垂直統合って何?わかりやすく解説

「スマホメーカーは、ほぼすべての部品を自分たちで作ってるんだよ」と聞いたことがありませんか?でも、実は違う方法をえらぶ会社もたくさんあります。どちらの方が儲かって、どちらが強いのか?その秘密は「垂直統合」という考え方にあるんです。この記事を読めば、大企業がなぜそこまでして部品から製品まで全部自分でやるのかが、バッチリわかりますよ。

先生、「垂直統合」ってなんですか?会社の組織図を立てにするってことですか?

いい質問だね。垂直統合っていうのは、つまり「製品ができあがるまでのすべての段階を、1つの会社が自分でやっちゃう」ってことなんだ。組織図じゃなくて、ものづくりの流れを一貫して支配するイメージだよ。
あ、そっか。たとえば?

たとえば、あるスマホメーカーが「電池も、液晶も、CPUも、全部ウチで設計して、ウチで作ろう」って決めたとするよね。そしたら原料の採掘から、部品製造、組み立て、販売まで全部が一本の流れになる。これが垂直統合だ。
へ〜、そんなことできるんですか?普通は部品会社から買ったりしませんか?

そこが重要ポイント。ふつうは、スマホメーカーは部品会社から液晶やCPUを買うよね。でも、大きな会社で資金がたくさんあれば、部品会社を買収したり、新しく作ったりして、自分たちで全部作ることもできるんだ。これをやることで、コストを下げたり、品質を完全にコントロールしたりできるようになるんだ。
📝 3行でまとめると
  1. 垂直統合とは、原材料から完成品まで 全部の段階を1つの会社が担当 することで、ものづくりの流れを完全支配すること
  2. メリットは コスト削減・品質管理・秘密保持 ができるので、ライバル企業より有利になること
  3. デメリットは 大きな投資が必要で、リスクが大きい ので、小さい会社には難しいビジネス戦略のこと
目次

もうちょっと詳しく

垂直統合の反対は「水平分業」つまり「それぞれの会社が得意な部分だけをやって、あとはほかの会社に任せる」というやり方です。たとえば、スマホメーカーAは「デザインと組み立てだけやって、部品はすべて専門会社から買う」という戦略ですね。どちらが正解かは、その時代や会社の状況によって違います。昔は垂直統合が強かったですが、最近は分業がうまくいってる例も増えてきました。大事なのは「自社の強みに合わせて選ぶ」ということなんです。

💡 ポイント
垂直統合は「全部自分でやる強み」と「全部自分でやるリスク」の両方がある戦略

⚠️ よくある勘違い

❌ 「垂直統合は必ず成功する」
→ 実は大きな投資が必要で失敗することもあります。技術が変わったときに対応が遅れたり、新しい部品会社に負けたりすることもあるんです。
⭕ 「垂直統合は一長一短で、状況で判断が変わる」
→ 昔は強かったやり方が、今も強いとは限りません。スピードが必要な時代は、分業で柔軟に対応する方が有利なこともあります。
なるほど〜、あーそういうことか!

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垂直統合とはどういう意味なのか

垂直統合の「垂直」って、まっすぐ上から下への流れをイメージしてもらえればいいです。ものが完成するまでのプロセスを「上から下へ」という流れで考えたとき、そのすべての段階を1つの会社が担当することを「垂直統合」と呼ぶんですね。

具体的に説明します。スマートフォンが完成するまでには、こんなステップがあります:

まず、原材料の採掘。ケータイの部品に使う金属やレアアース(つまり、特別な貴重な鉱物)を地下から掘り出す段階ですね。次に、その材料から電子部品を製造します。液晶画面、CPU(つまり、スマホの脳みたいな部品)、電池などですね。そして、それらの部品を組み立てて、1つのスマートフォンにします。最後に、完成したスマホを販売店に流して、お客さんに売ります。

ふつうの会社は、このプロセスを分けて考えるんです。たとえば、部品会社は「液晶を作る専門」、別の会社は「CPUを作る専門」という感じで、それぞれが一部分だけを担当します。そして、スマホメーカーはそれらの部品を買って、組み立てて販売する、という流れになるわけです。

