新しく家を建てたとき、家を買ったとき、何かしら「登記」という手続きを聞いたことはありませんか?土地を買ったら「土地の登記」、建物を建てたら「建物の登記」…でも「建物保存登記」って何が違うの?って思いますよね。実は、建物保存登記は「建物を初めて登記するときの専門用語」なんです。この記事を読めば、なぜこんな手続きが必要なのか、どうやって進めるのか、すべてわかりますよ。
- 建物保存登記は、新しく建った建物を 初めて登記簿に記録する手続き であり、公式な権利証になる。
- 土地と建物は別物なので、それぞれ登記する必要 があり、これが金銭トラブルを防ぐ役割を果たす。
- 建物保存登記は 義務ではないけれど、実質的には必須 で、やらないと不動産売却やローンが難しくなる。
もうちょっと詳しく
「登記簿」というのは、法務局という国の役所が持っている、不動産の公式な記録帳のこと。これは誰もが見られる公開情報で、「この土地の所有者は田中さん」「この建物の所有者は鈴木さん」という情報が記録されています。建物保存登記は、この記録簿に建物が「存在する」ことを初めて書き込む手続きです。ちょうど、学校に新入生として初めて名前を記録してもらうような感じですね。一度記録されたら、その建物がその場所に存在することは、法務局が証明してくれるわけです。
法務局の登記簿は「不動産の出生届」みたいなもの。これがないと、その建物の権利が誰にあるのか、国が認めてくれません。
⚠️ よくある勘違い
→ 違います。建物を建てても、自動的には登記簿に記録されません。ハウスメーカーが建ててくれても、あなたが法務局に申請しなければ記録されないんです。
→ その通り。建物保存登記は、自分または司法書士が法務局に申請することで初めて実行されます。手続きが必要な「やることリスト」なんです。
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建物保存登記とは——初めての登記手続きの基本
建物保存登記は、読んで字のごとく「建物を登記簿に保存(記録)する登記」という意味です。つまり、新しく建った建物や、それまで登記されていなかった建物を、法務局の登記簿に初めて記録する手続きのこと。
不動産の世界では「登記」という言葉をよく使いますが、これはすべて「誰がその不動産を持っているのか」という情報を公式に記録する手続きを指しています。土地なら「この土地の所有者は田中太郎です」、建物なら「この建物の所有者は田中花子です」という情報ですね。
その中でも、建物保存登記は「その建物が存在することを初めて記録する特別な登記」。一度目と二度目以降で手続きが違うので、専門用語として区別されているわけです。想像してみてください。あなたが新しい学校に入学するとき、最初は「新しく入学します」という書類を出しますよね。その後、転校するときは「転校します」という別の書類を出すのと同じ。初回と2回目以降で書類の種類が違うのと同じ原理です。
建物保存登記は、日本の法律では「義務ではない」とされています。つまり「絶対にしなければならない」という強制力はありません。しかし実際には、ほぼすべての人がやっています。なぜか?それは、この登記がないと、建物の所有権が法的に曖昧になってしまうから。銀行から住宅ローンを借りるときも「ちゃんと登記簿に記録されていますか?」と確認されますし、将来その家を売るときも登記簿が必須。だから「義務ではないけど、実質的には必須」という位置付けになっているんですね。
建物保存登記の主な目的
では、わざわざこんな手続きをするのは何のため?主な目的は以下の通りです。
- 所有権を公式に証明する:その建物が誰のものであるか、国(法務局)が公式に認めてくれる。これがあれば、後で「いや、これは俺のもんだ」なんて言い争いになっても、登記簿を見れば「この建物はあなたのものですね」と確認できる。
- 取引をスムーズにする:家を売ったり、ローンを組んだりするとき、登記簿があれば話が早い。相手は「この人ちゃんと所有してるんだな」と安心できるわけ。
- 法的なトラブルを防ぐ:建物を建てたときに登記せず、長年経ってから「あ、登記してなかった」と気づく人もいます。そのままだと、相続のときにめちゃめちゃ大変なことになるんです。
土地の登記と建物の登記——何が違う?
ここで重要なポイント:土地と建物は別の物として登記されるということ。
土地というのは「場所」です。この場所は誰のものか、その場所がどんな特徴か(広さ、位置)が登記簿に記録されます。一方、建物というのは「その土地の上に建つ構造物」です。つまり、同じ土地の上に、複数の建物が建つこともあるわけ。例えば、おじいちゃんの家の敷地の上に、息子さんが小屋を建てたとしましょう。その場合:
- 土地の登記簿:所有者はおじいちゃん
- 本家(大きな家)の登記簿:所有者はおじいちゃん
- 小屋の登記簿:所有者は息子さん
こんな風に、同じ土地でも、その上の建物は別に記録される。だから「土地は親の、建物は自分の」なんてことも可能なんです。
そして、建物を初めて登記するとき、その建物がどこの土地の上に建ってるのか?という情報も一緒に記録されます。「○番地の土地の上に、この建物が建ってます」ということをセットで記録するわけですね。
建物と土地の登記順序
一般的には、こんな順序で進みます:
- 土地の登記が先:土地を買ったら、土地の所有権を登記簿に記録する。
- 建物の保存登記がその次:その土地の上に建物を建てたら、建物保存登記する。
ただし、すでに誰かが土地を登記している場合、あなたはそこに建物を建てるだけ。その場合は「土地の登記は既に存在、その上に建物を新しく記録する」という流れになります。
建物保存登記の手続き——誰がいつやるの?
