「年金って、国がやってるやつだけじゃないの?」って思ってる人、けっこう多いんじゃないかな。実は会社員の中には、国の年金とは別に「厚生年金基金」っていう上乗せ年金をもらえる人たちがいるんだよ。でも「基金ってなに?」「今でもあるの?」って疑問だらけだよね。この記事を読めば、厚生年金基金のしくみ・歴史・今の状況まで、ぜんぶわかるようになるよ!
- 厚生年金基金とは、国の厚生年金に 上乗せ給付 をするために会社や業界団体が作った独自の年金組織のこと
- 運用失敗や不祥事が相次ぎ、2014年の法改正以降は 新規設立が原則禁止 になり多くが解散した
- かつて加入していた人は今も受給できる場合があるため、年金記録の確認 が大切になってくる
もうちょっと詳しく
厚生年金基金はざっくり言うと「2階建て年金の上に、さらに3階部分を作ったしくみ」だよ。日本の年金は、1階が国民年金、2階が厚生年金という2階建て構造になっているんだ。厚生年金基金はその2階の一部を代わりに運営しながら(これを「代行部分」と言う)、さらに独自のお金を上乗せして払う(これを「加算部分」と言う)というしくみを持っていたんだよ。つまり、加入者は国よりも多くの老後の給付を受け取れる可能性があったわけ。ただしその運用がうまくいかなくなったことで、多くの基金が約束通りの給付を続けられなくなってしまったんだよね。現在では「企業年金連合会」という組織が解散した基金の給付を引き継いでいるケースもあるよ。
解散した基金の受給権は企業年金連合会が引き継ぐことが多い。昔に加入していたなら確認してみよう!
⚠️ よくある勘違い
→ 2014年以降は新設禁止で、現存する基金も非常に少ない。現役世代のほとんどは加入していない。
→ 過去に加入していた人は受給権が残っている可能性があるため、年金記録を確認することが重要。
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厚生年金基金とは?まずは基本を押さえよう
厚生年金基金というのは、会社や業界団体が国から認可を受けて作った「上乗せ年金の運営組織」のことだよ。
日本の年金のしくみを思い出してみよう。日本の年金は「多層構造」になっていて、よく「2階建て」と表現されるんだよ。
- 1階部分:国民年金…20歳以上60歳未満の全員が加入する基礎年金
- 2階部分:厚生年金…会社員や公務員が追加で加入する年金
厚生年金基金はさらにその上、いわば「3階部分」を作るためのしくみだったんだよ。しかも面白いのは、ただ3階を追加するだけじゃなくて、2階の一部(厚生年金の一部)を国の代わりに基金が管理・運用する「代行」というしくみも持っていたこと。
具体的には、厚生年金基金の給付は2つの部分で成り立っていたんだ。
- 代行部分:国の厚生年金の一部を基金が代わりに払うもの(本来は国から受け取るはずだったお金)
- 加算部分(プラスアルファ部分):基金が独自に上乗せするお金
つまり厚生年金基金に加入していた人は、「国の年金より多くの老後のお金がもらえる」という恵まれた状況だったんだよ。たとえるなら、バイト先が「時給は法律通りだよ、でもうちは交通費・食事補助・ボーナスも出すよ」って言ってくれる感じ。それと似たしくみだよ。
誰が作れたの?
厚生年金基金は誰でも自由に作れるわけじゃなかったよ。設立するには厚生労働大臣の認可が必要で、かつ以下のような要件があった。
- 1社単独で作る場合:原則500人以上の被保険者(社員)が必要
- 複数の会社がまとまって作る場合(総合型):全体で3,000人以上が目安
- 同業種の企業が集まって作る場合(連合型):一定規模の企業グループが必要
大企業や大きな業界団体が中心になって作るものだったんだね。中小企業の社員はほとんど関係ない話だったというわけだよ。
厚生年金基金が生まれた理由と全盛期
厚生年金基金が生まれたのは1966年(昭和41年)のことだよ。この時代、日本は高度経済成長の真っ只中で、会社もどんどん大きくなっていた時期だよね。
当時の問題意識はシンプルで、「国の年金だけじゃ老後の生活が心配だ」というものだったんだよ。国の年金制度はまだ歴史が浅く、給付額も十分ではなかった。そこで国が「会社や業界団体が自分たちで上乗せ年金を作るなら認めてあげるよ」という形で制度化したんだよ。
1970〜1990年代にかけて、バブル経済の時代には株式や不動産の価格がどんどん上がっていたから、基金が運用するお金もどんどん増えた。この時代は厚生年金基金が絶好調で、加入者数も基金の数も増え続けたんだよ。
全盛期の規模はどのくらい?
