新しいゲームアプリが出たとき、最初はみんなが欲しがるけど、しばらくしたら誰もやらなくなる。スマートフォンだって、最新機種がすごい人気でも、3年もたつと次の世代に置き換わってしまう。この「人気が出て、ピークを迎えて、やがて下がっていく」という流れ、実は全ての商品やサービスが同じように変わっていくんだ。その流れを理解するための考え方が「プロダクトライフサイクル」。この記事を読めば、なぜ企業は新しい製品を次々と出すのか、マーケティング戦略がコロコロ変わるのか、その理由がぜんぶ見えてくるよ。
- 全ての商品には寿命があり、4つの段階を経験する プロダクトライフサイクル という考え方がある
- 導入期・成長期・成熟期・衰退期それぞれで、企業の マーケティング戦略 は大きく変わる
- 企業が次々と新商品を出したり、価格を変えたり、CMを増やしたりするのは、この ライフサイクルに合わせた判断 だから
もうちょっと詳しく
プロダクトライフサイクルという考え方は、1960年代にマーケティングの専門家たちが発見した法則だ。例えば、スマートフォンを思い浮かべてみて。初代iPhoneが出た2007年は「導入期」で、みんなが珍しがって買い始めた。その後、スマートフォンが当たり前になった2010年代前半が「成長期」。今のスマートフォン市場は「成熟期」で、ほぼ全員が持ってるから、もう急に売上が増えることはない。企業がこのサイクルを理解すれば、いつ広告を増やすべきか、いつ値段を下げるべきか、いつ新商品を開発すべきか、という判断が正確になるんだ。
全ての商品が同じ速度でサイクルを回るわけじゃない。ゲーム機は5年のサイクル、流行ファッションは1年のサイクルなど、商品によって全く違うんだよ。
⚠️ よくある勘違い
→ サイクルはあくまで目安。企業が工夫すれば、成熟期から再び成長することもある。例えば、古いゲーム機が懐かしさブームで再び注目されることもあるよね。
→ その通り。企業が何をしようとしてるのか、その背景には必ずプロダクトライフサイクルの考え方があるんだ。だから、このサイクルを知ってると、ニュースを見るときとか、買い物するときに「あ、この企業はこの商品がこの段階だから、こんな戦略してるんだな」ってわかるようになる。
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プロダクトライフサイクルってそもそも何?
商品にも「人生」がある
プロダクトライフサイクルというのは、つまり「製品の寿命」という意味だ。人間が生まれて、赤ちゃんから子どもになって、大人になって、やがて年をとるように、商品にも「生まれる → 成長する → ピークになる → 下がっていく」という流れがあるんだよ。
身近な例を思い浮かべてみて。君が小学生のときに「はやってるゲーム」があったよね。最初は友達が「すごいらしい」って言ってて、だんだん流行り始めて、クラスのみんながやってた時期があった。でもしばらくすると、もっと新しいゲームが出てきて、そっちに人気が移ってしまった。このゲームの「人気の流れ」が、まさにプロダクトライフサイクルなんだ。
重要なのは、この流れは1つの企業が意図的に作ってるわけじゃなくて、市場全体で自然に起こる現象だということ。なぜなら、お客さんの気持ちは必ず変わるから。最初は珍しくて欲しくなるけど、だんだん慣れて、もっと新しいものに目が行くようになる。これはどんな商品でも同じなんだよ。
4つの段階を知ろう
プロダクトライフサイクルは、大きく4つの段階に分かれる。各段階について、詳しく説明していくね。
まず第1段階は「導入期(どうにゅうき)」。これは商品が新しく発売された直後の段階だ。この時期は、まだほとんどの人が商品のことを知らない。だから企業は、テレビCMやネット広告を使って、「こんな商品がある」っていうことを知ってもらうために、いっぱい広告費を使う。売上はまだ少ないけど、企業は「将来の成長」を信じて投資を続けるんだ。
次の段階が「成長期」。ここで商品は一気に有名になって、「あ、この商品いいらしい」って評判が広がる時期だ。友達が使ってるのを見て、「俺も欲しい」って思ったり、テレビで「大人気!」ってニュースになったりする段階だね。この時期は売上が急速に増えて、企業はものすごく儲かる。だから企業は工場をフル稼働させて、できるだけ たくさん作ろうとするんだ。