でも、垂直統合をする会社は違います。「採掘から販売まで、全部ウチでやろう」と決めて、実際にそうするんです。その場合、その会社は採掘会社も持ってますし、部品製造工場も持ってますし、組み立て工場も持ってます。まるで、最初から最後まで自分たちの手で完成品を作り上げる大きな工場のイメージですね。

なぜ「垂直」という言葉を使うのか

「垂直」という言葉が使われるのは、ものづくりのプロセスを「上から下へ」という図で表すからなんです。図の一番上に「原材料」を書いて、その下に「部品製造」を書いて、さらに下に「組み立て」を書いて、一番下に「販売」を書く。そうすると、縦一直線に一貫したプロセスが見えますよね。これが「垂直」という言葉の由来です。

もし分業している場合(つまり、複数の会社がそれぞれ違う段階を担当している場合)のことを「水平分業」と呼びます。「水平」というのは「左から右へ」という横一直線のイメージですね。複数の会社が横一列に並んで、それぞれのプロセスを担当する、という感じです。

垂直統合のメリット:なぜ大企業はそこまでしてやるのか

垂直統合をするのに、莫大なお金がかかるのに、なぜ大企業はそんなことをするんでしょうか?それは、メリットがめちゃくちゃ大きいからなんです。主なメリットを説明していきますね。

1番目のメリット:コストを大幅に削減できる

普通、スマホメーカーが部品会社から液晶を買うとします。そしたら部品会社は「この部品に原価が1000円かかってるから、4000円で売るね」みたいな価格をつけます。メーカーは仕方なく4000円で買うわけです。その差額の3000円は部品会社の利益になります。

でも、もしメーカーが部品会社を買収して、自分たちで液晶を作ったとしたら?そしたら、その1000円の原価だけで液晶が手に入るわけです。3000円の仲介費用がなくなっちゃうんですね。これをすべての部品でやれば、ものすごくコストが下がります。その分、製品の価格を下げたり、利益を増やしたりできるようになるんです。

また、複数の部品会社から買うときは、それぞれに発注書を出したり、納期を調整したり、品質チェックをしたり、いろいろな手間がかかります。その事務作業のコストも削減できるわけです。

2番目のメリット:品質を完全にコントロールできる

部品会社から買ったら、その部品の品質は部品会社の責任ですよね。「液晶の色が悪い」とか「CPUの処理が遅い」とか文句を言っても、相手は「納期を短くしたから品質が…」みたいな言い訳をするかもしれません。

でも、垂直統合なら、全部自分たちの工場で作るので、品質を100%自分たちでコントロールできます。「この色にしたい」「この性能にしたい」っていう指示を、自分たちの工場に出せばいいんです。返事も早いし、文句も言えない(自分たちですから)。その結果、すごく品質が高い製品ができるわけです。

3番目のメリット:秘密を守ることができる

スマートフォンって、各メーカーが独自の技術を使ってるんですよね。「うちのスマホのこの機能が他社と違う」っていう秘密があるわけです。

もし部品会社に「このCPUを作ってほしい」と依頼したら、その部品会社は「あ、このメーカーはこんな技術を開発してるんだ」って知っちゃいます。もし、ライバル企業もその部品会社に依頼してきたら、秘密がバレちゃう可能性があるんですね。

でも、垂直統合なら、その情報は自社内に閉じられています。ライバルに知られる危険がないわけです。これって、ビジネスにおいてめちゃくちゃ重要なんですよ。

垂直統合のデメリット:全部自分でやることの危険性

メリットばっかり説明してきましたけど、デメリットも大きいんです。むしろ、このデメリットが大きすぎるから、すべての企業が垂直統合をしているわけじゃないんですね。

莫大な投資が必要になる

採掘場所を買ったり、製造工場を建てたり、従業員を雇ったりするのに、ものすごくお金がかかります。スマホ1つ作るのに、何千億円という単位でお金が必要になることもあります。

これができるのは、世界的な大企業だけなんです。中小企業が「垂直統合しよう」なんて思っても、銀行は「そんなに危険なことにお金は貸せません」って言っちゃいます。

技術が変わるときのリスク

スマートフォンの技術って、すごく速いスピードで進化してますよね。5年前の技術は、今はもう古いなんてことは珍しくありません。

もし、自分たちで全部の設備を持ってたら、新しい技術に対応するのに、また莫大なお金がかかります。「今の液晶技術は古い。新しい有機ELに切り替えよう」と思っても、液晶の製造工場に投資したばっかりかもしれません。古い工場は赤字になるし、新しい工場にも投資しなきゃいけない。これ、ものすごくリスクですよね。

