古い建物を改築したいのに「既存不適格だからダメ」と言われたことはありませんか?それって、古い建物が新しい法律ルールに合ってないってこと。この記事を読めば、なぜそんなことが起きるのか、そして自分の家や周りの建物にも関係あるのかが、すっきり理解できるようになりますよ。
- 昔の法律に合わせて建てた建物が、新しい法律に合わなくなった状態を 既存不適格 という
- 建築基準法などが 時代に合わせて厳しく なったせいで、こういうことが起きる
- そのままずっと住むのはOKだけど、改築するときは新しいルール に合わせないといけない
もうちょっと詳しく
既存不適格の建物がなぜ存在するのかというと、日本の建築基準法は時代とともにどんどん厳しくなってきたからです。「現在の基準で新しく建てるなら、こうしなきゃいけない」というルールが増えていくと、昔建てた建物の中には新しいルールに合わないものが出てくるんです。でも法律は「昔ちゃんと法律を守って建てた建物を、いきなり壊せ」とは言いません。そこで「既存建物はそのまま住んでいい。でも修理や改築をする時は、新しいルールを意識してね」という考え方が生まれたわけです。
既存不適格は「ルール違反」ではなく「ルール改正についていけていない」状態。昔は合法だった。
⚠️ よくある勘違い
→ 違います。そのまま住み続けるのは全く問題ありません。昔の法律で合法に建てられたから、今も使っていいんです。
→ これが正解。既存建物は保護されていますが、建て替えや大規模改修の時は新しい基準をクリアする必要があります。
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既存不適格とは何か
簡単にいうとどういう意味?
既存不適格(きそんふてきかく)とは、ある法律や規則が変わった後に、それを満たしていない建物や施設のことです。つまり、「昔はルール通りに建てたのに、後からルールが変わったから、今のルールには合ってない」という状態ですね。
例えるなら、あなたが学校の制服を買った時は「襟はこのくらいの大きさ」というルールだったので、ちゃんと合ったサイズで買いました。でも翌年、学校が「これからは襟をもっと小さくしないといけない」というルールに変えた。そしたらあなたの制服は「制度に合ってない」状態になっちゃったわけです。でも、だからって「その制服を今すぐ捨てろ」と言われることはないですよね。使い続けても大丈夫だし、卒業する時に新しく買うみたいな感じです。建物も同じ理由で、既存不適格でもそのままずっと住むのはOKなんです。
なぜこんなことが起きるの?
建物に関する法律って、特に日本では時間がたつにつれてどんどん厳しくなっていきます。その理由は、過去の事件や事故から学ぶからです。
例えば、昔は「あぁ、火事なんかめったに起きるわけないから、逃げ道は1個あればいいか」と思われていたとします。でも実際に火事が起きて、その時に逃げ道が1個だけだったから大勢の人が逃げられなくなっちゃった。そういう悔しいことが起きると、「これからは逃げ道を2個以上つけないといけない」と法律が変わるわけです。
同じように、地震があったり、台風で建物が倒れたり、火事で燃えやすい建物が多かったり…そういうことが何度も起きるたびに、建築基準法っていう建物のルール集が「あの時みたいなことが起きないように、もっと厳しくしよう」と、少しずつ厳しくなっていくんです。だから、何十年も前に建てられた建物は、新しいルールに合わなくなっちゃうってわけです。
なぜ既存不適格のままでいられるのか
昔の建物を壊さない理由
ここが大事なポイントなんですが、日本の法律は「過去にちゃんと法律を守って建てた建物は、そのままずっと使い続けていい」という考え方をしています。これを「既存不適格制度」と言います。
なぜそんなルールがあるかというと、「法律が変わったからって、昔建てた建物を全部壊すなんて、無駄だし、人の財産も奪うことになっちゃう」って考えるからです。想像してみてください。あなたの家が既存不適格だからって、「法律が変わったから家を壊してね」と言われたら、どう思いますか?めっちゃ怒りますよね。それに、わざわざ壊すのにもお金がかかるし、新しく建て直すのにもお金がかかる。世の中の古い建物を全部壊していたら、お金がいくらあってもたりません。
だから、法律は「昔の建物は保護しよう」という優しいルールを作ったんです。そのかわり、「ただし、もし改築したり建て直したりするなら、その時は新しいルールに合わせてね」っていう条件がついてるわけです。
いつまで使い続けられる?
既存不適格の建物は、基本的には「ずっと」使い続けられます。100年経ってもOK。新しいルールが作られた後だって、その建物をそのまま使うのは問題ないんです。
ただし、注意点があります。「改築」や「増築」をする時は、その改築の部分は新しいルールに合わせないといけません。また、「建て替え」をする時は、当然ながら新しく建てるので完全に新しいルールに合わせないといけません。部分的な修理とか、内装を直すとか、そういう小さい工事なら大丈夫。でも「建物の大事な部分を変える工事」だったら、そこは新しいルールをクリアする必要があるってわけです。
具体的にはどんな建物が既存不適格?
