親や親戚から「年金の話」を聞いたことはありますか?「65歳になったらお金がもらえるよ」なんて話をよく聞きますよね。でも実は、その年金、もっと早くもらう方法があるんです。それが「繰上げ受給」という仕組み。60歳から65歳の間に「じゃあ早めにもらっちゃおう」という選択ができるんですよ。この記事を読めば、繰上げ受給がどんな仕組みなのか、メリット・デメリットは何か、そして自分たちの将来とどう関係があるのかが、スッキリわかりますよ。
- 繰上げ受給とは、65歳の代わりに60歳から年金をもらう制度で、本人が選択できます
- 早くもらえる代わりに、毎月の受け取り金額が減額されるという大きなデメリットがあります
- 自分の健康寿命や経済状況を考えて、「本当に早くもらった方がいいか」を判断する必要があります
もうちょっと詳しく
繰上げ受給について理解するには、「なぜ早くもらうと金額が減るのか」という理由を知ることが大切です。実は、年金制度全体で見ると、もらい始める年齢が早いほど、トータルでもらえる金額が減る仕組みになっているんです。これはつまり「長生きすればするほど、その差が埋まる」ということ。60歳から月6万円でもらい始めるのと、65歳から月10万円でもらい始めるのとでは、80歳や90歳になったときの総額が変わってくるんですよ。
繰上げ受給は「今すぐお金が欲しい」人向けの制度。でも長く生きるつもりなら、通常受給の方がトータルではお得になることもあります。
⚠️ よくある勘違い
→ そう思いたい気持ちはわかりますが、減額される金額を考えると、実は損になる場合が多いんです。例えば、60歳〜65歳の5年間で180万円もらえても、65歳以降はずっと月4万円も減る。80歳までには逆転してしまいます。
→ 「今どうしてもお金が必要」な理由があるなら選ぶべき。でも「何となく早くもらいたい」なら、通常受給を待つ方が賢い選択になることが多いんです。
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年金って、そもそも何?
日本の年金制度の基本
年金という仕組みを理解するために、まずは「何のための制度なのか」を知ることが大事ですよ。年金というのは、つまり「若い世代が働いて稼いだお金の一部を国に納める」ことで、「年をとった世代が安心して暮らせる」ようにしよう、という仕組みなんです。
具体的に説明すると、今20歳の人が毎月1万8000円程度を国に納めます。その納めたお金は、今おじいちゃんおばあちゃんの世代の人たちの年金として使われるんです。そして、その20歳の人が65歳になったときには、その時の若い世代が納めたお金が、その人の年金になる。世代と世代がバトンリレーするような仕組みなんですよ。
これって、実はすごい工夫されていると思いませんか?なぜなら、昔は「自分で貯金しておく」という方法しかなかったんですが、病気になったり失業したりすると、その貯金が減ってしまう。でも年金制度があれば「若い時に納めておけば、後は国が守ってくれる」という安心感があるんです。特に日本は長寿国だから、80歳や90歳までお金が必要になる。そういう長い人生を支えるための仕組みが年金制度なんですね。
公的年金の種類
ところで、年金には種類があるんです。日本の公的年金(つまり、国が運営する年金)は、大きく分けて2つあります。一つは「国民年金」で、もう一つは「厚生年金」です。
国民年金というのは、日本に住んでいるほぼ全ての大人が入らないといけない年金です。自営業の人とか、フリーターの人とかも入ります。毎月決まった額を納めて、65歳からもらい始めます。
厚生年金というのは、会社で働いている人が入る年金です。給料から自動的に引かれます。実は会社も一緒にお金を出してくれるんですよ。だから同じ人でも、会社員なら厚生年金でもらう金額が大きくなるんです。
この記事で説明する「繰上げ受給」というのは、この両方の年金で使える制度なんですよ。だから「年金をもらっている人」が対象になるんです。
繰上げ受給って何か、もっと詳しく
繰上げ受給の仕組み
では、いよいよ「繰上げ受給」という制度の話に入りますよ。繰上げ受給というのは、つまり「本来65歳からもらえる年金を、60歳から64歳の間にもらい始める」という選択肢のことなんです。
通常なら、こういう流れになります。20歳から65歳まで45年間、毎月お金を納める→65歳になったら、その月から毎月年金がもらえる→80歳、90歳になっても毎月もらえる。
でも繰上げ受給を選ぶと、こうなります。20歳から60歳まで40年間、毎月お金を納める(5年少ない)→60歳になったら、その月から毎月年金がもらえる。ただし金額は減ってる。
なぜこんな選択肢があるのか?それは「人それぞれの事情がある」からなんです。例えば、親の介護のためにお金が必要な人、健康に不安がある人、早期退職した人など、「今すぐお金が欲しい」という事情がある人がいるんですよ。そういう人のために「早くもらえるけど、その代わり金額が減る」という選択肢が用意されているんです。
減額の仕組み
繰上げ受給の最大のポイントは「いくら減るのか」という話ですよ。実は、1ヶ月早くもらい始めるごとに、毎月の受け取り額が約0.4%減ってしまうんです。
例えば、65歳からもらえるはずの金額が月10万円だったとします。60歳からもらうなら、5年間(60ヶ月)早くなりますよね。60ヶ月×0.4% = 24%の減額。つまり月10万円が月7万6000円になってしまうんです。
考えてみてください。5年早くもらえるのはいいけど、毎月2万4000円も減ってしまう。5年で288万円も損することになるんですよ。それ以降、90歳になるまで30年間、ずっとこの減額は続きます。
これが「繰上げ受給は損?」と言われる理由なんです。短期的に見ると「早くもらえてラッキー」に見えますが、長期的に見ると「けっこう損だな」という話になりやすいんですよね。
繰上げ受給を選ぶのは、どんな人?
