会社や学校で「目標を立てよう」「目標の達成度で評価しよう」という話を聞いたことはありませんか?そういうときに使われている経営の考え方が「MBO」です。この記事を読めば、なぜ目標を立てることが大事なのか、目標で評価することがどういう仕組みなのかが、スッキリわかるようになりますよ。
- MBOとは、目標を決めて その達成度で評価する 経営方法のこと
- 「毎日きちんと仕事をする」という 過程ではなく、「売上を100万円増やす」という 成果を重視 する
- 社員が自分で目標を作り、自分で達成度を判断することで、やる気とモチベーションが高まる という仕組み
もうちょっと詳しく
MBOは1954年に、有名な経営学者のピーター・ドラッカーという人が考え出しました。当時の会社では、上司が「こうしなさい」「こう動きなさい」と指示するやり方が一般的でした。でもドラッカーは「社員が自分で目標を決めて、自分で達成をめざすほうが、もっと効率的で、やる気が出るんじゃないか」と考えたんです。このアイデアは今でも、世界中の会社や学校で使われています。MBOの大事なポイントは、目標が「上から押し付けられる」のではなく、「自分たちで決める」ということ。これが、社員のモチベーションを高める秘訣なんです。
MBOは「上司の指示を聞く」のではなく「自分で目標を立てる」のが大切。それが人のやる気を引き出すんだ。
⚠️ よくある勘違い
→ これはMBOの本当の意味ではありません。MBOは「目標を一緒に決める」ことが大切。上司が一方的に「絶対にこの数字を達成しろ」と言うだけなら、それはMBOではなく、ただの「厳しい指示」です。
→ 本人が「自分たちで決めた目標」だからこそ、がんばろうという気持ちが出ます。ここが大事なポイント。無理な目標ではなく「ちょっと頑張れば達成できる目標」を決めるのが工夫です。
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そもそも「目標」って何?
MBOの話をする前に、まず「目標」ってなんなのか、しっかり理解しておきましょう。目標とは、つまり「ここまで達成したい、ここに到達したい」という、将来のあるべき状態のこと。わかりやすく言うと「゛ゴール゙」のようなものです。学校の陸上大会なら、ゴールラインが目標。会社の営業なら「今月は100個売る」という売上数が目標。勉強なら「数学の模試で90点以上取る」というスコアが目標。こんな感じですね。
ここで大事なのは、目標には「はっきりした数字や成果が決まっている」ということです。「頑張る」とか「一生懸命やる」というのは目標じゃなくて、それは「姿勢」です。目標は「何個売るのか」「何点取るのか」「いつまでに達成するのか」というように、明確で、誰が見てもわかる形で決まっていることが大切なんです。
MBOでは、この「明確な目標」を設定することが、全ての出発点になります。だからMBOの最初のステップは「目標を決める」という大事な作業。社員が一人で勝手に決めるのではなく、上司と部下が話し合って、一緒に「これは達成できそうだ」「これならやる気が出そうだ」という目標を作り上げていくんです。友だちと一緒に宿題の計画を立てるみたいに、上司と部下でコミュニケーションを取りながら、その目標を組み立てていくんですよ。
MBOの「3つのステップ」
MBOには、ちょっと決まった流れがあります。それが「3つのステップ」です。このステップを知ると、MBOがどういう仕組みなのかが、もっとクリアに見えてきますよ。
まず第1ステップは「目標を決める」です。会社や部門が「今年は何を達成したいのか」という大きな目標を決めます。例えば「今年は売上を1000万円増やす」とか「新しい商品を開発する」みたいな感じ。そしてその大きな目標をたくさんの小さな目標に分けて、それぞれの社員に割り当てます。営業部なら「Aさんは200万円の売上を達成する」「Bさんは150万円」みたいにですね。ここで大事なのは、社員が「えー、この数字は無理だ」と感じても、「なぜこの目標なんですか?」と上司に聞いて、納得できるまで話し合うことです。納得できた目標だから、がんばろうと思うんですよ。
第2ステップは「期間中、目標に向かって実行する」です。決めた目標に向かって、社員が仕事をしていきます。この期間中、上司は「手助け」をします。「ここは大変そうだから、サポートが必要だね」とか「この方向で大丈夫か」とか、ちょっと様子を見ながら応援するんです。目標を達成するために、社員が困っていることを手伝ったり、邪魔な障害を取り除いたりするのが上司の役目です。