よくある例
既存不適格になりやすい建物をいくつか例に挙げてみます。
まず、昭和の時代に建てられた古い住宅。昭和時代は建築基準法がそこまで厳しくなかったので、「階段がすごく急でいいか」「逃げ道が1個でいいか」みたいな、今から見るとビックリするようなルールだったんです。
次に、都市計画が変わった地域の建物。都市計画とは、「この地域はどのくらい高い建物を建てていいか」「どのくらい密集して建物を建てていいか」っていう計画なんですが、計画が変わると、昔はOKだった建物の高さが、今のルールに合わなくなることがあります。
さらに、消防法が変わった時代の建物。たとえば、昔はビルの廊下に幅が広い通路があれば「十分逃げられるでしょ」と思われていたけど、今は「いや、エレベータの近くにはスプリンクラーつけないといけない」とか、どんどん細かいルールが増えています。
築年数だけでは判断できない
ここで大事なのが、「築年数が古い=既存不適格」ではないってことです。たとえば、昭和30年代の古い建物でも、当時の基準をちゃんと守って建てられていれば、その時点では合法です。後から法律が変わって、初めて既存不適格になるんです。
逆に、比較的新しい建物でも、建てた直後に法律が変わったら、いきなり既存不適格になることもあります。または、建てた時は合法だったけど、その後何度も法律が変わって、気づいたら既存不適格になってた…なんてこともあります。
既存不適格で困ることは?
改築や売却の時に問題が出る
既存不適格の建物そのものは、そのまま使ってる分には全く問題ありません。でも、「壊して建て直したい」「大きく改築したい」「売却したい」みたいな時に、いろいろな手続きが複雑になったり、コストがかかったりします。
まず、建て替えする場合を考えてみましょう。今までは「敷地の40%までしか建物を建てちゃダメ」というルールだったとします。昔の法律で建てた建物はこのルール通り、敷地の40%の大きさでした。でも今は「敷地の50%まで建てていい」というルールに変わったとします。そしたら、今度建て直す時は「敷地の50%の大きさで新しく建てられる」ので、結果的には前の建物より大きい建物が建てられるわけです。これは得ですよね。でも逆に、「昔はOKだった密度で建てた商業ビル、今のルールだと建て替えできない」なんて状況も起こります。
次に、売却する時も注意が必要です。不動産を買う人は「この建物は新しいルールに合ってますか?」と質問することが多いです。「既存不適格です」と答えると、「あ、では値段を安くしてください」と言われることもあります。理由は、将来その人が建て直したい時に、複雑な手続きや追加の工事が必要になるかもしれないからです。
金融機関からの融資が難しくなる
既存不適格の建物を購入する時に、銀行からお金を借りたいと思ったら、銀行が「え?既存不適格?ちょっと大変だね」と言ってくるかもしれません。銀行の視点では、「この建物の担保価値(つまり、もし借金を返してもらえなくなった時に、この建物を売った時のお金)がどのくらいあるのか」が重要です。既存不適格の建物だと、担保価値が不確定になる可能性があるので、融資の条件が厳しくなったり、金利が高くなったりすることがあります。
保険の加入が難しくなるケースも
火災保険とか地震保険とか、建物の保険に入ろうとする時も、既存不適格だと「保険に入れません」と言われることがあります。保険会社の視点では、「この建物は倒れる危険性が高いかもしれない」と考えるからです。特に地震が多い日本では、「昔のルールで建てた建物は、新しい地震対策の基準を満たしていない可能性があるから、保険に入れられない」というケースもあるんです。
既存不適格でも改築できるのか
改築の内容によって違う
既存不適格の建物でも、改築はできます。ただし、「どのレベルの改築か」によって、新しいルールへの対応が変わります。
まず、「修理」や「修繕」という小さな工事なら、基本的には新しいルールに合わせる必要はありません。たとえば、「屋根が傷んだから直す」「窓ガラスが割れたから取り替える」みたいなレベルなら大丈夫。これは「既存不適格制度」で保護されているんです。
次に、「改築」という工事があります。これは「建物の一部分を取り壊して、別の建物に作り直す」というレベルです。この場合、その改築する部分については、新しいルールに合わせないといけません。でも、改築しない部分は古いルール通りでもいいんです。たとえば、「古い家の2階を全部取り壊して、新しく建て直す」という改築なら、その2階は新しいルールに合わせるけど、1階はそのままでいい、みたいなことが可能な場合もあります。
最後に、「建て替え」という工事があります。これは「建物全体を壊して、ゼロから新しく建てる」ということです。この場合は当然、新しい建物だから完全に新しいルール通りに建てないといけません。
改築する時の手続き
既存不適格の建物を改築する時は、工事を始める前に役所(建設課とか建築課とか)に相談することが大事です。なぜなら、「どこまで改築したら、どのくらい新しいルールに対応しないといけないのか」が、複雑だからです。
役所の人に相談すると、「この改築ならこの部分は新しいルールに対応してね」とか「この程度の工事なら新しいルールに対応しなくていい」みたいなアドバイスをもらえます。素人判断で「大丈夫だろ」と工事を進めると、後から「あ、これはダメです」と言われて、工事をやり直すはめになることもあります。だから、事前に相談することが超大事なんです。
セットバック(敷地後退)という工事
都市計画が変わったことが原因で既存不適格になった建物の場合、「セットバック」という工事が必要になることがあります。セットバック(敷地後退)とは、つまり「建物を敷地の中で後ろに移動させる」という工事のことです。
例えば、昔は「建物を道路の端まで建ててもいい」というルールだった。でも今は「建物は道路から1メートル離して建てなきゃダメ」というルールに変わった。そしたら、敷地の手前1メートルの部分は建物を建てちゃダメになるわけです。だから「昔の建物を建て直す時は、その1メートル分、敷地の奥に下がって建てなさい」というわけです。これがセットバック。結果として、建物が小さくなっちゃうので、建て替えする人にとっては「あ〜、残念」みたいなことになります。
セットバックが必要な地域で建て替えする時は、このセットバックの部分が道路として使われるようになります。つまり、自分の敷地の一部が、公共の道路になっちゃうってわけです。
