親や祖父母の税金の話をしていると「扶養控除」という言葉を聞いたことはありませんか?これは、親が子どもや親の親を養っている場合に、税金を安くしてもらえる制度なんです。でも「控除」って何?「扶養」って何?と思う人も多いでしょう。この記事を読めば、扶養控除がどんな制度で、誰が得をして、なぜそんなルールがあるのかが、すっきりわかるようになりますよ。
- 扶養控除とは、家族を養っている人に対して、税金を安くしてあげる 制度 のこと
- 給料から家族を養う分の金額を引いて、その残りに税金をかけるため、税金が 安くなる
- 誰でも受けられるわけではなく、扶養している家族の 年齢や年収 に条件がある
もうちょっと詳しく
扶養控除の基本的な考え方は「同じ給料をもらっていても、家族が多い人ほど、生活にお金がかかるから、税金の負担を減らしてあげよう」ということなんです。たとえば、年収400万円の人Aと年収400万円の人Bがいるとします。Aさんは独身で、Bさんは子ども3人と親の面倒を見ているとしたら、Bさんの方がはるかにお金がかかりますよね。そんなときに「Bさんはたくさんの人を養ってるんだから、その分の控除をあげよう」というわけなんです。これは家族を大切にする社会をつくるための、政府の応援メッセージでもあるんですよ。
扶養控除は「税金を払う人が家族を養っているから、その分負担を減らしてあげよう」という制度。つまり、家族思いの人をサポートするためのルールなんだ。
⚠️ よくある勘違い
→ 扶養控除は税金を計算するときに、ある金額を引くだけ。税金がゼロになるわけではなく、安くなるだけなんです。例えば、50万円の控除があったら、その分に対する税金だけが安くなります。
→ 正解。給料から扶養控除の金額を引いた残りに対して税金がかかるので、結果的に納める税金の額が減るんです。
[toc]
扶養控除とは、どんな制度なのか
「扶養」「控除」の意味をまず理解しよう
扶養控除の話を理解するには、「扶養」と「控除」という2つの言葉の意味を分けて考えることが大切です。
まず「扶養」というのは、経済的に誰かを支えることです。親が子どもを食べさせたり、子どもが親の生活費を見ているという感じですね。実は身の回りにもたくさんあります。例えば、おじいちゃんの医療費を親が払っているのも「扶養」です。誰かの生活を自分のお金で助けることが「扶養」だと思えばいいんですよ。
次に「控除」というのは、計算をするときに何かを引くことです。税金の世界では「税金を計算するときに、この額を引いてから計算してね」という意味です。例えば、スーパーで「100円以上のお買い上げで50円引きクーポン」があるじゃないですか。あれが控除のイメージです。
だから「扶養控除」というのは「家族を養っているから、税金を計算するときに金額を引いてあげるよ」という制度だということになります。政府が「家族の面倒を見ている人たちって大変だから、税金で応援しよう」という政策なんですね。
なぜこんな制度があるのか
「なんで、わざわざこんな制度があるのか」と疑問に思うかもしれませんね。その理由は、生活の現実にあります。
同じ給料をもらっていても、家族が多い人と少ない人では、生活にかかるお金が全然違うんです。年収400万円の人を3人比べてみましょう。
- 独身者:自分の食事、自分の服、自分の趣味…自分だけのためにお金を使う
- 小学生2人の親:子どもの食事、学用品、習い事、塾のお金…たくさんの支出
- 両親と子ども2人を養っている人:親の医療費、親の食事、子どものお金…さらに大きな支出
同じ400万円でも、家族が多い人ほど「実際に自由に使えるお金」が少なくなってしまいます。だから「同じ給料なんだから同じ税金」というのは、実は不公平なんです。
そこで政府は「家族を養っている人には、税金の負担を減らしてあげよう」という制度を作ったんです。これは「家族を大切にする社会を応援する」という政府のメッセージでもあるんですよ。
扶養控除の条件と金額はどうなっているのか
扶養控除が受けられる条件
扶養控除はすべての家族が対象というわけではなく、いくつかの条件があります。「これらの条件を満たしたら、初めて扶養控除が使えるよ」というルールだと思ってください。
