離婚時年金って何?わかりやすく解説

親の離婚、友だちの親の離婚…そういう話を聞くと「年金ってどうなるんだろう?」って思ったことありませんか?実は離婚した時に、結婚している間に貯めた年金を公平に分ける仕組みがあるんです。この記事を読めば、その仕組みがスッキリわかりますよ。

先生、「離婚時年金」ってよく聞きますけど、何なんですか?

いい質問だね。簡単に言うと、夫婦が結婚している間に貯めた年金(つまり、将来お金をもらう権利)を、離婚した時に公平に分ける仕組みなんだ。これを「年金分割」と呼ぶよ。
年金分割?でも、なぜ分ける必要があるんですか?

いい質問。結婚している時、例えば妻が子育てで仕事を辞めて、夫が働いて年金を払っていたとしよう。そしたら「妻が子育てで貢献したから、その期間の年金も半分は妻のもの」という考え方なんだ。つまり、家事や子育てをしていた時間も「年金を貯めるのに協力した時間」と認めるということだね。
あ、そっか。子育てしていても、結婚している限り、その分の年金を貯めることができるってことですね。でも実際にいくらもらえるんですか?

もちろん。これから詳しく説明するね。夫婦の給料や働いた期間で計算されるから、ケースバイケースで額が変わるんだ。
📝 3行でまとめると
  1. 離婚時年金は結婚中に貯めた年金を分ける仕組みで、正式には「年金分割」と呼ぶ
  2. 子育てなど仕事を辞めていた期間の年金も半分もらえるという考え方が基本
  3. 実際にもらえる額は夫婦の給料や働いた期間で計算されて決まる
目次

もうちょっと詳しく

年金分割が生まれたのは2004年。それまでは、専業主婦(専業主夫)が離婚した時、結婚中に貯めた年金をもらえないことが多かったんだ。例えば、妻が子育てで20年働かなかった場合、その20年間の年金保険料をもらえなかったわけ。これって不公平だと思いませんか?だから「結婚中に増えた分の年金は夫婦で半分こにしよう」という制度ができたんです。

💡 ポイント
結婚中の年金は「夫婦で一緒に貯めたもの」と考える。だから分けるのが公平。

⚠️ よくある勘違い

❌ 「年金分割は、離婚後に新しい権利が生まれるんだ」
→ 違う。実は結婚中に夫婦で貯めた年金を「後で分けることに決めた」だけ。新しい権利が生まれるわけではなく、すでにある権利を公平に分けるだけなんだ。
⭕ 「結婚中に貯めた年金を、離婚の時点で公平に分ける仕組み」
→ その通り。だから離婚の時点で「あなたはこれだけもらえます」と決まるんだ。
なるほど〜、あーそういうことか!

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離婚時年金(年金分割)って何なの?

年金って聞くと、何か難しい感じがしますよね。でも、シンプルに考えると、年金は「将来、年をとった時にもらうお金」のこと。つまり、働いている間に給料から少しずつ引かれて、その分が「将来の貯金」として積み立てられているんですよ。

ところで、もし結婚した時にどっちかが「子育てするために仕事を辞めた」としたら、どうなると思いますか?働いていないから、年金の保険料も払わないですよね。そしたら「仕事を辞めていた期間は年金がもらえない」ということになってしまいます。

でも、ちょっと考えてみてください。妻が子育てをしていた間、夫は仕事に集中できていたわけでしょ?その分、妻の「労働」があったから夫が働けたんですよ。つまり、妻も夫が貯めた年金に「貢献」しているわけです。

こういう状況って不公平じゃないですか?だから2004年に「結婚している間に貯めた年金は、夫婦で半分こにしましょう」という制度が生まれたんです。これが「年金分割」、つまり「離婚時年金」なんですよ。

具体例で考えてみましょう。今、夫と妻がいます。結婚した時、二人の年金の合計が月100万円分だったとします。離婚する時に、月200万円分になっていたとします。その増加分(月100万円分)を「結婚中に貯めた分」として、夫と妻で半分こ(各月50万円分)にしようというわけです。これって、すごくフェアですよね。