最も多い時期(1990年代)には、全国に約1,800以上の基金があり、加入者数は約1,200万人にも上っていたと言われているよ。これだけ多くの会社員が「国の年金+基金の年金」という2重の保護を受けていたんだよね。
たとえるなら、スマホの月額料金でいうと、「基本プランだけじゃなく、プレミアムオプションにも入ってる人がたくさんいた」みたいなイメージかな。
なぜ厚生年金基金は衰退したのか
全盛期を誇った厚生年金基金が急速に減っていったのには、いくつかの大きな理由があるんだよ。
①バブル崩壊と低金利の長期化
1990年代初頭にバブル経済が崩壊すると、株価や不動産の価値がガタ落ちした。基金はそれまで運用で稼いだお金を原資に年金を払っていたんだけど、運用成績が悪化すると「払えるお金」がどんどん減っていくんだよ。
さらに日本は長い間「超低金利時代」が続いたよね。つまり銀行にお金を預けても利息がほとんどつかない状態。基金が想定していた「運用で○%の利回りが出る」という前提が崩れてしまったんだよ。
たとえるなら、「毎月のバイト代から少しずつ貯金して、将来の旅行資金にしよう!」と思っていたのに、バイトがなくなって収入がゼロになっちゃった感じ。でも旅行の約束はすでにしてあるから、お金がないのに払わないといけない状況になっちゃったんだよ。
②AIJ投資顧問事件(2012年)
2012年に起きた「AIJ投資顧問事件」は、厚生年金基金への信頼を一気に失わせる大スキャンダルだったよ。AIJという投資会社が、厚生年金基金から2,000億円以上のお金を預かって運用していたんだけど、実際はほぼ全額を損失させていながら、それを長年にわたって隠していたんだよ。
この事件をきっかけに、世間から「厚生年金基金の運用管理はずさんだ」という批判が高まり、国も制度を見直す方向に動いたんだよ。
③2014年の法改正で新設禁止に
こうした問題を受けて、2014年(平成26年)に「厚生年金保険法」が改正され、厚生年金基金の新規設立が原則禁止になったんだよ。さらに財政状況が悪い既存の基金は解散を促される形になり、その後、基金の数は急速に減少していったんだ。
解散した基金の年金はどうなるの?
「基金が解散したら、加入してた人の年金は消えるの?」って心配する人もいるかもしれないけど、すべてがなくなるわけじゃないよ。
代行部分は国に返還される
基金が解散するときは、国の厚生年金を代わりに運営していた「代行部分」を国(日本年金機構)に返還するんだよ。つまり、代行部分については引き続き国から受け取れる形になるんだ。
加算部分は企業年金連合会が引き継ぐ場合も
基金独自の上乗せ部分(加算部分)については、財政状況によって変わってくるよ。財政が健全な状態で解散した場合は、「企業年金連合会」という組織に移行して、将来の年金支払いを引き継いでもらえることが多いんだよ。ただし財政が悪化した状態で解散した場合は、給付が減額されたり、最悪の場合は払えなくなることもあるんだよね。
だから昔に厚生年金基金に加入していた人は、今の状況を確認することがとても大切なんだよ。
確認するにはどうすればいい?
- ねんきん定期便:毎年誕生月に届く書類で、自分の年金記録を確認できるよ
- ねんきんネット:インターネットで自分の年金記録を確認できるサービスだよ
- 企業年金連合会への問い合わせ:加入していた基金が解散している場合は、直接問い合わせることもできるよ
厚生年金基金と混同しやすい「企業年金」との違い
「厚生年金基金」と似た言葉に「企業年金」があるよ。ちょっとわかりにくいので整理しておこう。
企業年金というのは「会社が社員のために用意する年金」の総称で、厚生年金基金はその企業年金の一種だったんだよ。
現在の企業年金の主な種類
厚生年金基金が衰退した後、企業年金の主役は以下の2つに移っているよ。
- 確定給付企業年金(DB):将来もらえる金額があらかじめ決まっている年金。会社が運用リスクを負う。つまり「老後は月○万円もらえますよ」と約束してくれるタイプだよ
- 確定拠出年金(DC)・iDeCo:毎月一定額を積み立てて、自分で運用する年金。将来の受取額は運用結果によって変わる。つまり「毎月○円積み立てるけど、将来いくらになるかは自分の運用次第」というタイプだよ
今の会社員が加入している企業年金は、こちらのタイプが多いよ。厚生年金基金は歴史の中に消えつつある制度だけど、「年金の多層構造」という考え方は今も受け継がれているんだね。
厚生年金基金との大きな違い
厚生年金基金の最大の特徴は「国の厚生年金の代行をしていた」こと。これは確定給付企業年金にはないしくみで、厚生年金基金だけが持っていた特殊な役割だったんだよ。この「代行」というしくみが複雑さを生み、財政悪化時の問題も大きくなってしまった一因でもあるんだよね。
つまりまとめると、厚生年金基金は「良かれと思って作られたけど、時代の変化と運用の失敗でうまくいかなくなった老後保障のしくみ」だったと言えるよ。今の若い世代には直接関係することは少ないけど、自分の親や祖父母が加入していた可能性は十分あるから、家族の年金記録を一緒に確認してあげるのもいいかもしれないね!