繰上げ受給が向いている人
でも、すべての人に繰上げ受給が「悪い選択」というわけではないんですよ。ある特定の事情がある人にとっては「良い選択」になることもあります。どんな人が繰上げ受給に向いているのか、考えてみましょう。
一番目は「今すぐお金が必要な人」です。例えば、親の病気の治療費が必要とか、事業資金が必要とか、住宅ローンがあるとか。そういう「お金の使い道が明確にある」という人には、繰上げ受給は役に立つんです。少ない額でもいいから、とにかく「今すぐお金が欲しい」という人のための制度ですからね。
二番目は「健康に不安がある人」です。これは難しい話ですけど、「自分の寿命がそこまで長くないだろう」と考える人もいるんです。例えば、大きな病気を患っていて、医者から「余命が限られている」と言われている人とか。そういう人なら「できるだけ早くお金を使って、人生を楽しみたい」という考えもあるでしょう。その場合なら、繰上げ受給を選ぶのは合理的な判断なんです。
三番目は「すでに定年退職していて、生活費が必要な人」です。仕事をやめた後、60歳から64歳の間は無収入という人も多いんですよ。そんな時に「年金をもらえれば、その期間の生活が支えられる」という人には、繰上げ受給が役に立つんです。
繰上げ受給を避けるべき人
反対に「繰上げ受給は避けた方がいい」という人もいますよ。どんな人でしょうか?
一番目は「健康で長生きする可能性が高い人」です。親や親戚に長寿の人が多いとか、自分自身が健康だとか。そういう人なら「80歳や90歳まで生きるはず」だから、トータルの受け取り額で考えると「通常受給の方が得」になるんです。
二番目は「今すぐお金が必要ない人」です。貯金がたくさんあるとか、家のローンも終わってるとか。そういう人なら「無理に早くもらわなくても、通常通り65歳から受け取った方が毎月の額が多くていい」という判断になるんですよ。
三番目は「60歳から65歳の間に、他の収入がある人」です。例えば、年金をもらい始める前に再就職した人とか、事業をしている人とか。そういう人なら「その期間は他の仕事の給料で生活して、65歳から年金をもらった方が、トータルでは得」になるんです。
繰上げ受給を選んだら、どうなる?
一度選ぶと後戻りできない
繰上げ受給について、絶対に知っておくべき大事なことがあります。それは「一度繰上げ受給を選ぶと、二度と元には戻せない」ということなんです。
例えば、60歳で繰上げ受給を選んで「月7万円でいいか」と思ったとしますよ。でも5年後の65歳になって「あ、やっぱり間違いだった。月10万円の通常受給にしときゃよかった」と思っても、その時点では遅いんです。もう繰上げ受給を選んだから、ずっと月7万円のままなんですよ。一生涯、この減額は続きます。
この「後戻りできない」というのが、繰上げ受給の一番大事なリスクなんです。だから「今、本当に必要なのか」「人生全体で見て、これでいいのか」をしっかり考えてから、決めないといけないんですね。
手続きの流れ
もし繰上げ受給を選ぶなら、どうやって手続きするのかも知っておくといいですよ。手続きは複雑ではありませんが、いくつかステップがあります。
まず、近所の年金事務所(市役所の年金課でもいい)に行きます。そこで「繰上げ受給をしたい」ということを伝えます。すると職員さんが「今あなたがもらえる金額はいくらか」「繰上げ受給だといくら減るか」「どの月から受け取るか」という書類を作ってくれるんです。
その書類に署名して、身分証明書とか、年金手帳とか、そういった書類を提出します。すると、その月から年金の受け取りが始まるんですよ。最初の受け取りは、通常の給料日みたいに、銀行口座に振り込まれます。
大事なのは「この手続きをした日から遡ることはできない」ということなんです。例えば60歳の誕生日を過ぎてから申請しても「60歳の時点に遡ります」という約束はできない。だから「この月から受け取ろう」と決めたら、その月が来る前に手続きをする必要があるんですよ。
長い人生で考えると、どっちが得なのか?
分岐点は何歳?
「繰上げ受給か、通常受給か」を判断するために、一つのポイントを知っておくといいですよ。それが「分岐点は何歳か」という話なんです。
例えば、65歳からの年金が月10万円だとします。60歳からの繰上げ受給なら月7万6000円だとしましょう。
60歳から5年間、月7万6000円をもらう→5年間で456万円
65歳から月10万円をもらい始めるなら、毎年120万円です。60歳から64歳の5年間は0円。65歳からは毎年120万円。
いつ追い越されるか、計算してみると…
60歳からの繰上げ受給:60歳から76歳までで760×16 = 1216万円(実際にはもっと複雑ですが)
65歳からの通常受給:65歳から76歳までで120×11 = 1320万円
あ、76歳だと追い越されちゃった。では75歳は?74歳は?…こういう計算をすると、だいたい「75歳から80歳の間」が分岐点になることが多いんです。
つまり「80歳まで生きるなら、通常受給の方が得」「75歳で亡くなるなら、繰上げ受給の方が得」という感じになるんですよ。
あなたの人生で考えてみる
だから結局のところ「自分の人生をどう生きたいか」という判断が大事なんです。「80歳や90歳まで長く生きるつもり」なら通常受給。「今を大事にしたい」「何かお金が必要」なら繰上げ受給。どちらが正解というわけではなく「その人の人生によって違う」ということなんですよ。
実際には、家族の事情とか、親の介護とか、自分の健康状態とか、いろいろなことを考えて判断することになります。年金事務所の人とか、ファイナンシャルプランナーとか、そういう専門家に相談しながら決めるのが一番安全ですよ。