3番目が「成熟期」。これはピークの段階で、商品が一番売れてる時期だ。でも「ピークを迎えた」ということは、その先は下がるってことなんだ。なぜなら、欲しい人はもうみんな買ってしまったから。この段階では、売上の伸びが止まる。企業は「売上を減らさないために」価格を下げたり、新しい色やサイズを出したりして、工夫する。この段階が一番長く続く商品が多いんだ。
最後が「衰退期(すいたいき)」。ここは商品がだんだん売れなくなっていく段階だ。もっと新しい商品が出てきて、「あ、こっちの方がいいかも」って思ったり、流行りが変わったりして、元々買ってた人も他の商品に乗り換えていく。企業は売上が減ることを受け入れて、その代わりに新しい商品の開発に力を入れたり、この商品の広告費を減らしたりするんだ。
企業は各段階で戦略を変える
導入期の戦略:「知ってもらう」が第一優先
導入期では、企業の目標は1つだけ:「商品を知ってもらう」ということ。だから、この段階ではめっちゃ広告費を使う。テレビCM、YouTubeの広告、インスタグラム、新聞…いろんなところで「新商品が出ました!」ってアピールしまくるんだ。
さらに、導入期では「とりあえず試してみようかな」って人にアピールするために、サンプルを配ったり、初回限定で安くしたりすることもある。要するに、「ただ売上を増やそう」じゃなくて、「まずは認知度を高めること」を優先してるんだよ。利益なんて二の次で、とにかく「この商品が世の中に存在する」ってことを、できるだけ多くの人に知ってもらうのが目的なんだ。
成長期の戦略:「生産と供給」をフル稼働
成長期では、もう「知ってもらう」ことは済んでる。むしろ、みんなが「欲しい、欲しい」って言ってるから、企業の課題は「足りない」ことなんだ。つまり、「需要よりも供給が追いつかない」という状況だね。
だから、企業は工場をフル稼働させて、できるだけたくさん作ろうとする。さらに、流通網(つまり、店に商品を配送するシステム)も拡大して、より多くの人が買えるようにする。この段階で重要なのは「品質を保ちながら、いかに大量に生産するか」ということ。もし品質が落ちたら、「あ、評判と違う」ってなって、客が離れていっちゃうからね。
面白いのは、成長期には広告費を減らすことが多いってこと。なぜなら、もう評判が広がってるから、わざわざ広告しなくても人気があるんだ。だから企業は、浮いたお金を「生産能力を高めること」や「流通を充実させること」に使うんだ。
成熟期の戦略:「他と違う工夫」が必須
成熟期は、市場に同じような商品がいっぱいある状態になってる。例えば、スマートフォンなんて、iPhoneもAndroidも、いろんなメーカーが似たような機能の商品を出してるよね。だから、企業の課題は「他の商品より選んでもらう」ことなんだ。
この段階で企業が使う工夫は、主に3つ。まず1つ目は「価格を下げる」こと。「値段が安いなら、こっちにしよう」という客を狙ってる。2つ目は「新しい機能やデザインを足す」こと。「この商品の新バージョンが出た」ってアピールして、また買ってもらおうとするんだ。3つ目は「ターゲットを変える」こと。例えば、女性向けのデザイン、子ども向けの機能、など、狙う客層を変えて、新しい市場を開拓しようとするんだよ。
成熟期は一番長く続く段階だから、企業はこの時期にどれだけ利益を稼げるかが重要なんだ。だから、地味だけど、こういう工夫を積み重ねることが大事になってくるんだ。
衰退期の戦略:「新商品への転換」を計画
衰退期では、売上は確実に減っていく。それを企業は受け入れる必要がある。だから、この段階での企業の戦略は「どうやって衰退を遅くするか」ではなく、「次の新商品でどう生き残るか」に切り替わるんだ。
具体的には、衰退期の商品には広告費をあまり使わなくなる。その代わり、その浮いたお金を「新しい商品の開発」に回すんだ。また、衰退期の商品でも「コアなファン」がいることがあって、そういう人たちには売り続ける。だから、完全に製造をやめるのではなく、最小限の生産を続けることが多いんだ。
面白い例としては、昔のゲーム機がある。例えば、任天堂のゲームボーイは衰退期に入ったけど、企業は急に製造をやめなかった。なぜなら、「この商品が好き」っていうファンがいたから。そういう配慮もビジネスには大事なんだ。
なぜこのサイクルが起こるのか?