年金分割には2つの種類がある

実は年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2つの種類があるんですよ。

まず「合意分割」。これは夫婦で話し合って「こうしましょう」と決めるやり方です。例えば「夫の年金を50%妻にあげます」という合意をします。この場合、家庭裁判所に申し立てたり、公正証書(公的な書類)を作ったりします。二人で合意できれば進みますし、できなければ家庭裁判所に決めてもらうという流れですね。

次に「3号分割」。これは妻(または夫)が「厚生年金こうせいねんきんに入っている人の配偶者」だった場合の特別なやり方です。例えば、妻が働いていなくて、夫の会社の保険の「扶養」に入っていた場合ですね。この時は妻は「3号被保険者」と呼ばれます。この時は「自動的に半分分割される」という約束になっているんです。つまり、夫婦で話し合わなくても、離婚すれば自動的に半分こになるということです。

どちらがあてはまるかで、手続きが変わってきます。会社員の妻だった場合は「合意分割」になることが多いですね。一方、ずっと専業主婦だった場合は「3号分割」になることが多いです。

なぜこんな制度があるの?

年金分割が生まれた背景って、実は結構深い話なんですよ。日本の年金制度は「働いている人から年金保険料を取る」という形で成り立っています。ところが「専業主婦(または専業主夫)」の場合、働いていないから保険料を払わない。でも「国民年金こくみんねんきん」という基本的な年金はもらえるようになっていました。

しかし「厚生年金こうせいねんきん」という、働いている人が入る年金については、働いていないから保険料も払わないし、もらえる金額も少なくなってしまうんです。

例えば、夫が40年間働いて厚生年金こうせいねんきんを払い続けたけど、妻は結婚してすぐ仕事を辞めて、子育てに30年費やした場合を考えてみてください。妻は国民年金こくみんねんきん(基本の年金)はもらえますが、厚生年金こうせいねんきんはほぼもらえません。一方、夫は月30万円くらい厚生年金こうせいねんきんをもらえたとします。

ここで「離婚」が起きたら、妻は月5万円くらい、夫は月30万円くらい年金がもらえることになります。でも、その夫の月30万円は「妻が子育てで貢献した30年の間に」夫が働いて貯めたものじゃないですか?妻が家を守っていなかったら、夫は仕事に集中できなかったはずです。

だから「結婚中に貯めた年金は、夫婦で貢献度に合わせて分けようよ」という考え方が生まれたんですよ。これは「家事労働」を「労働」として認める、という大事な考え方なんです。子育てや家事だって、社会に貢献している立派な仕事なんだっていう価値観が、この制度に表れているんですね。

子育ての時間も「年金を貯める時間」になる

昔は、子育てしていることは「年金を貯めていない時間」と考えられていました。でも今は「子育てをしている時間も、実は年金を貯める時間である」と考えるんです。

なぜなら、夫が働いて年金を払っている裏には「妻が家事と子育てをしてくれているから、夫が働けている」という関係があるからです。だから妻も「その期間の年金を貯めるのに協力した」と認めようということですね。

これって、すごく大事な考え方ですよ。子育てや家事って、なかなか「価値」が目に見えない仕事です。でもこの制度のおかげで「あなたの子育ては、夫の年金を貯めるのに貢献している」という形で、ちゃんと認められるようになったんです。お金で評価できない労働も、この制度では公式に価値が認められているんですね。

実際に、いくらもらえるの?

「で、結局いくらもらえるんですか?」という質問が多いんじゃないでしょうか。これは「夫婦がどのくらい働いていたか」「どのくらい給料をもらっていたか」によって変わってきます。

年金分割で分ける「基準」になるのは「厚生年金こうせいねんきんの保険料納付記録」です。つまり「給料から引かれた年金保険料の記録」ですね。給料が高いほど、引かれる保険料も多いので、貯まる年金も多くなります。

例えば、夫の厚生年金こうせいねんきんが月30万円だとします。この中で「結婚している間に貯めた分」がどのくらいかを計算します。もし結婚期間が20年で、その間ずっと月30万円を貯めていたなら、結婚期間中に夫が貯めた厚生年金こうせいねんきんは「月30万円」の分に相当します。

