「ネットで限定品を注文したのに、発送前に倉庫が火事になって商品が燃えちゃった。それでもお金を払わなきゃいけないの?」って思ったことない?そういう「どちらのせいでもないのに、損をするのは誰?」という問題を法律ではちゃんと決めているんだ。それが危険負担というルール。この記事を読めば、危険負担の意味と2020年の法律改正でどう変わったかが、スッキリわかるよ。
- 危険負担とは、どちらのせいでもない事故で契約の目的物が失われたとき、誰が損を引き受けるかを決めるルールのこと。
- 2020年の民法改正で債務者主義が原則となり、売る側がリスクを負うため、買い手はお金を払わなくてよくなった。
- ただし買い手が受け取りを不当に拒否していた場合(受領遅滞)は、例外的に買い手にリスクが移る。
もうちょっと詳しく
危険負担は、「双務契約(そうむけいやく)」、つまりお互いに義務を持ち合う契約(売買契約など)で問題になるルールだよ。片方の義務が「どちらのせいでもない理由」で果たせなくなったとき、もう片方はその見返りの義務(代金の支払いなど)を果たす必要があるか?というのが核心なんだ。改正民法536条1項では「債務者の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」と定められているよ。難しい言葉だけど、要は「売る側のせいじゃない事故なら、買う側は代金の支払いを断れる」ということ。また買う側は、そのまま契約を解除することもできるよ。
危険負担のカギは「どちらのせいでもない」こと。一方のせいなら損害賠償や債務不履行の問題になるよ。
⚠️ よくある勘違い
→ 2020年改正前は特定物の売買に限り「債権者主義」、つまり買い手がリスクを負うルールだった。改正後に逆転しているので要注意。
→ 改正民法では債務者主義が原則。買い手は代金の支払いを拒否でき、さらに契約を解除することもできる。
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危険負担ってそもそも何?基本をおさえよう
「危険」ってどういう意味?
日常会話で「危険」というと「危ない」というイメージだよね。でも法律の世界で「危険」というのは、「経済的な損失を引き受けるリスク」のことなんだ。つまり「お金・財産的な損をする可能性」を指しているよ。
危険負担が問題になるのは、次のような場面だよ。
- 売買契約を結んだ後、商品が届く前に火事や地震で商品が壊れた
- 工事の請負契約で、完成前に台風で建物が倒壊した
- レンタルしたものを返す前に、盗難にあった(ただし自分のせいでない場合)
こういった「どちらかのせいとはいえないトラブル」が起きたとき、契約上の義務(代金の支払いや商品の引き渡しなど)はどうなるの?という問いに答えるのが危険負担なんだ。
双務契約との関係
危険負担は「双務契約(そうむけいやく)」で問題になるよ。双務契約というのは、つまり「お互いが義務を持ち合う契約」のこと。売買契約なら「売り手は商品を渡す義務・買い手は代金を払う義務」を持つよね。一方がその義務を果たせなくなったとき、もう一方も義務から解放されるのかどうかが問われるんだ。友だちに「ゲームを貸す代わりにマンガを貸して」という約束をしたのに、地震でゲームが壊れたら「マンガも貸さなくていいよね?」となるかどうかのイメージだよ。
昔の法律では買い手が不利だった?改正前のルール
旧民法の「債権者主義」という不思議なルール
2020年4月の民法改正前は、特定物(つまり「この商品!」と名指しで決めた一点もの)の売買には「債権者主義」が適用されていたんだ。債権者というのは「もの・サービスを受け取る権利のある人」、つまり買い手のこと。
債権者主義を一言でいうと、「受け取る側(買い手)がリスクを負う」ということ。たとえば、絵画を100万円で買う契約をした。引き渡し前に美術館が火災にあって絵が燃えた。このとき旧民法では、「それでも買い手は100万円を払わないといけない」という結論になっていたんだ。
これは直感的に「おかしくない?」と感じるよね。まだ手元に届いてもいないのに、お金だけ払わないといけないなんて。実際、多くの法律学者からも批判されていたルールで、実務では特約で対応することが多かったんだよ。
種類物には別のルールがあった
