雇用維持って何?わかりやすく解説

景気が悪くなると「会社がつぶれるかも」「リストラが起きるかも」って不安になるよね。でも日本では「雇用を守る」って考え方がすごく大事にされていて、多くの会社が社員のクビを切らないように工夫しているんだ。この記事を読めば、会社が社員をどうやって守っているのか、そして自分たちの親の仕事がなぜ比較的安定しているのかが見えてくるよ。

あ、先生!「雇用維持」って、ニュースでよく聞くけど何ですか?

いいね。かんたんに言うと、会社が経営が苦しくなっても、働いている人たちをクビにしないでそのまま雇い続けるという努力のことだよ。
えっ、経営が苦しいのに?それってできるんですか?

そこだ。たしかに大変。だけど日本では政府が支援したり、会社が給料を少し減らしたり、余計な支出を減らしたりして、何とか社員の仕事を守ろうとするんだ。なぜならね、社員が働き続けることが、長い目で見れば会社にとっても社会にとってもいいからなんだよ。
あ、それでニュースで「雇用維持給付金きゅうふきん」とか「雇用調整助成金」って言葉がよく出るんですね!

その通り。政府が「社員をクビにしないでね、そのかわり応援するからね」ってお金を出すんだ。こういう仕組みがあるから、日本では急に失業する人が少なくて済んでいるわけ。
📝 3行でまとめると
  1. 雇用維持とは、会社が経営難でも 社員をクビにしない という努力のこと
  2. 政府の支援制度や会社の工夫で、 給料や雇用を守ろう とする
  3. 失業を防ぎ、社員と会社の 信頼関係を守る という考え方が基本
目次

もうちょっと詳しく

雇用維持という考え方は、日本の経営文化の中でも特に大事にされてきました。バブルが崩壊した1990年代、多くの会社が業績悪化に直面しましたが、その時も日本の企業は「社員をクビにする」ことよりも「給料を減らす」「採用を止める」といった選択をしてきたんです。これは日本的経営の特徴で、「会社と社員は家族のようなもの」という古い考え方の影響を受けています。2020年のコロナ禍でも、政府が「雇用調整助成金」という制度で会社を応援し、社員の給料が出るようにサポートしました。こうした制度がなかったら、たくさんの人が失業していたはずです。

💡 ポイント
日本では「社員を家族のように守る」という経営哲学があるから、他の国よりも失業率が低い傾向があるよ。

⚠️ よくある勘違い

❌ 「雇用維持があれば、給料は絶対に減らない」
→ 実は、会社が経営危機に直面したら、給料を一時的に減らすこともあるんだ。クビにしない代わりに給料を減らすのが、日本的な雇用維持のやり方だよ。
⭕ 「雇用維持は、仕事と生活を守るための工夫」
→ クビになって職を失うより、給料が少し減っても仕事を続ける方が、本人にとっても社会にとってもメリットが大きいって考え方なんだ。
なるほど〜、あーそういうことか!

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雇用維持とはなにか―社員の仕事を守るということ

雇用維持(こようじき)という言葉は、つまり「会社が社員の仕事の場を守り続けること」という意味です。会社の経営が難しくなった時、本来なら「人件費を削減するためにリストラ(人員削減)をしよう」という判断になりやすいですよね。でも日本では「雇用を守ろう」という考え方が強くて、できるだけそういう選択を避けようとするんです。

例えるなら、家計が苦しくなった時に、子どもの学費は何とか確保するけど、自分たちの趣味や娯楽費を削るってありますよね。それと同じで、会社も「社員の給料や仕事はできるだけ守ろう、その代わり他のところで工夫しよう」って考えるわけです。

雇用維持が求められる場面は、主に経済危機の時です。日本の歴史を見ると、1990年代のバブル崩壊の後、2008年のリーマンショック(つまり、アメリカの大きな金融危機のせいで世界全体の景気が悪くなること)、そして2020年の新型コロナウイルスの流行など、何度も大きな経済危機が起こっています。こういう時に政府も会社も「雇用を守ろう」という政策や判断をしてきたんです。