大事な条件は3つです。
条件1:親戚関係
扶養控除の対象になる家族は、法律で決まっています。親、祖父母、兄弟姉妹、子ども、孫…といった親戚関係にある人だけです。友だちや他人は対象にならないんですね。これは「本当に家族を養ってるんだ」ということを証明するためのルールです。
条件2:年齢制限
扶養控除の対象になる人には、年齢に制限があります。例えば、子どもなら「16歳以上」である必要があります。なぜ16歳からかというと「16歳未満の子どもは、児童手当という別の制度で応援されているから」という理由なんです。
祖父母などの高齢者には年齢制限がありません。むしろ「高齢になるほど、医療費やケアにお金がかかるから応援しよう」という考え方です。
条件3:年収制限
扶養している人の年収にも制限があります。その人の年収が一定額以下でないと、扶養控除は受けられないんです。例えば、子どもが16歳だけど、その子どもが働いていっぱい稼いでいたら「この子どもはもう親の扶養が必要じゃないね」ということで、扶養控除は受けられません。親の親を養っている場合も同じで「その親の年収が高い場合は扶養控除は使えません」というルールがあるんです。
扶養控除の金額はいくらか
扶養控除の金額は「誰を養っているか」によって変わります。これは「子どもよりも高齢者の方が、お金がかかることが多いから」という理由です。
基本的には
- 一般的な扶養親族(16歳から38歳まで):38万円の控除
- 高齢者扶養親族(70歳以上):48万円の控除
- 特定扶養親族(19歳から22歳まで):63万円の控除
という感じになっています。若い子どもより、高齢の親の方が金額が大きいでしょう。これは「親を養うのにはお金がかかるから、その分応援しよう」という考え方が反映されているんですね。
扶養控除でどれくらい税金が安くなるのか
控除額と実際の税金の関係
「扶養控除が受けられると、どのくらい得するのか」というのは、多くの人が気になる部分ですね。ここからは「具体的な数字」で説明していきます。
重要なのは「控除額」と「実際に安くなる税金」は違うということです。混同しやすいから注意してください。
例えば、親が子ども1人を扶養している場合、38万円の扶養控除が受けられるとしましょう。でも「38万円税金が安くなる」わけじゃないんです。38万円に対して「税金の率」をかけた金額が、実際に安くなる税金になるんですよ。
税金の率は人によって違います。給料が高い人ほど税率が高い、つまり「たくさん稼いでいる人ほど、たくさん税金を払う」というシステムなんです。
- 税率が10%の人が38万円の控除を受けたら:38万円×10%=3.8万円の節税
- 税率が20%の人が38万円の控除を受けたら:38万円×20%=7.6万円の節税
- 税率が30%の人が38万円の控除を受けたら:38万円×30%=11.4万円の節税
つまり、給料が高い人ほど、扶養控除による節税効果が大きいということですね。
実生活での影響
では、実際の生活に扶養控除がどう影響するかを考えてみましょう。
例えば、年収500万円の親が、高校生の子ども1人を扶養しているとします。この場合、38万円の扶養控除が受けられます。親の税率が約20%だとすると、年間で7.6万円の節税になります。月に直すと、約6,300円です。
「たったそれだけ?」と思うかもしれませんね。でも、これが毎月かかってくるお金なんです。子どもが高校卒業まで続くとしたら、合計で20万円以上の節税になります。それは家族にとって結構大きな金額ですよ。
特に、複数の子どもを養っている家庭や、親の親も一緒に養っている家庭では、この効果が大きくなります。子ども3人と親2人を養っている場合、月に1万円以上の節税になることも珍しくないんです。
扶養控除をもらうために必要な手続き
どこに申し込むのか
扶養控除をもらうために、自動的に税金が安くなるわけじゃないんです。自分から申し込む必要があります。
申し込む場所は、「働いている場所」と「個人で事業をしているか」で変わります。
