「会社をクビになった」という話を聞いたことはあるかな?でも、「クビ」にも種類があって、その中で一番重い処分が懲戒解雇なんだ。「大企業の社員が横領して懲戒解雇」みたいなニュースを見たことがある人もいるかもしれないね。じゃあ懲戒解雇って普通の解雇と何が違うの?どんなことをしたらなるの?なったらどうなるの?そういった疑問、この記事を読めばぜんぶわかるよ。
- 懲戒解雇は会社が社員に下せる最も重い処分で、本人の重大な問題行動が原因となる解雇のこと
- 横領・ハラスメント・経歴詐称などが主な理由で、退職金なし・転職にも影響するなど影響が大きい
- 会社は勝手にできるわけではなく、適正な手続きが必要で、不当なら裁判で争うことができる
もうちょっと詳しく
懲戒解雇を理解するうえで大事なのが「懲戒処分の段階」という考え方だよ。会社が社員に罰を与えるとき、いきなり一番重い懲戒解雇をするわけじゃなくて、普通は軽い順に「戒告(口頭や書面での注意)→減給(給料を減らす)→出勤停止(一定期間休ませる)→降格(役職を下げる)→諭旨解雇(自主退職を促す)→懲戒解雇」という段階があるんだ。懲戒解雇はその中でも一番重い最終手段。よっぽどのことがないと、いきなりここまで来ることはないんだよ。ただ、横領や犯罪行為など「一発アウト」になる行為もあって、その場合は段階を踏まずに懲戒解雇になることもある。
懲戒処分には6段階あり、懲戒解雇はその最終形。よっぽどの重大行為でなければいきなりは来ない!
⚠️ よくある勘違い
→ 懲戒解雇歴があっても再就職は不可能ではない。前職を「自己都合退職」と偽るのは問題だけど、正直に説明して採用される事例もある
→ 確かに転職市場では不利になるし、採用担当者に理由を聞かれることも多い。でも反省や再発防止策をしっかり伝えられれば、採用してくれる会社もある。まずは誠実に向き合うことが大切だよ
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懲戒解雇とは?わかりやすく言うと「会社からの最重罰」
「解雇」の種類をまず整理しよう
「解雇」とひとことで言っても、実はいくつか種類があるんだ。大きく分けると次の3つになるよ。
- 普通解雇:能力不足や病気などで仕事が続けられない場合など、会社側の判断で雇用契約を終わらせること
- 整理解雇:会社の業績が悪化して人員を削減しなければならないときのリストラのこと
- 懲戒解雇:社員が重大なルール違反や不正行為を行ったとき、罰として行う解雇のこと
この中で懲戒解雇だけが「罰」としての意味を持つ特別な解雇なんだ。「懲戒」というのは「罪や過ちを罰すること」という意味だよ。普通解雇は「あなたには続けてもらえない」という話だけど、懲戒解雇は「あなたは悪いことをしたから罰として辞めさせる」という話。まったく意味が違うよね。
学校に例えるとこんな感じ
学校で考えてみよう。授業中に居眠りしたら先生に注意される(口頭での注意=戒告)。それが続くと親を呼ばれたり、反省文を書かされたりする(減給・出勤停止に相当)。でも、テスト中に大規模な替え玉受験を組織したり、学校のお金を盗んだりしたら退学になるよね。それが「懲戒解雇」に当たる感覚なんだ。つまり、普通の注意や指導で済まないような重大な問題行動に対して下される、学校で言う「退学処分」のようなものだよ。
懲戒解雇になる理由・原因は?具体例で見てみよう
代表的な懲戒解雇の理由
懲戒解雇になるのはどんなケースか、具体的に見ていこう。会社によって多少違いはあるけど、よくあるのは次のような行為だよ。
- 横領・窃盗:会社のお金や備品を盗む行為。これは刑事事件(犯罪)にもなりうる最も重大な不正の一つ
- ハラスメント行為:パワハラ(つまり立場を利用して相手を傷つけること)やセクハラ(性的な嫌がらせ)など
- 経歴詐称:「大学を卒業した」「資格を持っている」など、履歴書や面接で嘘をついて入社すること。採用の前提が崩れるため重大視される
- 無断欠勤の長期化:連絡もなく長期間会社に来ないこと。一般的に2週間以上続くと懲戒解雇の対象になることが多い
- 会社の秘密情報の漏えい:顧客データや企業の機密情報を外部に流出させること
- 勤務中の犯罪行為:暴行・傷害など仕事中に起きた犯罪行為
- ハラスメントや暴力:同僚や部下へのひどい暴言・暴力行為
「一発アウト」の行為と「積み重ね」で至る場合の違い
懲戒解雇には「一発アウト型」と「積み重ね型」の2パターンがあるよ。横領や犯罪行為など、一度やったら取り返しのつかない重大な行為は「一発アウト」になることが多い。一方で、無断欠勤などは一度や二度なら注意で済むことが多いけど、改善されず繰り返されたり、長期にわたって続いたりすると最終的に懲戒解雇になることがある。学校でも「1回ルールを破っただけで退学にはならないけど、何度も何度も繰り返すと…」っていうのと同じ感覚だよね。
懲戒解雇されたらどうなる?気になる3つの影響
①退職金がもらえなくなる