人間の心理が原因
プロダクトライフサイクルが起こるのは、結局のところ、人間の心理が原因なんだ。新しいものを見ると、人間は「これ欲しい!」って思う。これを「新規性」に対する欲望って言うんだけど、つまり「新しいこと・新しい物が好き」という人間の本能だね。
だから、導入期に新商品が出ると、「あ、新しい!」ってなって、みんなが欲しがる。でも、時間が経つと、その「新しさ」に慣れてしまう。さらに時間が経つと、もっと新しい商品が出てきて、「あ、こっちの方がいい」ってなってしまう。これは企業がいくら努力しても、避けられない自然な流れなんだ。
市場の飽和が原因
もう1つの理由は「市場の飽和」だ。成長期に商品がどんどん売れるのは、「欲しい人がまだいっぱいいるから」なんだ。でも、成熟期に入ると「欲しい人はもうみんな買った」という状況になる。つまり、市場に売上を伸ばす余地がなくなるんだ。
例えば、スマートフォンを思い浮かべてみて。2010年代前半は「スマートフォンを持ってない人」がいっぱいいたから、売上が急速に増えた。でも、今は「スマートフォンを持ってない大人」ってほぼいないよね。だから、スマートフォンの市場は「新規客」がいないから成長しないんだ。新しく買う人は、ほぼ「古い機種から新しい機種への乗り換え」だからね。これが「飽和」した市場の状態なんだ。
技術の進化が原因
さらに、技術が新しくなると、昔の商品は古く見えてしまう。例えば、「ガラケー」(昔の携帯電話)は、スマートフォンが出てくるまでは最高の商品だった。でも、スマートフォンが出た途端に「あ、こっちの方が全然すごい」ってなって、ガラケーはあっという間に衰退してしまった。
つまり、技術の進化は、昔の商品を陳腐化させてしまうんだ。企業がいくら「このガラケーはいいですよ」とアピールしても、もっと優れた技術の商品が出たら、そっちに客が流れるのは当然なんだ。だから、企業は常に「次の技術」を開発し続ける必要があるんだ。
実際のビジネス例で理解しよう
ゲーム機で見るライフサイクル
ゲーム機でプロダクトライフサイクルを見てみると、すごくわかりやすいんだ。例えば、Nintendo Switchを思い浮かべてみて。
Nintendo Switchが発売されたのは2017年。これが「導入期」だ。この時期は、テレビやゲーム雑誌で「新しいゲーム機が出た」って大きく報道されて、「え、据え置きと携帯の両方で遊べるの?」ってみんな驚いた。そして、「これは絶対流行る」という評判が広がって、発売当初は店頭に商品が並ばないくらい人気があった。
2017年〜2019年くらいが「成長期」。ゲーム機の売上がグングン増えて、「Nintendo Switchを持ってない」という人が少なくなってった。みんな持ってるから、友達同士で遊んだり、オンラインで対戦したり、という遊び方が広がった。
2020年〜現在は「成熟期」。もう「Switch を持ってない人」はほぼいない。だから、Nintendo は新しい機能(画面が大きいバージョン、携帯性が高いバージョン)を出したり、人気ゲームの新作を出し続けたりして、「もう1台欲しい」「この新バージョンに乗り換えたい」という需要を作ってるんだ。
やがて、もっと新しいゲーム機が出たら、Nintendo Switch は衰退期に入る。その時点で、Nintendo は次のゲーム機の開発に力を入れるんだ。
SNSアプリで見るライフサイクル
SNSアプリでも同じパターンが見える。例えば、TikTok は2018年前後に日本で流行り始めたとき、それが「導入期」だった。「え、何この動画アプリ?」ってみんな不思議に思って、でも中高生を中心に「楽しい」という評判が広がった。
2019年〜2021年が「成長期」。TikTok をやってない人の方が珍しいくらい流行った。企業も「TikTok で広告を出そう」って気づいて、マーケティングの重要なプラットフォームになった。
現在は「成熟期」に入ってると言える。もう成長の伸びが止まってて、企業の課題は「ユーザーを飽きさせない工夫」になってる。だから、新しい機能(ライブ配信、ショッピング機能など)を次々と追加してるんだ。
将来、もっと新しいSNS プラットフォーム(例えば、VR や AI を使った新しい形式)が出たら、TikTok は衰退期に向かうかもしれない。その時点で企業は新しいプラットフォームへの投資に切り替えるんだ。
ファッションで見るライフサイクル
ファッション業界でも、プロダクトライフサイクルはすごくわかりやすい。例えば、「ダボダボのジーンズが流行った」という現象を思い浮かべてみて。ある年に流行り始めるのが「導入期」。ファッション雑誌が「今年はダボダボが来てる」って書き始めるんだ。
次の数ヶ月が「成長期」。街を歩いてる人の何割かが「ダボダボジーンズ」を履いてる状態になる。みんなが「これ流行ってるから欲しい」って思って、店頭からどんどん売れていく。
その次が「成熟期」。ほぼ全員がダボダボジーンズを持ってるような状態。でも、「あ、もう古くなってきたな」って感じ始める段階だ。ファッション企業は、「新しい色やデザイン」を出したり、「セレブが着てる」というアピールをしたりして、需要を保とうとするんだ。
最後が「衰退期」。新しい流行りのジーンズのシルエット(形)が出てきて、「あ、こっちの方がいい」ってなる。元々ダボダボジーンズを持ってた人も、新しいシルエットに買い替える。ファッション企業は、ダボダボジーンズの生産を減らして、新しい流行りに対応していくんだ。
ファッション業界は他の産業よりも、サイクルが短いのが特徴。スマートフォンは5年くらいのサイクルだけど、ファッションは1年くらいの短いサイクルで流行りが変わってしまう。だから、ファッション企業は「常に次の流行りを予想する」という仕事が大事になってるんだ。
