スマートフォンの登場で、ガラケーやカメラメーカーが大ピンチになったことを知ってる?それにNetflixが出てきて、DVDレンタル屋さんがどんどん閉店していったのもそう。実は、こういう「古い業界がいきなり苦しくなっちゃう現象」には理由があるんだ。それが「破壊的イノベーション」という経営学の考え方。この記事を読めば、なぜ大企業でも失敗するのか、新しいビジネスはどうやって生まれるのかが、すっきりわかるよ。
- 破壊的イノベーションは、古い業界の価値観をぶっ壊す新しい価値のこと。性能が低くても、全く新しい使い方ができると、古い企業に勝つ
- 古い企業は現在の顧客や儲け方を守ろうとするので、新しい価値に気づきにくい。だから破壊的イノベーションが成功する隙が生まれる
- スマートフォン、Netflix、Airbnbなど、身の回りに破壊的イノベーションの例がいっぱい。古い業界から新しい業界への転換はこれで起きる
もうちょっと詳しく
経営学者のクレイトン・クリステンセンという人が「破壊的イノベーション」という言葉を作りました。彼が色々な企業を研究したら、優秀な企業でも失敗することがあることに気がついたんです。なぜか?それは「今の顧客を大事にする」という長所が、新しい市場では短所になってしまうからです。例えば、DVDレンタル屋さんは、レンタル代で儲かってました。だからNetflixが出てきた時「月いくらで見放題」という価値を理解できなかった。だから破壊的イノベーションを止められなかったんです。
古い企業が強いほど、新しい価値が見えにくくなってしまう。これが破壊的イノベーションが成功する理由
⚠️ よくある勘違い
→ 違います。新しいだけじゃ破壊的じゃないんです。古い業界をぶっ壊すくらいの新しい価値がないといけません。
→ スマートフォンのように、まったく違う角度から新しい価値を提供することで、古い業界を変えてしまう。それが破壊的イノベーションです。
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破壊的イノベーションって何?
新しい価値が古い業界をぶっ壊す
破壊的イノベーション。これは一言で言うと「新しい価値観が古い業界を根こそぎ変えてしまう現象」のことだよ。つまり、古い企業がどんなに頑張っても、全く違う角度からの新しい価値には勝てなくなるってわけだ。
例えば、昔はカメラと言えば、ソニーとかキヤノンとかの大企業が作る、すごく高性能なカメラを買うのが当たり前だった。プロカメラマンも、写真好きな人も、みんなそういうカメラを使ってた。ところがスマートフォンが出てきたらどうなった?スマートフォンのカメラは最初の頃、デジカメと比べたら性能なんか比べ物にならないくらい低かった。でも「ポケットに常に入ってる」「いつでも撮れる」「撮ったらすぐにSNSに上げられる」っていう全く新しい価値があった。そしたら普通の人は「高いデジカメ買おう」って思わなくなった。スマートフォンで十分だってなった。これが破壊的イノベーションだ。
ポイントはね、古い企業がダメになったわけじゃないんだ。むしろ最初の頃のスマートフォンのカメラより、ソニーのカメラの方がずっと高性能だったんだよ。でも市場全体が「高性能」を求めなくなっちゃった。「いつでも撮れるカメラ」という新しい価値が勝ったわけだ。だから破壊的イノベーションは「古い価値観の上で性能で負ける」じゃなくて「まったく新しい価値で、古い業界全体をひっくり返す」っていう感じなんだよ。
イノベーションには2種類ある
実は、イノベーションには2種類あることを知ってた?1つが「持続的イノベーション」で、もう1つが「破壊的イノベーション」だ。
持続的イノベーション(つまり「今のやり方をもっと良くしていく」というイノベーション)は、古い企業がやるのが得意だ。例えば、デジカメがフィルムカメラを置き換えた時、ソニーやキヤノンはすぐにデジカメの開発に力を入れた。フィルムカメラの技術を使ってね。「もっと高性能なデジカメ、もっい小さいデジカメ、もっと安いデジカメ」っていう風に、どんどん改良していった。これが持続的イノベーションだ。古い企業が強いから、この分野では古い企業が勝つ。
でも破壊的イノベーションは違う。これは古い価値観を全く無視した新しい価値が出てくる。デジカメ企業は「より高性能なカメラを作ろう」って思ってたんだ。だからスマートフォンの「ポケットに入ってる」「いつでも撮れる」という価値が見えなかった。気がついた時には、みんなスマートフォンで撮ってた。こういう時、古い企業は「あ、しまった」ってなるわけだ。
破壊的イノベーションが怖い理由
破壊的イノベーションが怖い理由は、古い企業が気づきにくいからだ。実は、古い企業がダメになるわけじゃなくて、古い企業の「強さ」が「弱さ」に変わるんだよ。
