ネットで海外のサービスに申し込んだとき、利用規約の最後に「この契約はアメリカのカリフォルニア州法に従う」みたいな一文を見たことない?なんとなくスルーしちゃうよね。でも、この一文が実はすごく大事で、「もしトラブルが起きたときにどの国・地域の法律で判断するか」を決めているんだ。この記事を読めば、準拠法の意味とその重要性がよ〜くわかるよ。
- 準拠法とは、契約やトラブルのときにどの国・地域の法律を使うかを決めるルールのこと
- 国をまたいだ取引では当事者が自由に準拠法を選べる(当事者自治の原則)が、消費者保護などで例外もある
- 「どこの裁判所か」を決める裁判管轄とはまったく別の概念なので、混同しないように注意しよう
もうちょっと詳しく
準拠法は英語で「Governing Law」または「Applicable Law」と言うよ。国際的な契約書の最後のほうに必ずといっていいほど登場するんだ。日本では「法の適用に関する通則法」という法律が、どの国の法律を使うべきかを判断する基準を定めている。当事者が準拠法を明示していない場合は、この通則法のルールに従って「契約と最も密接な関係のある国の法律」が自動的に適用される仕組みになっているよ。たとえば、契約の中心的な業務を行う拠点がある国の法律が選ばれることが多いんだ。ビジネスをする人にとっても、フリーランスとして海外クライアントと仕事をする人にとっても、知っておくと役に立つ大切な概念だよ。
準拠法を決めていない場合は「通則法」のルールで自動的に決まる!
⚠️ よくある勘違い
→ 「どこで裁判するか(管轄)」と「どの法律を使うか(準拠法)」はまったく別の話。東京の裁判所でニューヨーク州法を使って判断することも普通にある。
→ 裁判の場所(管轄)とは独立して決まる。契約書では「準拠法」と「合意管轄」を別の条項として明記するのが正しいやり方だよ。
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準拠法とは何か——「使う法律を決める」という考え方
同じ「契約書」でも、国によってルールが違う
たとえば、日本のA社がフランスのB社と「商品を100万円で売ります」という契約を結んだとしよう。このとき、もし支払いが遅れたとか、商品が届かなかったとか、トラブルが起きたとする。このトラブルを解決するには「どこかの国の法律」を使う必要があるよね。
でも、日本の法律とフランスの法律では、売買契約についてのルールが微妙に違うんだ。たとえば損害賠償の計算方法が違ったり、契約を解除できる条件が違ったりする。だから「どっちの国の法律を使うか」を最初に決めておかないと、トラブルになったときに「どのルールで判断するの?」とさらに揉めることになってしまうんだよ。
この「どの国の法律を使うか」という問題に答えるのが、準拠法という考え方だよ。準拠法とは、つまり「この契約や関係に対して適用される法律」のことで、契約書に明記しておくことで「いざとなったらこの国の法律で解決しましょう」というルールを事前に確定させておけるんだ。
日常にも潜んでいる準拠法
準拠法は遠い世界の話じゃないよ。海外のゲームやサブスクサービスに登録するとき、利用規約の最後に「本規約はXX州法に準拠する」という一文がある。あれがまさに準拠法の記載だ。ふだんはスルーしちゃうけど、実はその一文がとても重要な意味を持っているんだよ。YouTubeやSpotifyの利用規約にも書いてあるから、一度探してみると面白いよ。
なぜ準拠法を決める必要があるの?——放っておくと何が起きる?
「決めてない」と自動的に決まってしまう
準拠法を契約書に書いていないからといって、「どの法律も関係ない」ということにはならない。準拠法を明示していない場合は、各国の「国際私法」と呼ばれるルール、つまり「複数の国の法律が絡む問題をどう処理するか」を定めた法律によって、自動的に準拠法が決まってしまうんだ。
日本では「法の適用に関する通則法」という法律がそのルールを定めている。この通則法によると、当事者が準拠法を選んでいない場合は「その契約と最も密接な関係がある地の法律」が適用されることになる。つまり、自分では選んでいないのに、気づかないうちにある国の法律が自分の契約に適用されていた、なんてことが起きるんだよ。
これが厄介なのは、自分や相手が想定していた法律と違う国の法律が適用される可能性があること。「どうせ決めなくてもいいか」ではなくて、ちゃんと明記しておくことが大切なんだ。
法律が違うと結果も変わる
「法律が違うと何が変わるの?」って思うかもしれない。たとえばこんな例を考えてみよう。
ある会社が「1ヶ月で納品します」という契約をして、結果的に2ヶ月かかってしまったとする。このとき「遅延損害金」、つまり遅れたことに対するペナルティの計算方法が、日本の民法では年3%、でも相手国の法律では年10%、なんてことも普通にある。使う法律が変わるだけで、払うお金が3倍以上違ってくることもあるんだ。こうした細かい差が積み重なると、ビジネスの損得に大きく影響してくるよ。
また、商品の欠陥責任(たとえばサービスが使えなくなったときに損害賠償を請求できるか)や、契約を解除できる条件、秘密保持義務の範囲なども、国の法律によって扱いが変わることがある。ビジネスの規模が大きくなればなるほど、この差が重要になってくるんだよ。
準拠法はどうやって決まるの?——選ぶときのルールと注意点
当事者自治の原則:自分たちで選べる