一方、分業している会社なら、部品会社が新しい技術に対応してくれるのを待つだけです。部品会社が失敗しても、別の部品会社に切り替えればいい。リスクが分散されているわけです。

柔軟性がなくなる

スマートフォンが売れなくなったら、液晶の工場の人たちを何千人もリストラしなきゃいけません。これって、すごく大変ですし、社会的にも非難されます。

また、市場のニーズが「液晶よりも有機ELが欲しい」に変わったら、急に工場を切り替えることなんてできません。時間がかかっちゃいます。その間に、ライバル企業に市場を奪われちゃう可能性があるんです。

分業している企業なら、「この部品会社から、別の部品会社に切り替えよう」という判断が、もっと早くできるんですね。

垂直統合を選ぶ企業の事例

理論だけ説明してきたから、実際の例を見てみましょう。世界には、垂直統合を選んだ有名な企業がいっぱいあります。

スマートフォン業界の例

アップルのiPhoneを見てください。アップルは、iPhoneのための独自のチップ(つまり、CPUみたいなもの)を自社で設計して製造しています。A14チップ、A15チップみたいな名前のやつですね。

また、iPhoneの液晶画面も、アップルが指示して作らせています。だから、iPhoneの画面の色とか明るさが、他社のスマホと違うんです。さらに、アップルはiPhoneを販売するための直営店もいっぱい持ってます。つまり、設計から製造、販売まで、全部アップルが支配してるわけです。これが垂直統合ですね。

テスラという電気自動車の会社も、垂直統合で有名です。テスラは、自動車のエンジン(つまり、電動モーター)も、電池も、自動運転のコンピュータも、ぜんぶ自社で開発・製造してます。他の自動車メーカーは、エンジンはエンジンメーカーから買ったり、電池は電池メーカーから買ったりしています。でも、テスラはそんなことをしません。その結果、テスラのEV技術は独特で、ライバルが追いつくのに何年もかかってるんです。

一方、分業を選ぶ企業も

でも、業界によって、あるいは企業によって、分業を選ぶところもあります。

たとえば、ファッション業界。ナイキというスポーツブランドは、靴を自分たちで製造していません。アジアの工場に製造を発注して、デザインと販売だけやってます。なぜ?デザインと販売が、ナイキの本当の強みだからです。製造は、他社にまかせて、自分たちはデザイン開発と広告宣伝に集中する。その方が、市場の変化に素早く対応できるし、リスクも低いんです。

また、スマートフォンの中には、アップルじゃなくて、サムスンやシャオミみたいなメーカーがあります。彼らは、部品を外部から大量に買って、組み立てだけやるというやり方をしてます。なぜ?それは、彼らの強みが「安く、早く、大量に作ること」だからです。垂直統合だと、そういう柔軟性がなくなっちゃうんですね。

まとめ:垂直統合は、企業の戦略選択

垂直統合って、聞くと「すごく素晴らしい戦略」って思っちゃいますよね。でも、実は「その企業の状況に合っているか」で判断が変わる戦略なんです。

大事なのは「自分たちの強みは何か」「市場はどう変わってるか」「お金はいくらあるか」という3つのポイントで判断することなんですね。

アップルやテスラみたいに、独自の技術が強みで、お金がいっぱいある企業なら、垂直統合で秘密を守りながら、品質を完全にコントロールする戦略が成功します。

一方、ナイキみたいに、デザインやブランド力が強みの企業なら、製造は他社にまかせて、自分たちはデザインと販売に集中する方が、スピード感があって成功するんです。

つまり、正解は「それぞれの企業が、自分たちの状況に合わせて選ぶ」ということなんですね。ビジネスの世界では、「絶対の正解」はなくて、「その時代、その企業に合った選択」が成功の秘訣なんですよ。

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この記事を書いた人

大人になってから「これ知らなかった…」と恥ずかしい思いをした経験から、このサイトを作りました。お金・仕事・社会のしくみって、学校で教えてくれないのに知らないと損することだらけ。むずかしい言葉を「あーそういうことか!」って思えるまでかみ砕いて説明するのが得意です。主に経済・法律・税金・ライフイベント周りの用語を毎日更新中。

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