例えば、DVDレンタル屋さんのレンタルビデオを考えてみてだ。レンタル屋さんは、映画をレンタルして貸すことで儲けてた。だからお客さんの使い方も「見たい映画を決める」→「レンタル屋に行く」→「借りる」→「見る」→「返す」ってなってた。レンタル屋さんもこの使い方をもっと良くしようと工夫してた。例えば「新作が早く見られる」とか「レアな映画も置いてある」とかね。
そこにNetflixが出てきた。「月いくらで好きなだけ見放題」という価値。これって、レンタル屋さんの価値観(1本いくら、という数え方)を完全に無視してる。だから最初、レンタル屋さんは「こんなの儲からないじゃないか」って思った。でも実際には、お客さんは「レンタルする手間がない」「見たい時にすぐ見られる」という新しい価値に飛びついた。気がついた時には、もうレンタル屋は誰も使わなくなってた。これが破壊的イノベーションだ。
従来型のイノベーションとの違い
「改良」と「革命」は違う
ここで大事なポイントをおさえておこう。破壊的イノベーションと、持続的イノベーション(つまり「今のやり方をもっと良くする」イノベーション)は、全然違う戦い方をするんだ。
持続的イノベーションは「今の価値をもっともっと高める」という話だ。例えば、ガラケーの時代は、携帯電話の企業は「バッテリーをもっと長持ちさせる」「画面をもっと綺麗にする」「通信速度をもっと速くする」って、どんどん改良してた。これは携帯電話を買う人が「良い携帯電話」として求めることを、もっと良くしていく戦い方だ。古い企業がめちゃくちゃ得意な分野だ。だからこの分野では、古い企業が新しい企業に勝つ。
それに対して破壊的イノベーションは「価値観そのものが変わる」って話だ。スマートフォンは「電話」じゃなくて「ポケット電脳」(つまり、ポケットに入るコンピュータ)という価値観を持ってきた。「バッテリーが長持ち」「通信が速い」なんて価値観は、ぶっ壊れちゃった。代わりに「いつでもどこでも色々できる」という価値が大事になった。だから「ガラケーをもっと良くしよう」と頑張ってた企業は、スマートフォンの登場に対応できなかったんだ。
市場の規模も違う
もう一つ大事な違いがあるんだよ。持続的イノベーションは「今の市場で、シェアを奪うかどうか」という話だ。ガラケーのメーカーが新機能を付けても、携帯電話の市場全体がどんどん大きくなるわけじゃないんだ。だから各企業が「いかに自分たちのシェア(市場での割合)を大きくするか」で競う。
でも破壊的イノベーションは違う。市場そのものが変わる。スマートフォンが出た時、携帯電話の市場が変わったんじゃなくて「ポケット電脳」という全く新しい市場ができた。そしたら携帯電話のメーカーも、カメラのメーカーも、音楽プレーヤーのメーカーも、全部この新しい市場で戦わなきゃいけなくなった。古い市場での強さは、新しい市場では役に立たないんだ。だから古い企業が負けちゃう。
見える・見えない の違い
破壊的イノベーションと持続的イノベーションのもう一つの違いは「見えるか見えないか」だ。
持続的イノベーションは「見える」。なぜなら、今のお客さんが「もっと高性能にしてほしい」って言ってるんだから。古い企業はお客さんの声をちゃんと聞いて、改良していく。だから「あ、ソニーのカメラの性能が上がった」って見えるんだ。
でも破壊的イノベーションは「見えない」ことが多い。スマートフォンが出た時、古いカメラのお客さんに「スマートフォンのカメラを使いたいですか?」って聞いても「いや、性能が低いじゃん」って答えてたんだ。古いお客さんは「高性能」を求めてるから、スマートフォンという「全く新しい価値」に気づかないんだよ。だから古い企業は「あ、何か新しいのが出てるな」くらいにしか見えない。気がついた時には市場全体が変わってた。これが破壊的イノベーションが怖い理由だ。
破壊的イノベーションが起きるメカニズム
古い企業には見えない「隙」
では、なぜ破壊的イノベーションは起きるんだろう?それは、古い企業にはどうしても見えない「隙」があるからだ。
古い企業は「今のお客さんを大事にしよう」と考える。これ自体は良いことなんだ。だからお客さんが「もっと高性能に」って言えば「分かりました、高性能にします」ってやるわけだ。ガラケーのメーカーが「通信をもっと速くして」って言われたら、本当に速くしたんだ。その努力はすごい。でも、その努力が「ガラケー」という枠の中での改良になってる。だからスマートフォンという「別の枠」の価値には気づかないんだよ。
これを経営学の用語で「イノベーターのジレンマ」って言う(つまり「今のお客さんを大事にしたいという気持ちと、新しい市場に対応したいという気持ちが矛盾しちゃう」ということ)。古い企業は「今のお客さんを失いたくない」から、新しい価値にこだわることができないんだ。だからそこに新しい企業が入る隙ができる。
新しい企業には制約がない
一方、新しい企業はどうか。新しい企業は「古い価値観」に縛られてない。だから「性能が低くても、いつでも撮れるカメラ」とか「見に行かなくても見放題」とか、変な価値を思いつくことができる。