そして第3ステップが「評価する」です。期間の終わり(例えば3ヶ月後や1年後)に、「この目標はどのくらい達成できたのか」を確認します。100%達成できたのか、70%だったのか、それとも120%達成できたのか。ここで大事なのは「なぜこの結果になったのか」という背景も一緒に考えることです。「達成できなかったけど、こういう理由で難しかった」「達成できたけど、こういう工夫をした」といった話を上司と部下が一緒に振り返ります。それが次の期間の目標設定に活かされるんです。つまり、MBOはグルグルと回っていく「サイクル」なんですね。
MBOが「やる気」を高める理由
ここまで読んで、「なぜMBOはやる気を高めるんだろう」と思いませんか?その答えは、人間の心理にあります。
昔の評価方法では、上司が「こうしなさい」「こうあるべきだ」と一方的に決めていました。社員は「言われたことをやる」というロボットみたいな働き方をしていたんです。でもこのやり方だと、社員は「別にやる気なんてない」「給料をもらうためにやってるだけ」という気持ちになってしまいます。
MBOは違います。社員が「この目標は自分たちで決めた」と感じることができます。上司も「Aさんだったらこのくらいの目標が良さそうだね」と、その人の力や状況を考えて目標を決めます。つまり「自分は認められている」「自分の意見が大事にされている」という感覚が生まれるんです。心理学では、このことを「オーナーシップ」と言います。つまり「これは自分の目標だ」「これを達成するのは自分の責任だ」という気持ちが出てくるってわけです。
また、MBOでは目標がはっきり決まっているので「今、自分はどのくらい進んでいるのか」が、いつもわかります。学校のテスト勉強で「100点を目指そう」と決めたら、模試を受けたときに「あ、今は70点だ。あと30点分の力をつけないといけないな」と気づけますよね。そういう「進捗がわかる」という感覚も、やる気につながるんです。目標に向かって、ちょっとずつ近づいているのが感じられるから、もっと頑張ろうと思えるんですよ。
会社以外でもMBOは使われている
MBOは会社の経営方法として有名ですが、実は学校やスポーツの世界でも使われています。ご飯を食べるみたいに、いろいろなところで活用されている仕組みなんです。
例えば学校では、「今学期の目標は何か」を決める時間を取っているクラスがありますね。個人的には「数学の模試で90点取る」「読書を10冊完了する」といった目標を決めて、期末のときに「達成できたか」を振り返る。この流れはまさにMBOです。スポーツの世界だと、「今シーズンは県大会で優勝する」という目標を決めて、月ごとに「今月のチームの目標は練習の出席率を100%にする」「個人の目標はスローイングの精度を90%以上にする」という感じで、細かく目標を決めていきます。
つまり、MBOは「会社の経営方法」という難しい話ではなく、生活のいろいろな場面で「目標を決めて、それに向かって頑張り、結果を見直す」という、ごく自然なプロセスなんですよ。だから、あなたも実は知らないうちにMBOを経験しているかもしれません。
MBOで気をつけるべき「落とし穴」
MBOは素晴らしい仕組みですが、やり方を間違えると、逆にやる気を下げてしまう危険もあります。その「落とし穴」をいくつか紹介しましょう。
まず「目標が高すぎる」という問題があります。「年間1000万円の売上」という目標が、実はその人には無理な数字だったら?「どうせ達成できない」という気持ちが出てきて、かえってやる気を失ってしまいます。MBOで大事なのは「ちょっと頑張れば達成できる」という絶妙なラインを見つけることです。高校受験で「東大に絶対合格する」という目標を立てるのは素晴らしいですが、実力が全然届かない状態だったら、勉強を始める前からやる気がなくなってしまいますよね。同じことです。
次に「上司と部下の話し合いが不足している」という問題です。本来のMBOは「目標を一緒に決める」ということが大事なのに、上司が一方的に「これが目標だ」と決めてしまう会社も多いんです。それだと、MBOではなく、ただの「厳しい指示」になってしまって、やる気どころか、部下のストレスが溜まってしまいます。
さらに「結果だけで判断する」というのも危険です。例えば「100個売る」という目標を決めたのに、世界中で大きな事件が起きて、みんながお店に行きにくくなったら?その社員の努力は十分だったかもしれないのに「80個しか売れなかった。目標達成できていない」と判断されてしまったら、不公平ですよね。MBOでは「結果」だけでなく「その過程」「状況の変化」も一緒に考える必要があるんです。
こういった「落とし穴」を避けるために、MBOを導入する会社は、上司の研修や、目標設定のガイドラインをしっかり用意しています。せっかくいい仕組みを導入しても、使い方を間違えたら意味がないからです。