その「結婚中に貯めた分」を夫婦で分割するんですが、「3号分割」の場合は「自動的に半分」になります。つまり「月30万円÷2」の額が、妻にもらえる権利になるわけです。月15万円ですね。

「合意分割」の場合は、夫婦で「何%分割するか」を決めます。例えば「50%分割」と決めれば、上と同じく半分になります。でも「30%分割」と決めれば、妻がもらえる額は「月30万円×30%」になります。月9万円ですね。

実例で考えてみよう

では、実際の例で計算してみましょう。

夫:結婚した時点で厚生年金こうせいねんきんの年金記録が月20万円分。離婚時点で月35万円分。結婚期間は15年。

この場合、「結婚中に増えた分」は月15万円(35万円−20万円)です。つまり、結婚している15年の間に、月15万円分の年金が増えたということですね。

妻が「3号分割」で自動的に半分もらう場合、妻の年金が増加する額は「月15万円÷2 = 月7.5万円」になります。つまり、妻は毎月7万5000円多く年金をもらえるようになるわけです。

妻が「合意分割」で「50%分割」と決めた場合も同じく「月7.5万円」の増加になります。

もし「合意分割」で「30%分割」と決めたなら、妻の増加額は「月15万円×30% = 月4.5万円」になります。月4万5000円ですね。

このように、実際にもらえる額は「夫婦の年金記録」と「分割の比率」で決まるんですよ。離婚するなら、この計算をしてから「合意分割」で何%にするかを決めるといいですね。

でも、今すぐお金がもらえるわけじゃない

ここで大事な注意点があります。「年金分割」は「将来、年をとった時にもらう年金の額が増える」という仕組みなんです。今すぐ現金がもらえるわけじゃないんですよ。

例えば、30代で離婚して年金分割をしたとします。でも「実際に年金をもらい始めるのは65歳以降」です。だから、現金をもらうまでは約30年待つことになるわけですね。

「えー、そんなに待つの?」と思うかもしれませんが、これは年金という制度の特性だからしょうがないんです。年金は「働いている時代に貯めたお金を、年をとった時にもらう」という仕組みだからですね。

だから「離婚した時に、年金分割で月7.5万円の権利をもらった」と思ったら、それは「将来、年金をもらう時に、毎月7万5000円多くもらえるようになった」という意味なんです。今すぐお金が手に入るわけではないので注意してください。

年金分割の手続きは?

では、実際に年金分割をするには、どうしたらいいのか説明します。

ステップ1:二人で話し合う

まず、離婚する夫婦が「年金をどう分割するか」について話し合います。

「3号分割」の場合(妻が夫の扶養に入っていた場合)は、この話し合いなしに「自動的に半分」になります。でも「合意分割」の場合は「何%分割するか」を話し合わないといけません。

ここで大事なのは「話し合いの結果を書面に残す」ということです。公正証書(公正役場で作る公的な書類)を作るか、家庭裁判所の調停や審判の記録を残します。こうしないと「あの時、50%分割って言ったじゃん」というトラブルが後で起きてしまいます。

もし二人で合意できなかったら、家庭裁判所に「調停」を申し立てることができます。調停は「家庭裁判所の調停委員が、二人の間に入って、折り合いをつける」という手続きですね。これでも合意できなかったら「審判」という「家庭裁判所が決めてくれる」という手続きになります。

ステップ2:年金事務所(社会保険事務所)に申し立てる

夫婦で合意(または家庭裁判所で決定)したら、「年金事務所」という場所に「年金分割の申し立て」をします。

年金事務所は「年金保険料を管理している公的機関」のことです。ここで「この人たちが、こういう条件で年金分割を希望しています」と報告するんですね。

申し立てに必要な書類は、大体こんな感じです:

  • 年金分割の申し立て書(年金事務所でもらえます)
  • 夫婦の身分証明書(運転免許証など)
  • 戸籍謄本こせきとうほん(結婚と離婚の記録)
  • 夫婦の年金記録をもらう書類(年金事務所で手に入ります)
  • 離婚の調停証書または判決書(合意分割で家庭裁判所を通した場合)

