ネットで何か買ったあと、「やっぱり違う色がよかったな」って返品したことはないかな?お店側から見ると、せっかく売り上げに計上した商品が戻ってくるわけで、これって会計上ちょっと困った話になるんだよね。そんな「いつか返品されるかもしれない分」をあらかじめ見積もって帳簿に積んでおく仕組みが返品引当金だよ。この記事を読めば、返品引当金がなぜ必要なのか・どうやって計算するのか・どう仕訳するのかが全部わかるよ!
- 返品引当金は、将来の返品による損失を 売上計上と同じ期 に見積もって積んでおく準備金だよ
- 計算は 過去の返品率 に今期の売上をかけて合理的に見積もる方法が一般的だよ
- 期末に費用計上→実際の返品で取り崩す、という 2ステップの仕訳 で処理するよ
もうちょっと詳しく
返品引当金は、会計基準では「返品調整引当金」という名前で登場することが多いよ。この引当金が必要になるのは、主に出版業・食品業・アパレル業など、慣習として返品が認められている業界だよ。たとえば本屋さんに並んでいる雑誌や書籍は、売れ残ったら出版社に返せる「委託販売」の仕組みが多いんだよね。このとき出版社は「売上を全額認識したけど、実はかなりの量が返ってくる」という状態になる。だから期末に返品見込み額を引当金として計上しておくことで、財務諸表に「実態に近い利益」を映し出せるんだよ。2021年からの新収益認識基準では「返金負債」や「返品資産」という形に変わってきているけど、基本の考え方は同じで「将来の返品をあらかじめ財務諸表に反映する」ということだよ。
出版・食品・アパレルなど返品慣行がある業界で特に重要!
⚠️ よくある勘違い
→ 返品が実際に来てから処理するのは「引当金の取り崩し」の段階。引当金そのものは、返品が来る前の期末に見積もって計上するものだよ。
→ 費用収益対応の原則にしたがって、売上と同じ期に損失の見積もりを費用計上するのが正しい処理だよ。返品が来てから計上するのでは遅いんだよね。
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返品引当金とは?まずは基本をおさえよう
「引当金」ってそもそも何もの?
まず「引当金」という言葉から確認しよう。引当金とは、つまり「将来に発生することがほぼ確実な費用・損失を、あらかじめ当期の帳簿に積んでおくお金」のことだよ。
身近な例で考えてみよう。学校のクラスで旅行に行くとき、積立金を毎月少しずつ集めるよね。旅行はまだ先だけど「必ずお金がかかる」とわかってるから、今のうちに準備しておく。これが引当金の発想とまったく同じなんだよ。
会計の世界では、引当金を計上するためには次の4つの条件を満たす必要があるとされているよ。
- 将来に費用・損失が発生することが確実(または高い確率)である
- その費用・損失が当期以前の事象に起因している
- 発生する可能性が高いこと
- 金額を合理的に見積もれること
返品引当金はこの4条件をきれいに満たすよ。「過去に売った商品が返ってくる可能性が高く、過去のデータから金額を見積もれる」からね。
返品引当金の定義をひとことで言うと
返品引当金とは、つまり「当期に売り上げた商品のうち、翌期以降に返品されると見込まれる分の損失を、売上と同じ期に見積もって計上しておく引当金」のことだよ。財務諸表上は負債として貸借対照表(バランスシート)に載るよ。なぜ負債かというと、「将来お客さんへ代金を返さなければならない義務」を表しているからだよ。
また最近の会計基準(2021年施行の収益認識会計基準)では「返金負債」という勘定科目が使われることも多くなってきたよ。名前は変わっても考え方は同じなので、セットで覚えておこう。
なぜ返品引当金が必要なのか?会計の大原則から考える
費用収益対応の原則とは
返品引当金が必要な理由を理解するには、会計の超重要ルール「費用収益対応の原則」を知らなきゃいけないよ。これは、つまり「売り上げ(収益)とそれを生むためにかかったコスト(費用)は、同じ会計期間にまとめて記録しなさい」というルールのことだよ。
具体例で考えよう。アパレルメーカーのA社が3月(決算月)にTシャツを1000万円分売ったとする。ところがそのTシャツは翌月の4月に100万円分返品されてきた。もし返品が来た4月に損失を記録するとどうなるか?
- 3月の利益:1000万円(実態より高い!)
- 4月の損失:100万円(なぜか4月に急に損失が出る)
これだと、3月の決算書を見た投資家や銀行が「めちゃ儲かってる!」と思うのに、翌月になったら急に損失が出てびっくりする、という状況になってしまうよね。財務諸表の信頼性がガタ落ちだよ。
だから返品引当金を使って、3月の時点で「たぶん80〜100万円くらい返ってくるだろう」と見積もり、3月の費用として計上しておく。そうすれば3月の利益は約900万円と実態に近い数字になるんだよ。
どんな業界で使われる?