古い企業の人だったら「え、性能低いのに売れるわけないじゃん」って思う。でもお客さんは「あ、これ便利」って思う。だから新しい企業は、古い企業が見ていない市場で、ノビノビと成長できるんだ。最初は小さい市場かもしれない。でもどんどん成長する。そして、いつのまにか古い市場より大きくなっちゃう。そしたら古い企業は「あ、しまった」ってなるわけだ。
古い企業も参入できない理由
ここで面白い質問が出てくるんだ。「古い企業だって、破壊的イノベーションに対応できるじゃないか。スマートフォンに対応したら?」って。実は、古い企業がスマートフォンに対応するのって、すごく難しいんだ。
理由は、古い企業の利益構造が邪魔をするからだ。例えば、デジカメのメーカーは、デジカメを売ることで儲けてた。もし「スマートフォンのカメラ機能を一番大事にしよう」って思っちゃったら、デジカメの売上が落ちる。だから迷っちゃうんだ。新しい価値に全力で注ぐか、今の儲け方を守るか。この迷いが、古い企業を弱くするんだ。
それに対して新しい企業は「スマートフォンのカメラで稼ぐ」って決めたら、全力だ。迷いがない。だから古い企業より速く成長できるんだよ。
実例で学ぶ破壊的イノベーション
スマートフォンがガラケーとカメラを破壊した
最初の例は、スマートフォンだ。これはもう何度も出てきたけど、本当に典型的な例なんだ。
2000年代の初めは、携帯電話とデジカメは別の製品だった。携帯は通話とメールをするもの、デジカメは写真を撮るもの。企業も分かれてた。ガラケーのメーカーは携帯を作り、カメラのメーカーはカメラを作ってた。両方ともプロの技術者が、毎日改良してた。バッテリーも、画面も、通信速度も、どんどん良くなってた。
そこにiPhoneが出てきた。最初の時点では、本当に何もできない電話だった。性能も低い、アプリも少ない。でも「タッチスクリーン」「いつでもどこでも色々できる」という新しい価値があった。古い企業は「こんなの流行らないじゃん」って思った。実際、ガラケーの方が機能が豊富だった。
でも、お客さんの気持ちは変わった。「ポケットに電脳を持ち歩く」という体験に、みんなハマった。スマートフォンのカメラは最初、デジカメの比べ物にならないくらい低性能だった。でも「写真を撮ったらすぐにSNSに上げられる」という価値が、デジカメの「高い性能」を吹き飛ばしたんだ。
結果は、みんなが知ってる通り。ガラケーメーカーは消えて、デジカメ市場も失敗した。新しい企業(Apple)が全部奪った。ガラケーのメーカーが「ガラケーをもっと高性能に」って頑張ってた努力は、全部無駄になった。これが破壊的イノベーションのひどいところだ。
Netflixが映画レンタル業を破壊した
次の例は、Netflix。
昔は映画を見たい時は、レンタルビデオ屋に行ってDVDを借りるしかなかった。みんなの家の近くに「TSUTAYA」とか「ゲオ」とか、いっぱいあったよね。レンタルビデオ屋は「新作を早く置く」「レアな映画も置く」「スタッフの対応が良い」とか、工夫してた。すごく繁栄してた。
そこにNetflixが出てきた。オンラインで「月いくらで、好きなだけ見放題」。最初は「え、こんなの儲かるわけないじゃん」って思われた。レンタルビデオ屋は「1本借りるたびにお金をもらえる」という商売だから。でも実は、お客さんが求めてたのは「借りに行く手間がない」「見たい時にすぐ見られる」「料金の心配をしなくていい」という価値だったんだ。
いま、レンタルビデオ屋ってほとんど見かけないよね。そのくらい、Netflixという破壊的イノベーションが、古い業界をぶっ壊しちゃったんだ。だから、レンタルビデオ屋がいくら「新作を早く置く」って工夫しても、もう遅い。だって、お客さんは「レンタルに行く」という行為そのものをしなくなっちゃったからね。
Airbnbがホテル業を揺さぶった
もう一つ、Airbnbの例を出そう。
昔は旅行に行く時、ホテルに泊まるのが当たり前だった。ホテルはプロが運営して、綺麗にして、サービスを提供する。古いホテルチェーンは「より快適な部屋」「より良いサービス」で競ってた。
そこにAirbnbが出てきた。「一般の人の家に泊まる」という価値。最初は「え、他人の家?汚いんじゃないか」って思われた。実際、最初のAirbnbの物件は、ホテルより汚いことも多かった。でも「ホテルより安い」「地元の人の家だから、地元の情報が聞ける」「何か冒険してる感じがして楽しい」という新しい価値があった。
今、Airbnbは世界中で大活躍だ。古いホテルチェーンも対応しようとしてるけど、やっぱり遅い。だって「ホテル業」の価値観(プロが綺麗に整える)と「Airbnbの価値観」(地元の人の家の雰囲気を楽しむ)は、全く違う方向を向いてるからね。
電車がカタシナに勝った話
古い例もあるんだ。新幹線の話を知ってる?