雇用維持が大事な理由は、単に「社員が困らないように」というだけじゃないんです。社員が失業してしまうと、その人たちが生活を支えるための新しい仕事を探さなければならなくなりますよね。そうすると家計が苦しくなるし、失業率が上がるし、失業している期間に仕事に必要な知識や技術が失われてしまう可能性もあります。つまり、社員個人にとって悪いだけじゃなくて、社会全体にとってもマイナスになってしまうということなんです。だから政府も「雇用を守る支援をしよう」って考えるわけですよ。

雇用維持と同じような言葉たち

「雇用」という言葉が出てくる言葉がいくつかあるので、ここで整理しておきましょう。よく聞く言葉に「雇用契約」ってありますよね。これは「会社と社員の間で『あなたは我が社で働いてください、給料はこれだけ払いますよ』という約束」という意味です。雇用維持は、その契約を守り続けることなんです。

一方、「リストラ」という言葉を聞いたことがあると思います。これは「リストラクチャリング」の略で、つまり「会社の組織を作り直すこと」です。昔は「人員削減」と同じ意味で使われていて、雇用維持の反対のイメージを持つ人も多いですね。また「失業」という言葉もあります。これは「雇用契約が終わって、仕事を失った状態」のことを指しています。雇用維持がうまくいけば、失業率は低くなるわけです。

なぜ雇用維持が大事なのか―社員と会社と社会のためにできること

雇用維持がなぜ大事なのかを理解するには、「もし雇用維持がなかったら何が起こるか」を想像してみるといいですよ。

まず、社員個人の視点で考えてみましょう。もし会社の経営が悪くなったらすぐにクビが切られてしまうとしたら、毎日が不安ですよね。給料をもらい続けられるか、明日仕事があるか、そんなことばかり考えてしまって、仕事に集中できなくなってしまいます。つまり、不安が大きいと生産性が落ちて、会社全体がますます経営難に陥ってしまうという悪い循環が生まれるんです。でも「この会社は社員を守ろうとしている」という信頼があれば、社員も頑張ろうって思えるわけですよ。

次に会社の視点です。一度クビにした社員を、景気が良くなって「さあ、また来てください」って呼び戻すことは難しいですよね。その間に他の仕事を見つけているかもしれないし、新しいスキルを学んでいるかもしれません。一方、雇用維持で社員を守り続けていれば、景気が良くなった時にすぐに本来の力を発揮してくれる可能性が高いんです。つまり、長い目で見たら会社にとってもプラスになるということなんですよ。

さらに社会全体の視点です。失業者が増えると、生活保護が必要になる人や犯罪が増える可能性もあります。また、失業している期間に技術が失われてしまうと、その後の経済成長にも影響してきます。雇用を維持することで、そうした社会全体の問題を防ぐことができるわけです。だから政府も雇用維持を支援する政策を作るんですね。

信頼関係の構築

日本の企業では「社員は家族」「社員との信頼が大事」という考え方が昔からあります。もちろん、企業によって違いますが、この考え方が雇用維持につながっているんです。社員も「この会社は自分たちを大事にしてくれている」と感じれば、給料が少し下がってもついていこうって思えるわけですよ。こういう信頼関係が日本の経済を支えてきた部分もあるんです。

雇用維持を支えるしくみ―政府の支援と会社の工夫

雇用維持がどうやって実現されているかというと、大きく二つの力が働いています。一つは政府の支援制度で、もう一つは会社の工夫です。この二つがあわさって初めて雇用維持ができるようになっているんです。

政府の支援制度の代表例が「雇用調整助成金」(こようちょうせいじょせいきん)です。つまり、「会社が社員を雇い続けるために、国がお金を出して応援しよう」という制度ですね。景気が悪くなった時に、会社が「給料を払い続けるのが難しい」という状況に陥ったら、政府がその給料の一部を負担してくれるんです。例えば、社員の給料が月30万円だとしたら、そのうち20万円は政府が出して、10万円は会社が出すみたいな感じですね。こうすることで、会社のお金が足りなくなっても社員の給料が出続けるわけです。

コロナ禍では、この助成金の条件が大きく緩和されました。つまり「景気が悪い理由がコロナだったら、条件をもっと簡単にして、より多くのお金を出そう」ってなったんですね。その結果、多くの会社が社員をクビにせずに済みました。もしこの制度がなかったら、失業率はぐっと上がってしまっていたと思いますよ。