普通のサラリーマンや公務員の場合は、職場の経理部門か総務部門に「扶養控除申告書」という書類を出します。これは会社が「この人は家族を何人養ってるんだから、給料から税金を引くときに、扶養控除を考慮して計算してね」と税務署に報告するための書類なんです。
個人で自営業をしている人は、自分で税務署に「確定申告」という書類を出すときに、扶養控除について記入します。これは「私は家族を養っているので、この金額を控除してください」と自分で税務署に申告するわけです。
必要な書類と情報
扶養控除の申告をするときに必要な情報を整理しておくと、手続きがスムーズです。
基本的には、扶養している人全員について
- 名前
- 生年月日
- マイナンバー(日本国民全員に振られている番号)
- 同じ世帯に住んでいるかどうか
- 年収がいくらか
という情報が必要です。祖父母や親を扶養している場合は、別途「扶養対象者の年収を証明する書類」が必要になることもあります。
会社員の人なら、毎年11月ごろに会社から「扶養控除申告書」という書類が配られるので、そこに記入して出すだけです。会社がすべての手続きをしてくれます。
扶養控除と似た制度との違い
扶養控除と扶養手当の違い
「扶養控除」と「扶養手当」という言葉があります。似ているから混同しやすいんですが、全然別の制度なんです。
扶養控除は「税金を安くする」制度だと説明してきました。一方、「扶養手当」というのは、会社が従業員に払うお手当のことです。つまり「家族を養ってるんだから、その分給料を多くあげるよ」というお金なんです。
例えば、会社が「子ども1人につき毎月5,000円の扶養手当を出します」と決めていたら、子ども2人いる人は毎月10,000円のお手当をもらえます。これは会社がくれるお金で、税金とは関係ない制度なんですね。
扶養控除は「政府が税金で応援する制度」で、扶養手当は「会社が給料で応援する制度」という感じで分けて考えると、わかりやすいですよ。
配偶者控除との違い
「配偶者控除」という制度もあります。配偶者というのは、つまり結婚相手のことです。
配偶者控除は「結婚相手を養ってるから、税金を安くしてあげよう」という制度で、仕組みは扶養控除とほぼ同じです。でも「誰が対象か」が違います。
扶養控除:親、祖父母、子ども、兄弟など親戚全般が対象
配偶者控除:結婚相手だけが対象
ざっくり言うと「結婚相手なら配偶者控除」「その他の家族なら扶養控除」という感じです。
扶養控除がある理由と今後
政府がこの制度を作った背景
扶養控除がなぜ存在するのかを理解するには、政府の考え方を知ることが大切です。
昔、日本の家族は大人数で、親の親も一緒に暮らすのが一般的でした。だから「若い世代が、複数の世代の面倒を見る」というのが普通だったんです。でも、そうなると若い世代は「税金をたくさん払いながら、たくさんの人を養う」という大変な状況になります。
そこで政府は「家族を養う人の税金を減らしてあげよう」という政策を作ったんです。これは「少子化対策」としても機能します。「子どもを育てるのにお金がかかるけど、税金で応援するから子どもを持ってね」というメッセージなんですね。
また、高齢化社会では「親や祖父母の面倒を見る人を応援しよう」という背景もあります。「親の面倒を見てくれるなら、税金で応援するよ」ということで、高齢者の扶養を促進しようとしているんです。
今後の制度の変化
ただし、扶養控除は今後変わる可能性があります。政治家たちの間でも「この制度は本当に必要か」という議論があるんです。
例えば「高所得者ほど節税効果が大きいのは不公平じゃないか」という意見もあります。月収20万円の人と月収100万円の人で、同じ子ども1人を養っている場合、節税額の差が大きくなってしまうんです。
また「この制度は本当に少子化対策になっているのか」という疑問もあります。もし制度を変えるなら「控除ではなく、給付金(つまりお金を直接あげる)に変えた方がいいのでは」という声もあるんですね。
つまり、今後は制度が大きく変わる可能性があります。大人になったときに「あ、この制度なくなってた」ということもあるかもしれません。政治のニュースで「扶養控除」という言葉が出てきたら、注意して聞いてみるといいですよ。