懲戒解雇で最も大きなダメージの一つが退職金だよ。多くの会社の就業規則(つまり会社の内部ルールをまとめた書類のこと)には「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」または「退職金を減額する」と書かれている。たとえば、30年間まじめに働いてきた社員が最後の最後に重大な不正を犯してしまった場合、それまで積み上げてきた退職金が一切もらえなくなるケースもある。退職金は一般的に数百万円から数千万円にもなることがあるので、経済的なダメージはとても大きいんだ。
②転職・再就職が難しくなる
転職活動でも大きな壁になる可能性があるよ。多くの会社では採用面接で「前職の退職理由」を聞かれるし、場合によっては前の会社に在籍確認の連絡が入ることもある。懲戒解雇の場合、「自己都合退職です」と嘘をつくことは経歴詐称になってしまうし、バレた場合にはさらに信頼を失う結果になる。正直に話す必要があるけど、そうすると採用側が慎重になることも多い。業界によっては情報が広まりやすい場合もあるので、特に注意が必要だよ。
③失業給付に制限がかかる
仕事を辞めると通常は「失業給付」(ハローワークから一定期間お金がもらえる制度のこと)を受け取れるんだけど、懲戒解雇の場合は話が違う。自分の重大な問題行動が原因の場合、「給付制限」がかかって、通常より待機期間が長くなったり(最大3ヶ月)、給付を受けられない場合もある。これは「自分のせいで仕事を失ったのだから、すぐに給付するのは公平でない」という考え方からきているよ。生活費の面でもかなり苦しくなる可能性があるんだ。
会社が懲戒解雇をするにはルールがある!
就業規則への記載が必要
会社が社員を懲戒解雇にするためには、まず「就業規則に懲戒解雇についての規定が書かれていること」が必要なんだ。就業規則というのは、給与・勤務時間・ルール違反への対応などを定めた会社の公式なルールブックのこと。「どういう行為が懲戒解雇の対象になるか」が就業規則に明記されていないのに、突然「懲戒解雇だ!」と言うのは許されないよ。また、社員が入社のときにその就業規則を知ることができる状態にあったかどうかも重要なポイントになる。
社員の言い分を聞く機会が必要
懲戒解雇をする前に、会社は必ず本人から事情を聞く機会を設けなければいけないよ。これを「弁明の機会を与える」というんだ。つまり「あなたはこういうことをしましたよね?何か言いたいことはありますか?」と聞く手順が必要。一方的に「あなたを懲戒解雇にします」とだけ言うのはルール違反になる可能性がある。たとえば、横領の疑いをかけられた社員が「実は上司から指示されたんです」という重要な事情を持っていることもある。だから本人の言い分をちゃんと聞くことが大事なんだ。
「罰の重さ」と「行為の重さ」がつり合っていること
法律の世界では「相当性の原則」という考え方がある。つまり、罰の重さは行為の重さに見合っていなければいけないっていうことだよ。ちょっとした社内ルール違反(たとえば会議に少し遅刻したとか、備品を無断で使ったとか)に対して「懲戒解雇!」とするのは、やりすぎで不当解雇になってしまう。重い罰には、それに見合った重大な行為が必要なんだ。裁判所も、懲戒解雇が有効かどうかを判断するときに「その処分は行為の重さに比べて妥当か」をチェックするよ。
懲戒解雇に納得できないときはどうすればいい?
懲戒解雇は「争える」可能性がある
もし会社から懲戒解雇を言い渡されて「それは不当だ」と思ったら、黙って受け入れる必要はないよ。日本の法律では、会社が正当な理由なく社員を解雇することを禁止していて(これを「解雇権濫用法理」という)、不当な懲戒解雇は裁判所で取り消せる可能性があるんだ。「解雇権濫用法理」とは、つまり「会社が解雇という力を不当に使いすぎることを禁ずるルール」のこと。具体的には、正当な理由がない懲戒解雇、手続きが不当な懲戒解雇(弁明の機会を与えなかったなど)、罰の重さが行為と全くつり合わない懲戒解雇などは、争う余地があるよ。
相談できる窓口を知っておこう
懲戒解雇に異議を申し立てたい場合、相談できる場所がいくつかあるよ。
- 労働基準監督署:国が設けた機関で、労働に関するトラブルを無料で相談できる。「不当解雇かもしれない」と思ったらまずここに相談してみよう
- 労働局のあっせん制度:会社と社員の間に国の機関が入って話し合いを手伝ってくれる制度のこと
- 弁護士への相談:労働問題を専門とする弁護士に相談する。法律的な観点から不当かどうかを判断してもらえる
- 裁判(地位確認訴訟):「自分はまだ社員のはずだ」と裁判所に訴えること。解雇を取り消してもらえることも
大切なのは「証拠を残すこと」
もし不当解雇を疑うなら、証拠を残すことがとても大切だよ。会社から受け取った書類(懲戒解雇通知書など)は必ず保管しておこう。また、会社とのやりとり(メール・チャット・メモなど)も捨てずに保存する。「会社から十分な説明を受けなかった」「弁明の機会がなかった」という事実も、後から証明できるように記録しておくといい。懲戒解雇を告げられた瞬間から「いつ、何を言われたか」をメモしておく習慣が、いざというときの大きな武器になるよ。