返品引当金は全業種で使うわけじゃないよ。返品が商慣習として認められている業界で特に重要になるよ。代表的なのは次のような業界だよ。
- 出版業:書籍・雑誌は売れ残りを出版社に返せる「委託販売」が一般的
- 食品業:賞味期限管理の関係で返品が発生しやすい
- アパレル業:シーズン末の返品・売れ残り返品が多い
- EC(ネット通販):近年は「返品無料」を売りにするサービスが増えている
逆に、受注生産品や建設業のように返品が発生しにくい業界では、あまり使われないよ。
返品引当金の計算方法:どうやって見積もる?
基本の計算式
返品引当金の金額は、次の式で計算するのが基本だよ。
返品引当金 = 期末の対象売上高 × 見積返品率 × 売上総利益率(または原価率)
ちょっと複雑に見えるけど、順番に考えればOKだよ。
ステップ①:見積返品率を決める
まず「売上のうち何%が返品されるか」を過去の実績から計算するよ。たとえばA社の過去3年のデータが次のようだったとしよう。
- 1年前:売上5000万円、返品150万円 → 返品率3.0%
- 2年前:売上4800万円、返品144万円 → 返品率3.0%
- 3年前:売上5200万円、返品130万円 → 返品率2.5%
3年平均だと約2.8%。これが見積返品率になるよ。
ステップ②:期末売上残高に返品率をかける
次に「まだ返品の可能性がある売上」=期末時点で返品期限内の売上高に返品率をかけるよ。期末売上残高が2000万円なら:
2000万円 × 2.8% = 56万円
これが返品見込み額だよ。
ステップ③:利益部分だけを引当金にする(旧基準の場合)
旧来の日本基準では、返品引当金として計上するのは「返品されたときに失う利益(売上総利益)部分だけ」とされていたよ。売上総利益率が40%なら:
56万円 × 40% = 22.4万円 → これが返品引当金の金額
一方、2021年以降の新収益認識基準では返金負債として「売上全額の返金見込み額」を計上する方式に変わっているよ。どちらの基準を使うかは会社の規模・方針によって違うので注意しよう。
返品引当金の仕訳:帳簿にどう記録する?
期末に引当金を計上する仕訳
決算期末(たとえば3月31日)に返品引当金を積む仕訳はこうなるよ。
- 借方:返品調整引当金繰入 22万4千円(費用)
- 貸方:返品調整引当金 22万4千円(負債)
「繰入」というのは、つまり「引当金を新たに積む(費用として計上する)」という意味の言葉だよ。この仕訳によって、当期の費用が増えて利益が減る。実態に近い利益になるわけだよ。
実際に返品が来たときの仕訳
翌期(たとえば4月)に実際に22万円分の返品が来たとき、仕訳はこうなるよ。
- 借方:返品調整引当金 22万円(負債を減らす)
- 貸方:売上 22万円(収益を減らす)
積んでおいた引当金を使って(取り崩して)、売上を減らすイメージだよ。このとき翌期の損益には影響しないのがポイント。なぜなら、すでに前期に費用を計上済みだからね。
見積もりが外れたらどうする?
見積もりどおりに返品が来なかった場合(たとえば積んだのに返品がほとんど来なかった)は、余った引当金を引当金戻入益(収益)として取り崩すよ。逆に見積もりより多く返品が来た場合は、不足分を翌期の費用として追加計上する。こうして毎期見直しながら、より実態に近い数字に近づけていくんだよ。
新収益認識基準での「返金負債・返品資産」との違い
2021年から変わった会計処理
2021年4月から、上場企業などには「収益認識に関する会計基準」という新しいルールが適用されているよ。この基準では、従来の「返品引当金」に代わって返金負債と返品資産という2つのセットで処理するようになったんだよ。
返金負債とは
返金負債とは、つまり「お客さんに返金しなければならない可能性がある金額」のことだよ。売上全額のうち、返品が見込まれる部分を収益から除いて負債として計上するよ。
- 売上高1000万円、返品見込み50万円の場合
- 売上として認識:950万円
- 返金負債として計上:50万円
返品資産とは
返品資産とは、つまり「返品されてきた商品を回収する権利(資産)」のことだよ。返品があれば商品が手元に戻ってくる分、それを資産として計上する。売上原価の取り消しに相当する金額だよ。
新基準では「売上を最初から正しい金額(返品分を除いた額)で認識する」という発想になっているよ。旧来の引当金方式と比べて、財務諸表の実態をよりクリアに見せられる仕組みになっているんだよ。中小企業は引き続き旧来の引当金方式を使えることも多いので、どちらの基準が適用されるかは必ず確認しよう。
どっちも「将来の返品を今の財務諸表に反映させる」という目的は同じ
新基準でも旧基準でも、根っこの考え方は変わらないよ。「今期売った分に関係する損失は、今期の財務諸表にちゃんと反映しよう」という費用収益対応の原則に沿っている点はまったく同じなんだよ。名前や仕訳の形が少し違うだけで、やりたいことは一緒だって理解しておくと、どちらの基準が出てきても迷わず対応できるよ。