旧民法では「種類物(しゅるいもの)」、つまり「同じ種類なら何でもいい」もの(量産品など)については「債務者主義」が適用されていたよ。債務者(売り手)がリスクを負うから、事故が起きたら買い手は払わなくていい、というルール。
同じ「物の売買」でも、一点ものか量産品かで扱いが違うのはわかりにくいし、不公平だよね。そこで法律が改正されることになったんだ。
2020年改正で何が変わった?新しいルールを理解しよう
「債務者主義」が原則になった
2020年4月に施行された改正民法では、「債務者主義」が全面的な原則になったよ。改正民法536条1項にはこう書かれているよ。
「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」
難しいから噛み砕くと、「どちらのせいでもない理由で商品を渡せなくなったとき、買い手は代金の支払いを拒否できる」ということ。お店で予約した限定スニーカーが、発送前に倉庫ごと水害で流されてしまったケースでいうと、買い手は「商品がないのにお金は払えません」と言えるようになったんだ。
契約解除もできるようになった
改正後は、買い手はお金を払わないだけでなく、契約そのものを解除することもできるよ。「支払いを拒否する」というのは一時的な話で、後から「やっぱりなかったことにして」と解除できる。これで買い手はスッキリ身を引けるようになったんだ。
ポイントをまとめると、こうなるよ。
- どちらのせいでもない事故 → 買い手は代金の支払いを拒否できる(または解除できる)
- 売り手のせいで不可能になった → 買い手は損害賠償を請求できるし、解除もできる
- 買い手のせいで不可能になった → 売り手は代金をそのまま請求できる
例外を知っておこう!受領遅滞とは
受け取りを断っていた場合は話が変わる
「どんな状況でも買い手は払わなくていい」かというと、そうじゃないよ。「受領遅滞(じゅりょうちたい)」という例外があるんだ。受領遅滞とは、つまり「正当な理由なく受け取りを拒否・放置していた状態」のこと。
たとえばこんな場面を想像してみて。家具屋に「今週届けます」と連絡したのに、買い手が「忙しいから来週にして」と何度も受け取りを先延ばしにしていた。そのあいだに倉庫で火事が起きて家具が燃えてしまった。このケースでは、受領遅滞の状態があったので、リスクは買い手に移っていて、代金を支払わないといけないんだ。
なぜこのルールがあるの?
「受け取れたはずなのに断っていた」という状況では、買い手も事故が起きやすい状況を作り出しているといえるよ。また、いつまでも受け取らないせいで売り手が余計な管理コストを負うのも不公平。だから、受領遅滞があった期間中の事故のリスクは買い手が引き受けるよ、というルールになっているんだ。
ポイントはこの3つだよ。
- 受け取る側に「受け取る義務」がある(協力義務)
- 正当な理由なく断り続けると「受領遅滞」になる
- 受領遅滞後の事故は、買い手がリスクを負う
身近な場面で危険負担を考えてみよう
ネットショッピングでの例
今の時代、一番イメージしやすいのはネットショッピングだよね。注文してお金を払ったのに、発送前に商品が水害で失われた場合、改正民法のルールではお店(売り手=債務者)がリスクを負うよ。だから、払い済みのお金は返金してもらえるし、「やっぱり解約します」もできる。
ただし注意が必要で、「発送後」「配送業者が持っている間」の事故については、危険の移転(リスクが売り手から買い手に移るタイミング)という別の問題になってくるよ。改正民法では、商品が引き渡された時点でリスクが移転するのが基本なんだ。
不動産の売買での例
家や土地の売買でも危険負担は出てくるよ。たとえば土地を買う契約をしたあと、引き渡し前に大地震で地盤が崩れた場合。この場合も買い手は代金の支払いを拒否できるし、契約を解除することもできる。不動産は金額が大きいから、こういったルールを知っておくことはとても大切だよ。
請負契約での例
「請負契約(うけおいけいやく)」、つまり仕事の完成を約束する契約(家を建てるとか、システムを開発するとか)でも危険負担は問題になるよ。完成前に台風で建物が壊れた場合、請負人(建てる側)と注文者(依頼する側)のどちらが損失を負うか。基本的には改正民法の債務者主義が適用されるけど、完成した部分があるかどうかや、引き渡しが終わっているかどうかによっても違ってくるんだ。