では、実際に建物保存登記をするには、どうすればいいのか?いつやるのか?という話です。
いつやるのか
建物保存登記は、「建物が完成した後、1ヶ月以内」というのが法律での目安とされています。でも実際には、多くの人は完成から数ヶ月経った後にやっています。法的には「1ヶ月以内」という強制力はないので。
ただし、家を売るとき、住宅ローンを組むときなどに「登記簿のコピー」を求められるので、そうしたタイミングまでには必ずやっておく必要があります。
誰がやるのか
建物保存登記は、大きく分けて2つの方法があります。
- 自分で法務局に申請する:必要な書類を集めて、法務局に直接申請する。費用は最小限(登録免許税という税金と、手数料程度)だけど、自分で書類を集めたり、申請書を作ったりするのが大変。
- 司法書士に頼む:不動産登記の専門家に依頼する。費用は10〜20万円くらいかかることが多いけど、全部やってくれるので楽。多くの人は、ハウスメーカーの紹介で司法書士に依頼することになります。
どちらにしても、「申請人(その建物の所有者)」は建物を建てたあなたです。あなたの代わりに司法書士が申請するわけですね。
必要な書類
建物保存登記をするには、こんな書類が必要になります:
- 建物の図面:建物がどんな形か、どんな構造か、どのくらいの広さかを示す図面。ハウスメーカーから貰える「建築図面」や「竣工図面」がこれにあたります。
- 所有者の身分証明書:あなたが本当にその建物の所有者であることを証明するもの。
- 住民票:あなたの現在の住所を確認するため。
- 固定資産税評価証明書:その建物の評価額を証明する書類。市区町村役場で取得します。
「え、こんなにあるの?」と思いますか?でも大丈夫。司法書士に頼めば、「こういう書類を市区町村役場から取ってください」と教えてくれるし、申請書も作ってくれます。
建物保存登記をしないとどうなるのか
「法律で義務じゃないなら、別にしなくてもいいんじゃん」と思う人もいるでしょう。でも、実際にしないと困ることばかりです。
銀行でローンが組めない
家を買ったり、建てたりするとき、多くの人は銀行から住宅ローンを借りますよね。でも銀行は「この建物の登記簿があること」を条件として、お金を貸します。なぜか?建物に「抵当権」(担保として設定する権利)をつけたいから。つまり「もしローンを返せなかったら、この建物を売って返済しますよ」ということを、公式に記録する必要があるわけです。その記録は、登記簿にしかできません。だから「建物保存登記をしてください」と銀行から言われるんです。
家を売るときにトラブルになる
10年後、20年後に、その家を売りたいと思ったとしましょう。買い手は「この家ちゃんと登記されてますか?」と聞きます。登記がなかったら「え、じゃあ所有権って本当にあるの?」と不安になるわけ。そうなると、買い手はなかなか買わない。当然、売値も安くなります。あるいは「保存登記をしてから売ってください」と言われて、売却前に急いで手続きするはめになります。
相続のときが大変
あなたが亡くなって、子どもたちが家を相続することになったとしましょう。でも登記がなかったら、「本当にこの人の家だったのか?」を証明する書類がない。そのせいで「遺産分割」(遺産をどう分けるか)の話し合いが複雑になったり、後々になって相続人が「本当にこれであなたの家だったのか疑わしい」と揉めたり、ということになるわけです。
法的な権利を主張できない
最悪の場合、登記がないと「この建物の所有権はあなたにある」ということを、法律で証明できなくなる可能性もあります。例えば、昔建てた家で登記をしないままだと、数十年後に「実はこの家は俺のものだ」と赤の他人が言い張ったときに、あなたが所有権を主張しにくくなるわけです。
ですから、「法律では義務ではない」と言いながらも、実際には「ほぼ全員がやっている」のが建物保存登記。これは「必須の手続き」と考えて間違いありません。
建物保存登記にかかる費用と時間
最後に、お金と時間の話。
費用の内訳
自分で申請する場合:
- 登録免許税:建物の固定資産税評価額の0.4%。例えば、評価額が2000万円なら、税金は8万円。
- 必要書類の取得費用:住民票や固定資産税評価証明書など、市区町村役場で取得するときの手数料。数千円程度。
- 合計:だいたい10万円前後。
司法書士に頼む場合:
- 司法書士の報酬:10〜20万円。地域や複雑さで変わります。
- 登録免許税と手数料:上記と同じ。
- 合計:だいたい20〜30万円。
時間
自分で申請する場合、書類を集めたり、申請書を作ったり、法務局に提出したり……いろいろやることがあります。だいたい1〜2ヶ月かかることが多いです。
司法書士に頼む場合、書類を提出したら後は待つだけ。だいたい2〜4週間で完了します。
ハウスメーカーで家を建てた人は、大抵ハウスメーカーが「司法書士をご紹介します」と言ってくれます。その場合は、何もしなくても登記申請が進むことが多いですね。
「保存登記」と「保有登記」の違い
余談ですが、「保存登記」と「保有登記」という似た言葉があります。混同する人もいるので、念のため説明しておきます。建物保存登記は「建物を初めて登記する」ときのこと。一方、「保有登記」という言葉は、日本の法律では実はあまり使われません。見かけるのは、外国の不動産制度の説明のとき。混乱する必要はありませんが、「保存登記 = 最初の1回の登記」と覚えておけば大丈夫です。