会社が自分たちでできる工夫

政府の支援も大事ですが、会社自体も工夫をしなければなりません。その工夫にはいろいろな種類があります。

一つは「給料の一時的な削減」です。経営が悪くなった時に、社員のクビを切るのではなく、給料を一時的に減らすことで人件費を抑えるんです。もちろん社員の生活が苦しくなるので、普通は給料が復帰する日時を決めておきます。このやり方なら、社員も「今は大変だけど、景気が良くなれば給料が戻る」って頑張ることができるわけです。

二つ目は「採用の停止」です。つまり「景気が悪い間は新しい人は採用しません」という決定をするんですね。新しい人を採用しなければ、その分の人件費が削減できます。既にいる社員には給料を払い続けるけど、新しい人を増やすのは控えるという戦略です。

三つ目は「経営効率の改善」です。例えば、本社のビルの一部を貸し出すとか、不要な備品を売ってしまうとか、余計な支出を減らそうという工夫ですね。こうすることで、社員の給料を守るための資金を作り出すわけです。

四つ目は「職場の移動」です。これは「ある事業がうまくいかなくなったら、その人をうまくいっている別の事業に移動させよう」という工夫ですね。つまり、全体の人数を減らすのではなく、配置を変えることで何とかやっていこうという考え方なんです。

政府と会社の連携が大事

実は、雇用維持は政府と会社が一緒に頑張らなきゃ成功しないんです。政府が「雇用調整助成金を出すので、社員をクビにせずに給料を払ってください」と支援しても、会社が「それでも難しい」と判断したら会社は社員をクビにしてしまいます。だから、政府の支援の額が大事なんですね。助成金の金額が少なすぎたら「これじゃあ足りない、社員をクビにしなきゃ」ってなってしまうわけです。一方、会社も「これだけ政府が応援してくれるなら、自分たちも給料を一時的に下げて何とか頑張ろう」って思う必要があります。両者がそうした心構えを持つことで、初めて雇用維持が実現するわけなんですよ。

雇用維持が上手くいく例と難しい例―現実を見つめよう

ここまで、雇用維持がいかに大事で、どんなしくみで実現されているかを説明してきました。でも現実はそんなに簡単ではありませんよね。うまくいく例と難しい例があるんです。

雇用維持が上手くいった例:バブル崩壊のあとの日本企業

1990年代初め、日本経済は大きなバブル崩壊を経験しました。つまり、不動産や株の価格が急に下がって、多くの企業が損をしてしまった時代ですね。アメリカや他の国では、この時期に大量のリストラが行われました。でも日本では、多くの企業が社員をクビにせずに何とか乗り切ったんです。給料を下げたり、採用を止めたり、経営効率を改善したりして、社員を守ろうとしたわけですね。その結果、失業率は上がりましたが、それでも欧米ほど悪くはなりませんでした。

では、なぜそれができたのか。一つは、当時の企業が「社員を家族のように思う」という文化を持っていたからですね。経営者が「苦しい時こそ社員を守ろう」って決断したわけです。もう一つは、政府も「企業を応援する政策」を打ち出したからです。例えば、銀行にお金を注入して、企業がお金を借りやすくしたりしたんですね。こうした政府と企業の連携のおかげで、雇用維持が実現したわけなんです。

雇用維持が難しくなった例:経営が本当に危機的な場合

一方、雇用維持ができなくなってしまう例もあります。それは「会社そのものが倒産してしまう場合」ですね。

例えば、大手電機メーカーのシャープは、スマートフォンの普及で経営が悪化しました。政府の助成金を使ったり、給料を下げたりして何とか耐えていたんですが、最終的には経営難が深刻化してしまい、かなりの人員削減を余儀なくされました。つまり「雇用維持をしたくてもできない状況」に陥ってしまったわけですね。

こういう場合、社員はどうなるのか。失業してしまいますね。でも日本には「雇用保険こようほけん」という制度があります。つまり「失業した人に対して、国がお金を出して生活を支援しよう」という制度ですね。給付期間は人によって違いますが、例えば3ヶ月から1年くらいの間、失業給付しつぎょうきゅうふをもらいながら新しい仕事を探すことができるわけです。

コロナ禍での成功事例

2020年の新型コロナウイルスの流行は、飲食業や観光業に大きなダメージを与えました。突然、お客さんが来なくなってしまい、給料が払えない、バイトも雇えないという企業がたくさんあったんですね。

