもたちに対して扶養控除も使う」ということはありえるんですよ。
配偶者特別控除でいくら節税できるのか、詳しく計算してみる
控除額の表を読み解く
配偶者特別控除では、配偶者の所得によって控除額が変わります。これを表にすると、だいたいこんな感じになっています:
・配偶者の所得が48万円以下:38万円の控除
・48万円超50万円以下:36万円の控除
・50万円超52万円以下:34万円の控除
・52万円超54万円以下:32万円の控除
・54万円超56万円以下:30万円の控除
…というように、2万円ずつ下がっていって…
・90万円超92万円以下:2万円の控除
・92万円超95万円以下:1万円の控除
・95万円超:控除なし
つまり、配偶者の所得が95万円を超えると、配偶者特別控除は一切使えないということですね。
年間でいくら税金が減るのか
では、実際の節税額を計算してみましょう。
所得税の税率は、人によって異なります。ざっくりと、年間給料が500万円以下くらいなら「税率5%から10%」、という感じです。
たとえば、年間給料500万円の人が、配偶者特別控除で38万円の控除を受けたとします。その場合、「38万円 × 10% ≒ 3万8,000円」が節税額になります。
でも、年間給料が200万円くらいの人なら、「38万円 × 5% ≒ 1万9,000円」という計算になります。
さらに、住民税という地方の税金もあるので、実際の節税額はもう少し多くなります。所得税で3万8,000円、住民税で5,000円くらい減るイメージですね。つまり、合計で年間4万3,000円くらい家計が楽になるということです。
配偶者の所得が増えるにつれて、節税額も減っていく
配偶者の所得が50万円だとしたら、控除額は36万円に減ります。その場合の節税額は「36万円 × 10% ≒ 3万6,000円」となり、1,000円から2,000円減ります。
70万円だとしたら、控除額は20万円。節税額は「20万円 × 10% = 2万円」。
90万円だとしたら、控除額は2万円。節税額は「2万円 × 10% = 2,000円」。
という具合に、配偶者の所得が高くなるほど、その人の親が受けられる控除が減っていくんです。ただし、配偶者の給料が増えたら、その人自身の手取りも増えるので、トータルで考えると「働いて損」というわけにはならないようにバランスが取られています。
配偶者特別控除を申告する方法と注意点
確定申告と年末調整、どちらで申告するのか
配偶者特別控除を受けるには、「これを使いたいです」と税務署に届け出る必要があります。その方法は2つあります。
まず「確定申告」。これは毎年2月16日から3月15日くらいに、税務署で「今年の所得と税金を計算し直してください」と申告する手続きです。フリーランスや事業をしている人は必ずこれをしますが、会社員でも配偶者特別控除を受けるなら、この手続きが必要になることがあります。
次が「年末調整」。これは、会社員が12月にします。会社が「あなたの税金、これくらいですね」と計算し直してくれる仕組みです。配偶者特別控除を受ける人は、この年末調整の時点で「配偶者がいるので控除をください」と申告します。多くの会社員はこちらで対応できます。
つまり、会社員なら年末調整で大丈夫。フリーランスなら確定申告で申告するという感じですね。
申告に必要な書類と手続き
年末調整で申告する場合、会社から配られる「扶養控除等申告書」という書類に記入します。この書類に「配偶者がいる」「配偶者の所得はいくら」という情報を書き込むんです。
確定申告で申告する場合は、税務署から配られる申告書に、同じような情報を記入します。
ここで重要なのは「配偶者の所得がいくらなのか、正確に把握すること」です。給料をもらっている人なら、給与明細書を見ればわかりますし、給料以外の所得がある人なら、その金額を正確に計算しておく必要があります。
もし配偶者の所得が曖昧だったら、後で修正申告しなければならなくなります。最悪、「本来は使えない控除を使った」と指摘されて、税金を追加で払わされることもあります。だから、事前にきちんと計算しておくことが大事なんです。
配偶者の所得を正確に計算する方法
配偶者の所得を計算するには、「給料 − 給与所得控除」という計算をします。
給与所得控除というのは、給料をもらっている人なら誰でも使える控除。つまり、実際の給料が100万円でも、給与所得控除を差し引くと「所得」は55万円とかになっちゃうんですよ。
給与所得控除の額は、給料によって決まっています:
・給料が103万円以下:55万円の控除
・103万円超162万円以下:給料の10% + 7万5,000円
・162万円超:給料の20% + 11万2,500円
つまり、配偶者の給料が100万円なら、給与所得控除は55万円なので、所得は「100万円 − 55万円 = 45万円」。配偶者特別控除が使える対象になります。
給料が150万円なら、給与所得控除は「150万円 × 10% + 7万5,000円 = 22万5,000円」。所得は「150万円 − 22万5,000円 = 127万5,000円」。これは配偶者特別控除の対象外(133万円以下が条件)になります。
こういう計算が正確にできていないと、せっかくの制度を使い損ねたり、逆に「本来は使えない控除を使った」という問題が起きたりするので、注意が必要なんですよ。
よくある質問:扶養範囲内で働くのは良い?