1960年代、日本の移動は飛行機か、在来線の列車が当たり前だった。飛行機は「高速」だけど「高い」「時間がかかる」(搭乗手続き、飛行場に行く時間とか)。在来線は「安い」だけど「遅い」。
そこに新幹線が出てきた。「速くて、安い」という新しい価値。飛行機の企業は「新幹線は遅い」って思った。でも実は、お客さんは「都市から都市への短距離移動は、新幹線の方が便利」って気づいた。だから飛行機の利用が減っちゃった。これも破壊的イノベーションだ。
破壊的イノベーションの影響
古い業界はどうなる
破壊的イノベーションが起きると、古い業界はどうなるんだろう。大変なことになる。
まず、雇用が失われる。レンタルビデオ屋の店員さんは、仕事がなくなった。デジカメのメーカーの一部の部門も、閉鎖されたり、人員削減されたりした。ガラケーのメーカーも大変だった。古い業界の従業員は、失業するか、転職するか、新しい職場に移るか、大変な思いをすることになる。
それに、その業界に投資してた投資家たちも大変だ。「デジカメは成長産業だ」って投資してた人たちは、スマートフォンの登場で、大損してる。古い企業の株も値下がりする。
でも、別の見方もある。新しい業界が生まれて、新しい雇用が生まれる。Netflixは、エンジニア、デザイナー、プロデューサーとか、いっぱい雇った。Airbnbも、新しい雇用をいっぱい生み出した。スマートフォンは、アプリ開発者とか、新しい職種を生み出した。だから社会全体では「古い仕事がなくなって、新しい仕事が生まれる」ってことが起きるんだ。
社会はどう変わる
破壊的イノベーションは、社会全体も変える。
スマートフォンの登場で、情報の世界が変わった。昔は「新聞を読む」「テレビを見る」って決まってた。でも今は「スマートフォンで何でも見られる」。だからニュースも、写真も、動画も、全部スマートフォンから情報を取る人が増えた。新聞の売上が落ちて、テレビの視聴率も落ちた。これは「古い業界が悪い」とかじゃなくて「社会が変わった」ってことだ。
Netflixの登場で、映画の見方が変わった。昔は「映画館に行く」か「レンタルビデオを借りる」ってやり方だった。でも今は「ベッドに寝ながらスマートフォンで見る」とか「暇な時間に好きなだけ見る」ってやり方が増えた。だから映画館の来場者も減ってるし、映画の「1発勝負」のビジネスモデルも変わってる。
こういう社会の変化が起きるのが、破壊的イノベーションだ。古い業界がどう対応するかじゃなくて「社会全体が変わっちゃう」ってことが、重要なんだよ。
次はどんなイノベーションが来る?
では、これからどんなイノベーションが来るんだろう。
AI(人工知能)は、もう破壊的イノベーションを起こしてる。ChatGPTが出てきて、色々な仕事が変わろうとしてる。プログラマーの仕事、ライターの仕事、デザイナーの仕事とか、AIが手伝えるようになった。古い企業(特にマイクロソフトとか、Googleとか)は、AIに対応しようと必死だ。でも、新しい企業(OpenAIとか)も同時に成長してる。
自動運転も、破壊的イノベーションになる可能性がある。タクシーの運転手さんの仕事がなくなるかもしれない。配送業も変わるかもしれない。古い輸送業の企業は、どうやって対応するか、今から考えてないといけない。
再生可能エネルギー(太陽光や風力)も、破壊的イノベーションになる可能性がある。昔は「火力発電」か「原子力発電」だったけど「太陽光発電」という新しい価値(安い、環境にやさしい)が出てきた。古い発電企業は「再生可能エネルギーは不安定だ」って思ってるけど、技術が進むにつれて、きっと変わっていくんだろう。
破壊的イノベーションは、これからもどんどん起きる。だから、古い企業も、これからの会社員も「どうやって新しい価値に対応するか」「どうやって新しい仕事を身に着けるか」ってことを、いつも考えてないといけないんだよ。怖いけど、面白い時代だね。