ただし、政府は「コロナはやむを得ない理由だから、雇用調整助成金の条件を大きく緩和しよう」と決めました。つまり、通常なら「会社が努力した結果、それでも人員削減が必要」という厳しい条件があるんですが、コロナの場合は「コロナが原因で給料が払えないなら、政府が応援します」という感じで、条件が簡単になったわけです。その結果、多くの企業が社員を守ることができました。

実際、2020年と2021年の失業率は、予想より上がらなかったんです。経済が悪くなったのに失業者が増えなかったというのは、雇用維持の政策がうまく働いたからだと言えるんですね。

これからの雇用維持―新しい課題と挑戦

ここまで、雇用維持の大事さと仕組みについて説明してきました。でも、これからの雇用維持には新しい課題が出てきているんです。

グローバル化と雇用維持の難しさ

昔は「日本の企業は日本人だけを雇用する」というのが普通でした。だから政府の政策や企業の努力も、日本人の雇用を守ることに集中していたんです。でも今は違いますね。多くの企業が海外で工場を持ったり、海外の人を日本で雇ったり、逆に日本人が海外で働いたりしています。

こういう状況の中で「雇用維持」はどうなるのか。例えば、日本の企業がインドで工場を持っていて、景気が悪くなったら、インドの労働者をクビにするのか、それとも日本の労働者をクビにするのか。政府の支援も「日本人だけ」なのか「外国人も対象か」なのか。こうした問題が出てくるわけですね。

雇用形態こようけいたいの多様化

昔は「終身雇用」(つまり「定年まで同じ会社で働く」という雇用形態こようけいたい)が当たり前でした。だから「雇用維持=社員を守る」というのは分かりやすかったんです。

でも今は違いますね。派遣社員はけんしゃいん、契約社員、パートなど、いろいろな働き方があります。同じ会社に同じ給料で何年もいるというわけじゃなくて「3年だけ働く」とか「時給で働く」みたいな働き方が増えているわけです。

こうなると「雇用維持」はどうなるのか。派遣社員はけんしゃいんや契約社員は、政府の助成金の対象になるのか。そんな問題が出てきてしまうわけですね。実は、派遣社員はけんしゃいんや契約社員も助成金の対象にはなるんですが、正社員ほど充実した支援はないのが現実です。つまり「非正規雇用の人たちの雇用維持は、正社員ほど手厚く守られていない」という問題が出ているわけなんです。

テクノロジーと雇用

AIやロボットの発展で「この仕事はロボットに奪われるのではないか」という不安も増えていますね。例えば、工場の作業がロボットに置き換わったり、事務作業がAIに置き換わったりする可能性があります。

こういう時代になった時に「雇用維持」ってどういう意味になるのか。単に「同じ仕事を続ける」ってわけにはいかなくなるかもしれません。「ロボットに奪われた仕事の代わりに、新しいスキルを学んで新しい仕事に移る」みたいな工夫が必要になるわけです。つまり「雇用維持」は「同じ仕事を守る」から「働く場を守る、必要なら新しいスキルも教える」というふうに進化していく可能性があるってことですね。

政府と企業の役割分担の再検討

最後に、政府と企業の役割分担も変わっていくでしょうね。昔は「企業が社員を守う、政府は少し応援する」みたいな感じでした。でも、これからはどうなるのか。

例えば、コロナ禍では「政府が思い切った助成金を出して、企業の負担を大きく減らす」というやり方がされました。つまり「企業だけに任せるのじゃなくて、政府がもっと責任を持つ」という新しい考え方が出てきたわけですね。これからも、こうした「政府の役割を強める」という流れが続くかもしれません。

あるいは、逆に「企業の自助努力を重視する」という方向もあるかもしれません。どちらにしても、雇用維持の仕組みは「時代に合わせて進化していく」ってことなんですね。そしてその進化の過程で、社員や労働者の声がちゃんと聞かれることが大事だと思いますよ。

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この記事を書いた人

大人になってから「これ知らなかった…」と恥ずかしい思いをした経験から、このサイトを作りました。お金・仕事・社会のしくみって、学校で教えてくれないのに知らないと損することだらけ。むずかしい言葉を「あーそういうことか!」って思えるまでかみ砕いて説明するのが得意です。主に経済・法律・税金・ライフイベント周りの用語を毎日更新中。

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