「扶養範囲内で働く」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、配偶者の所得が一定額以下なら、親が税金の優遇を受けられるので「その範囲で働こう」という考え方です。
具体的には「103万円以下」なら配偶者控除が使えるので「103万円を超えない範囲で働こう」、「195万円以下」なら配偶者特別控除が使えるので「195万円までは大丈夫」という感じですね。
ただし、注意してほしいのは「扶養範囲を超えると損をする」わけではないということ。確かに親の税金控除は減りますが、配偶者の給料は増えるので、家全体の手取りは増えます。むしろ、「ちょうど手取りが変わらない金額」は、配偶者の所得が約95万円のあたり。それ以下なら、親の控除が大きいので親の手取りが多くなり、それ以上なら、配偶者の給料の増加が大きいので配偶者の手取りが多くなる、という感じです。
つまり「103万円や195万円を超えると損」というのは、正確には間違い。むしろ「どこまで働きたいのか」に応じて、そのときの最適な働き方を選べばいいってわけです。
配偶者特別控除を活用するときの注意点とコツ
配偶者特別控除が使えなくなるケース
配偶者特別控除には、細かい条件がたくさんあります。使えないケースをいくつか紹介しましょう。
**配偶者の所得が133万円を超えた場合**。これは明らかに「少しは働いているけど限られた収入」という想定から外れるので、控除が使えません。
**配偶者が年間48万円以上の給料以外の所得がある場合**。たとえば、アパート経営で家賃収入がある、株の配当がある、などの場合です。この場合は、配偶者特別控除ではなく、別の方法を考える必要があります。
**その年に配偶者と別居している場合**。配偶者特別控除は「夫婦が一緒に生活している」ことが前提。別居していたら、条件によっては使えなくなることがあります。
**配偶者が外国人で、日本の税制の対象外の場合**。これは複雑なので、税理士に相談したほうがいいですね。
複数の家族構成の場合の注意点
配偶者特別控除と扶養控除を組み合わせるときは、注意が必要です。
たとえば「旦那さんが配偶者特別控除を受けながら、20歳の子どもに対して扶養控除も受ける」みたいなケース。これは大丈夫です。両方同時に使えます。
でも「配偶者控除と配偶者特別控除の両方を同時に受ける」というのはできません。どちらかいっぽうだけです。
また、配偶者側が働いている場合「その配偶者が親を養っていて、親に対して扶養控除を受ける」みたいなことも可能です。配偶者も別の扶養者がいるなら、その人も「扶養控除」を使えるんですよ。つまり、控除の重複を避けながら、複数の控除を組み合わせることができるわけです。
でも、複雑になったら、税理士に相談するのが一番安心です。
申告ミスを防ぐコツ
配偶者特別控除で申告ミスをしてしまうと、後で修正申告や更正請求という手続きが必要になります。これは手間もかかるし、場合によっては税金も変わるので、避けたいですよね。
**コツ1:配偶者の所得を正確に把握する**。給料なら給与明細書、給料以外の所得なら、きちんと領収書などを集めて、正確に計算しておく。
**コツ2:申告書に記入するときは、配偶者の情報も正確に**。名前、生年月日、マイナンバー(個人番号)、所得のすべてが合っているか、もう一度チェック。
**コツ3:申告後も、配偶者の所得が途中で増えたら、修正申告を検討する**。たとえば、年初は「100万円くらい働く予定」と思って申告したのに、12月に「実は150万円稼いだ」となったら、修正申告が必要です。
**コツ4:困ったら、税務署や税理士に相談する**。無料で相談できる窓口もあるので、わからないまま申告するより、相談してから申告するほうが安心です。
配偶者特別控除と社会保険の関係
ここで、もう1つ重要な注意点があります。配偶者特別控除と社会保険の「扶養」は、別の制度だということです。
配偶者特別控除は「税金の制度」。一方、社会保険の扶養は「健康保険と年金の制度」です。
社会保険の扶養になるには、配偶者の年間給料が「130万円未満」(厳密には106万円という制限もありますが)という条件があります。これは税金の「133万円以下」という条件とは違うんですよ。
つまり、「税金の配偶者特別控除は使えるけど、社会保険の扶養は外れた」みたいなことが起きたりします。これで、配偶者が自分で社会保険料を払わなければならなくなり、家計の負担が増えたり、逆に「社会保険の扶養は大丈夫だけど、税金の控除は使えない」みたいなことも起きるわけです。
配偶者の働き方を決めるときは、税金と社会保険の両方を考えながら判断する必要があるんですね。ここは複雑なので、わからなかったら、会社の人事部門や税理士に相談するのが一番です。
