お父さんやお母さんが「退職金」について話しているのを聞いたことありませんか?会社を辞めるときにもらえるお金のことなんですが、特に中小企業で働いている人は、その退職金がちゃんと準備されているのか不安なことが多いんですよ。そんなとき活躍するのが「中小企業退職金共済」という仕組みなんです。この記事を読めば、会社がどうやって従業員のための退職金を用意しているのか、その秘密がわかりますよ。
- 中小企業の従業員のために、国が運営する 退職金制度 のこと
- 会社が毎月 掛け金 を払って、国がそれを管理・運用して貯める
- 従業員が辞めるときに、その 貯まったお金を受け取ることができる
もうちょっと詳しく
中小企業退職金共済は、昭和34年から始まった国の制度です。中小企業というのは「従業員が300人以下くらいの会社」のことを指しています。大企業だと、会社の規模や利益が大きいので、退職金をちゃんと用意できますよね。でも小さな会社だと、退職金を用意するお金を工面するのが大変なんです。そこで国が「みんなで力を合わせて、従業員の退職金を守りましょう」という仕組みを作ったわけです。企業があらかじめ資金を積み立てることで、会社の経営が苦しくなってもちゃんと従業員に退職金を払えるようになったんですよ。
国が運営しているから、会社が倒産してもお金が守られる安心感がある
⚠️ よくある勘違い
→ 違います。掛け金は全部、会社が払うんです。従業員の給料から引かれることはありません。それが従業員にとって嬉しいところですね。
→ そういう仕組みです。会社は毎月従業員1人あたり1000円〜35000円くらい払って、退職金を準備します。従業員は給料から引かれないので、その分得するわけですよ。
中小企業退職金共済ってそもそも何?
国が作った、従業員を守る制度
中小企業退職金共済という名前を聞いて、「難しい」と思った人も多いと思います。でもね、実はすごくシンプルな仕組みなんですよ。イメージしやすくするために、具体例で説明しますね。
あなたのお父さんが20人の従業員を雇った小さな会社を経営しているとしましょう。お父さんは「この人たちが定年まで働いてくれたら、ちゃんと退職金を渡さないと申し訳ない」と思います。でも毎月いろいろな経費がかかるし、退職金のために今から貯金しておくのは大変ですよね。そんなときに活躍するのが「中小企業退職金共済」という国の制度なんです。
つまり、お父さんが国に毎月「掛け金」というお金を払います。この掛け金は、従業員1人あたり毎月数千円から数万円くらい。それを国が集めて、ちゃんと管理して、運用(つまり投資とかでお金を増やす)してくれるんですよ。だから退職金の金額が自動的に増えていくわけです。
そして何年も後に、その従業員が「定年だから辞めます」とか「別の会社に転職します」となったとき、その国に預けてある掛け金と運用で増えたお金を、その人が受け取るという仕組みです。銀行の定期預金みたいなものだと思ってもらえればいいですね。
なぜ国が運営しているのか
ここで疑問が出てくると思います。「なぜ国がわざわざこんな制度を作ったの?」ってね。答えは、小さな会社の従業員を守るためです。
大きな企業ってありますよね。トヨタとかパナソニックとか、誰もが知ってるような大企業。こういう企業は、利益もいっぱいあるし、従業員も大勢いるので、自分たちで退職金の制度を用意できるんです。実は、退職金を自分たちで準備するというのは、けっこう大変で、専門的な知識も必要なんですよ。
一方、中小企業というのは、従業員が数人から数百人くらいの会社のことです。こういう小さな会社だと、退職金を自分たちで準備するのは本当に大変なんですね。もし会社の経営が悪くなったら、その退職金を払う余裕がなくなっちゃうかもしれない。そうなると、長年頑張って働いた従業員が、退職金をもらえずに辞めることになってしまいます。かわいそうですよね。
だから国が「そんなことになったら大変だから、みんなで力を合わせて従業員の退職金を守りましょう」と決めて、この制度を作ったんです。これを昭和34年(1959年)にスタートさせました。それ以来、何百万人もの中小企業の従業員の退職金を守ってきたわけです。国の制度だから、信頼できるし、会社が倒産しても従業員のお金は守られるんですよ。