多くの国では、契約当事者(つまり契約する人たち)が自由に準拠法を選べるようになっている。これを「当事者自治の原則」という。つまり「あなたたちが使いたい法律を選んでいいですよ」ということだ。
だから契約書に「この契約は日本法に準拠する(This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan)」と書けば、それが準拠法として認められるんだ。
どの国の法律を選ぶかは自由だけど、実務的にはこんな基準で選ばれることが多いよ。
- 自分がよく知っている国の法律:知らない国の法律を選ぶと、いざというときに自分が不利になることもある
- 中立的な国の法律:どちらかの国の法律だと相手が不公平に感じることもあるので、第三国(たとえばシンガポール法やイギリス法)を選ぶこともある
- ビジネスが主に行われる国の法律:サービスや商品が主に提供・消費される国の法律を選ぶのが合理的なことも多い
選べない場合・制限がある場合もある
当事者自治の原則は「完全に自由」というわけじゃない。いくつか例外があるんだ。
たとえば、消費者契約(一般の人が会社からサービスを買うとき)では、消費者を守るために「消費者の住む国の強行法規」、つまり絶対に適用されるルールは準拠法と関係なく適用されることが多い。「カリフォルニア州法に準拠する」と書いてあっても、日本の消費者が相手なら日本の消費者保護法の一部が優先されることがある。企業が「外国の法律を使えば消費者保護を弱められる」という抜け穴を使えないよう、こういう仕組みになっているんだ。
また、労働契約でも同じようなことが起きる。労働者を守るための法律(最低賃金や残業規制など)は、準拠法がどこであっても、実際に働いている国の法律が適用されることが多い。これも「外国の法律を使って労働者の権利を弱める」ことを防ぐためだよ。
準拠法と裁判管轄の違い——混同しやすいポイントを整理しよう
「どこで裁くか」と「何の法律で裁くか」は別の話
準拠法とよく一緒に出てくる言葉に「合意管轄(ごういかんかつ)」がある。合意管轄とはつまり「トラブルが起きたとき、どこの裁判所で裁判をするかを、あらかじめ合意しておくこと」だよ。
これ、準拠法と混同されやすいんだけど、まったく別の話だよ。整理するとこうなる。
- 準拠法:「どの国の法律で判断するか」(例:日本法、ニューヨーク州法など)
- 合意管轄:「どこの裁判所で裁判するか」(例:東京地方裁判所、シンガポール高等法院など)
この2つは独立しているから、「東京地裁で、ニューヨーク州法を使って裁判する」という組み合わせも法的に可能なんだ。東京の裁判官がニューヨーク州法を調べて判断することになるから手間がかかるけど、理論上はできる。実務では「準拠法=〇〇法、合意管轄=〇〇裁判所」と2つをセットで契約書に書くのが一般的だよ。
仲裁という選択肢もある
裁判所以外にも、仲裁(ちゅうさい)という方法もある。仲裁とはつまり「裁判所ではなく、専門の機関(仲裁機関)に紛争を解決してもらうこと」だよ。国際ビジネスでは、各国の裁判よりも早く・中立に解決できる仲裁機関(シンガポール国際仲裁センター=SIACやICCなど)がよく使われる。仲裁の場合も、使う法律=準拠法は別途決める必要があるから、「仲裁機関=準拠法」でもない。あくまでも別々の話だよ。
準拠法が問題になる身近なシーン——こんなときに知っておくと役立つ
フリーランスが海外クライアントと仕事するとき
最近は、クラウドソーシングやSNSを使って海外のクライアントから仕事をもらうフリーランスも増えているよね。このとき、英語の契約書にサインを求められることがある。その契約書に「Governing Law: State of California」と書いてあったとしよう。
これはつまり「この契約に関するトラブルはカリフォルニア州の法律で判断しますよ」という意味だ。カリフォルニア州法では、報酬の支払い義務や知的財産権(著作権など)の帰属ルールが日本法と違うことがある。たとえば「仕事の成果物の著作権は最初から依頼主のものになる」という規定(ワークフォーハイヤー)がある。何も考えずにサインすると、後で「えっ、自分の作品の著作権が相手のものになってたの!?」となりかねないんだよ。
海外サービスの利用規約
NetflixやSpotify、海外ゲームのサービスに申し込むとき、利用規約の最後にたいてい準拠法の記載がある。これを読んでおけば、もしサービスに問題が起きたとき「どの国の法律が使われるか」がわかる。もっとも、個人ユーザーが海外企業を相手に裁判で戦うことはほとんどないけど、知識として知っておくと「ああ、この規約はこういう前提で書かれているんだな」と読めるようになるよ。
ハンドメイド作品を海外に販売するとき
ハンドメイド作品をminneやBASEで売っていて、海外からの注文にも対応している場合、商品に関するトラブル(破損・不着・返品など)が起きたとき、どの国の法律が適用されるかが問題になることがある。海外向けの販売条件を設定するなら、簡単でいいので「準拠法:日本法」と明記しておくと安心だよ。自分がよく知っている日本の法律が使われるようにしておくことで、トラブル時に有利に動きやすくなるんだ。
このように、準拠法は大企業だけの話じゃなくて、個人がビジネスをする場面でも関係してくることがある知識なんだよ。「なんか難しそう」と思って避けてきた人も、この記事をきっかけに「準拠法って要するにこういうことか!」と感じてもらえたら嬉しいよ。