これらの書類を持って、年金事務所の窓口に行きます。または、郵送でも手続きできます。最近ではオンラインで申し立てもできるようになってきています。

ステップ3:年金事務所が計算して、承認する

年金事務所が「あなたたちの年金記録を確認して、分割額を計算します」という作業をします。通常、これには1ヶ月くらいかかります。

計算が終わると、年金事務所から「分割の承認通知」という書類が送られてきます。これで「公式に年金分割が認められた」ということになります。

ステップ4:年金をもらい始める時に反映される

実際に「あ、年金が増えている」と気づくのは、65歳以降で年金をもらい始めた時です。毎月の年金の額に「分割分」が上乗せされているということになります。

例えば「月7.5万円の分割を受け取る」という決定が出ていたら、65歳で年金をもらい始める時に「本来の年金+月7.5万円」という額がもらえるようになるわけですね。

期限がある!注意しよう

ここで大事な注意があります。年金分割の申し立てには「期限」があるんです。

離婚した日から「2年以内」に申し立てをしないと、年金分割ができなくなってしまうんですよ。つまり「あ、離婚してから5年たっちゃった。年金分割できないのか」となっても、もう遅いということです。

だから「離婚届を出したら、できるだけ早く年金分割の手続きもしておく」というのが大事なんですね。

よくある質問

最後に「よくある質問」をいくつかまとめてみました。

Q1:転職した場合、年金分割はどうなるの?

A:転職しても「過去の年金記録は変わらない」という考え方です。例えば、夫が「会社Aで10年働いた」「会社Bで10年働いた」という場合、両方の年金記録が合算されて計算されます。転職してその後に離婚しても、すべての職場での年金記録が対象になるんですね。つまり「給料が安い時代も高い時代も、全部含めて計算される」ということです。

Q2:再婚した場合は?

A:再婚しても「前の夫婦での年金分割は変わらない」です。例えば、最初の夫との離婚で「月5万円の分割」と決まっていたら、その後再婚しても「月5万円のもらう権利」は変わらないんですね。ただし、新しい配偶者との間では「新たな年金分割」が発生する可能性があります。

Q3:国民年金こくみんねんきん(自営業者の年金)も分割対象?

A:はい。会社員の「厚生年金こうせいねんきん」だけじゃなく、自営業者の「国民年金こくみんねんきん」も分割対象です。ただし「国民年金こくみんねんきん」は「厚生年金こうせいねんきん」より分割額が少なくなることが多いです。なぜなら、自営業者は会社員よりも年金保険料を払っている額が少ないからですね。

Q4:死亡した場合は?

A:もし分割を受け取る予定の配偶者が、65歳になる前に亡くなった場合は「その分の年金分割の権利は失われる」という形が一般的です。ただし、すでに年金をもらい始めていた場合は「遺族が受け取ることができる年金」というのが発生する場合があります。これは複雑なので、年金事務所に相談するのが一番ですね。

Q5:年金分割で、元の配偶者より多くもらうことはできるの?

A:いいえ。年金分割は「結婚中に増えた分を分ける」という仕組みです。だから「妻が夫より多くもらう」ということはあり得ません。分割は「最大50%」までです。ただし、妻が結婚前から働いていて、自分の厚生年金こうせいねんきんを貯めていた場合は「自分の分の年金」は当然もらえます。

Q6:別居中は年金分割できるの?

A:いいえ。年金分割は「公式に離婚が成立した日」から「2年以内」に申し立てしないといけません。別居中は「まだ婚姻関係が続いている」という状態なので、年金分割はできないんです。

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この記事を書いた人

大人になってから「これ知らなかった…」と恥ずかしい思いをした経験から、このサイトを作りました。お金・仕事・社会のしくみって、学校で教えてくれないのに知らないと損することだらけ。むずかしい言葉を「あーそういうことか!」って思えるまでかみ砕いて説明するのが得意です。主に経済・法律・税金・ライフイベント周りの用語を毎日更新中。

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