実際の仕組みはこうなっている
掛け金を毎月払う
では、実際にどんなふうに動いているのか、説明していきますね。
まず、会社がこの制度に加入すると決めたら、従業員1人あたり毎月いくら払うかを決めます。これが「掛け金」(つまり毎月払うお金)なんです。一番少ない金額は月1000円から、一番多い場合は月35000円までで、会社が好きな金額を選べるんですよ。
会社は毎月、この掛け金を国に払います。従業員が給料から引かれるわけではなく、会社が全部負担するんです。これが大事なポイントですね。従業員の側からすると「自分の給料から引かれない」ので、実はすごくお得な制度なんですよ。
掛け金を払う側の会社は、それを経費として計算できます。つまり税金を計算するときに「退職金に払ったお金がある」として差し引けるということです。だから会社も損をしない、むしろちょっと得をするような仕組みになってるんですね。
国が運用してお金を増やす
会社から払われた掛け金は、国に集められます。実際には「独立行政法人勤労者退職金共済機構」という公的な団体が管理してるんですけど、かんたんに「国の機関」だと思ってもらえばいいですよ。
集められた掛け金は、ただ貯金されるわけではなくて、国が運用(つまり投資)するんです。例えば、株式会社の株を買ったり、国債という国のプロジェクト資金に出したりして、お金を増やす取り組みをするわけですね。だから年月が経つにつれて、払った掛け金以上のお金が貯まっていくんですよ。
ここが銀行の普通預金と違うところです。銀行の普通預金だと、ほぼ利息がつかないので、払ったお金と同じくらいしか貯まりません。でもこの制度だと、国が投資してくれるので、自動的にお金が増えていくわけです。だから従業員が受け取るときに「あ、こんなに増えてた!」という感じになることが多いんですよ。
従業員が辞めるときに受け取る
そして、従業員が辞めるときが来たら、その人は国に「退職金をください」と言います。するとどうなるかというと、その人が働いていた期間の掛け金と、運用で増えたお金をまとめた金額を受け取るという仕組みです。
これもすごく大事なポイントなんですけど、「従業員が辞めるときに、その会社が経営難だったとしても、ちゃんと退職金が払われる」ってことなんですよ。なぜなら、お金が国に預けられているから。会社の銀行口座にあるわけじゃないので、会社の経営がどうなろうと、従業員のお金は守られるわけです。
もし、この制度がなくて、会社が自分たちで退職金を準備していたとしたら、どうなると思いますか?会社の経営が悪くなったら「申し訳ないけど退職金が払えない」という悲しいことになっちゃうんですよ。だからこの制度は、ほんとに従業員を守るために作られた、いい仕組みなんですね。
働く人にとってのメリット
給料から引かれない
働いている人の立場から見ると、この制度にはいくつのメリットがあります。まず1番目は、さっきも言いましたけど「給料から引かれない」ということですね。
某些社員さんがいるような大きな企業では「退職金に回すお金は給料に含まれています」というふうに説明されることもあります。つまり「給料の一部が退職金に使われてる」ってことですね。でも中小企業で退職金共済に入っていると、会社が全部払うので、従業員は「自分の給料が減ってない」と感じられるわけです。実は、会社が払ってくれてるんですけど、見た目上、従業員の給料は変わらないということですね。
倒産しても大丈夫
2番目のメリットは「会社が倒産しても、退職金がもらえる」ということです。これってすごく大事なんですよ。
想像してみてください。あなたが10年間、ある会社で一生懸命働きました。その会社で、毎月掛け金が払われて、退職金が貯まっているはずです。ところが、その会社が経営難になって、突然倒産してしまったとしましょう。もし退職金が会社の銀行口座に入ってたら、倒産したら「申し訳ないけど退職金は払えません」という可能性がありますよね。でも、この国の制度だと、お金は国に預けられているので、会社が倒産しても「あなたの退職金はちゃんと保護されてます」と言えるわけです。これって、働く人にとっては本当に安心できる仕組みですよね。
税金の優遇がある
3番目のメリットは「税金の面で優遇されている」ということです。退職金をもらうときって、税金がかかります。でも退職金には「退職所得控除」という税金の控除があるんです。つまり「この部分は税金を計算するときに差し引いていいよ」という優遇ですね。だから、給料でもらうより、税金が安くなる可能性が高いんですよ。
例えば、毎月30万円の給料をもらっていた人が、退職金として300万円をもらったとします。これを給料で300万円もらったら、けっこう税金がかかります。でも退職金でもらったら、税金の控除があるので、その分税金が安くなるわけですね。政府が「退職金は特別だから、税金を安くしてあげようね」と決めてくれてるということです。
会社側にとってのメリット
税金の対象として計上できる
では、会社の側にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。
1番目は「掛け金を経費として計上できる」ということです。会社が毎月払う掛け金は、その会社の経費として計算されるんですよ。つまり「退職金に払ったお金がある」として、税金を計算するときに引けるわけです。これを「損金算入」(つまり利益の計算のときに損として計上できる)と言います。
例えば、ある会社の1年間の利益が500万円だとしましょう。でもこの会社が退職金に毎月5万円(年間60万円)払ってるなら「利益は500万円から60万円を引いた440万円です」と計算できるわけです。だから税金が安くなっちゃうんですね。これって会社にとっては大きなメリットですよ。
従業員が辞めるまで待つ必要がない
2番目のメリットは「従業員が辞めるまで、ずっと現金を持ってなくてもいい」ということです。
もし会社が自分たちで退職金を準備する場合、従業員が辞めるときにいっぱいお金が必要になりますよね。例えば、3人の従業員がいっぺんに辞めたら「あ、300万円必要だ」ってことになります。でもこの制度に入ってれば、毎月少しずつ払うだけで、会社のお金の流れを安定させることができるわけです。月々数万円の支出で済むのと、1回に数百万円の支出では、会社の経営計画がずいぶん立てやすくなりますよね。
優秀な人材を確保できる
3番目のメリットは「従業員が『この会社は退職金をちゃんと準備してくれてる』と安心して働ける」ということです。
これって、採用活動にも影響するんですよ。例えば、就職活動をしている学生が「A社は退職金の制度がない」と「B社は中小企業退職金共済に加入している」という2社を比べたら、B社の方が「安心できそう」と思いますよね。だから会社のイメージアップになって、優秀な人材が集まりやすくなるわけです。また、働いている人も「この会社は長く働いても安心」と思えるので、離職率(人が辞める割合)が下がったり、生産性が上がったりする可能性もあるんですよ。
注意すべきポイント
掛け金は会社が払うんだけど、給料交渉のときに出ることもある
最後に、ちょっと複雑なところを説明しておきますね。
この制度では「掛け金は会社が払う」と言いました。でも、実際の給料交渉のときに「基本給は○○万円、退職金は退職時に○○」みたいな説明をする会社もあります。これは「退職金が給料の一部みたいに扱われてる」ってことですね。
だから、もし会社に入る前に「退職金はいくら払うの?」と聞かれたら、確認しておいた方がいいですよ。「掛け金でどのくらい貯まるのか」「何年働いたらいくらもらえるのか」という目安をね。給料の交渉と一緒に、退職金の話もちゃんと理解した上で、入社するようにしましょう。
すぐに退職金が全額もらえるわけじゃない
また、もう1つ大事なことがあります。それは「退職金は、掛け金を払った期間に応じて増えていく」ってことです。
つまり、入社して3ヶ月で辞めたら、その3ヶ月分の掛け金と、少しの運用利益しかもらえません。でも10年働いたら、その10年分の掛け金と、いっぱい運用で増えたお金がもらえるわけです。だから「長く働くほど、退職金が多くなる」という仕組みになってるんですね。
これは、会社が「長く働いてくれた人を大事にしたい」という気持ちの表れでもあります。だから、もし中小企業で働くことになったら「この会社で長く頑張って、貯まった退職金をもらおう」という気持ちで働くのもいいかもしれませんね。
