権利金って何?わかりやすく解説

「部屋を借りようとしたら、敷金しききん礼金れいきんのほかに”権利金”って書いてあって、なにそれ?ってなった」——そんな経験、ない? お店を開こうとしたとき、土地を借りようとしたとき、なぜか「権利金」という言葉が出てくる。払わないといけないの? 返ってくるの? そもそも何の権利なの? このページを読めば、権利金のしくみがまるごとわかるよ。

先生、権利金ってなんですか? 敷金しききん礼金れいきんとはちがうものなんですか?

いい質問だよ! 権利金は、土地や建物を借りるとき、または買うときに「その物件を使う権利をもらうために払うお金」のことだよ。敷金しききんは退去するときに返ってくる預け金で、礼金れいきんは家主への謝礼。でも権利金はちょっと別の話で、「その場所でビジネスをする権利」や「土地を使い続ける権利」にお金を払うイメージなんだ。
じゃあ権利金も、礼金れいきんみたいに返ってこないんですか?

基本的には返ってこないよ。でも種類によってはちがう場合もある。たとえば借地権利金といって、土地を長期間借りるときに払う権利金は、借りる権利そのものの対価だから、その権利を誰かに売れることもある。つまり「払っただけで消えるお金」じゃなく、「権利という資産に変わるお金」になることもあるんだ。
権利が資産になる? 難しいなあ……。具体的にどんなときに権利金を払うんですか?

大きく2つあるよ。①借地のとき:人の土地の上に自分の家や建物を建てて住む場合、地主さんに「土地を使わせてもらう権利料」として払う。②店舗・事務所を借りるとき:駅前の好立地なお店を借りるとき、「この場所でビジネスができる権利」への対価として払う。商売向けの物件でとくに多く出てくるよ。
税金とかにも関係してくるんですか?

するよ! 払った側は「繰延資産」——つまり一度に経費にせず何年かに分けて経費にできるお金——として会計処理することが多い。受け取った側(家主・地主)は収入として税金がかかる。だから権利金が絡む契約はお金の扱いが複雑になるから、プロに相談するのが大事なんだ。
📝 3行でまとめると
  1. 権利金は土地・建物を使う際に支払う対価で、「使う権利」そのものへのお金だよ
  2. 基本は返ってこないけど、借地権利金のように権利として売り買いできる場合もある
  3. 払った側は繰延資産として数年で経費化、受け取った側には税金がかかる
目次

もうちょっと詳しく

権利金という言葉が出てくる場面は主に2パターンある。ひとつは「借地」。土地の所有者(地主)から土地だけを借りて、その上に自分の建物を建てるとき、土地を使う権利(借地権)の対価として地主に払うお金が権利金だ。借地権は長期間(30年以上など)にわたって土地を使い続ける強い権利なので、それに見合った大きな金額になることが多い。もうひとつは「店舗・事務所の賃貸」。商業ビルや飲食店向け物件で、立地の良さや営業ノウハウの引継ぎに対して払うお金を権利金と呼ぶことがある。住宅向け物件でも地域によっては権利金が慣習として残っていることがあるよ。

💡 ポイント
権利金=「その場所を使う権利への対価」。礼金れいきんは「家主への謝礼」。目的が全然ちがうよ!

⚠️ よくある勘違い

❌ 「権利金は敷金しききんみたいに退去したら返ってくる」
敷金しききんは預り金だから退去時に精算されるけど、権利金は「権利の対価」として払うものだから原則返金されない。全然別物だよ。
⭕ 「権利金は基本的に返ってこないが、借地権利金のように”権利”として第三者に売れるケースもある」
→ 権利金の種類によっては「払ったお金が権利という資産に変わる」こともある。返ってくる・こないより「資産に変わるかどうか」で判断しよう。
なるほど〜、あーそういうことか!

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権利金ってそもそも何? 礼金れいきん敷金しききんとの違いをはっきりさせよう

3つのお金を並べて比べてみる

不動産の契約をしようとすると、いろんなお金の名前が出てきてごちゃごちゃになりがちだよ。まず3つを整理しよう。

  • 敷金しききん(しききん):退去するときに返ってくる「預け金」。部屋を壊したり汚したりしたときの修理代に充てられる。
  • 礼金れいきん(れいきん):家主への「ありがとう」のお礼。返ってこない。住宅賃貸でよく出てくる。
  • 権利金(けんりきん):「その場所を使う権利をもらうための対価」。基本的に返ってこない。

礼金れいきんと権利金、どちらも返ってこないからそっくりに見えるけど、目的がちがう。礼金れいきんは「家主への感謝」という慣習的なお金。権利金は「権利の取得」に対して支払うお金だよ。

身近な例で考えてみよう

たとえば、学校の近くに人気のたこ焼き屋さんがあったとする。そのたこ焼き屋さんが閉店するとき、「うちの場所で商売を続ける権利を次の人に売る」ことがある。このとき次にお店を出す人が払うお金が権利金のイメージに近い。立地がいい場所だと「その場所で商売できる権利」自体に価値があるよね。権利金とは、その価値に払うお金なんだ。

もうひとつ、土地版の例も見てみよう。田んぼだらけの郊外に広い土地を持っているAさんがいるとする。Bさんがそこに家を建てて住みたいと思った。土地を買うお金はないけど、長い期間借りて自分の家を建てたい。このとき、BさんはAさんに「この土地を長期間使わせてもらう権利(借地権)の対価」として権利金を払う。これが借地権利金というものだよ。

権利金の種類を知っておこう

①借地権利金(土地を借りるときの権利金)

土地を借りて、その上に建物を建てて使う契約を「借地」という。借地をするときに地主に払う権利金が借地権利金だ。

借地権という権利は非常に強い。たとえば「借地借家法」という法律で守られていて、地主が急に「もう土地を返して」とは言えないようになっている。30年、50年と長期にわたって土地を使い続けられる強い権利だから、その対価として大きなお金が動く。

金額の目安は、土地の価格の30〜70%程度になることが多い。都市部の人気エリアなら数百万〜数千万円になることもある。

この権利金を払って手に入れた「借地権」は、資産として扱われる。つまり、借地権を第三者に売ったり、相続したりすることも(地主の承諾が必要だけど)できるんだ。

②店舗・事務所の権利金(商業用賃貸の権利金)

商業ビルや飲食店向けのテナント(つまり〜ということ=お店が入るスペースのこと)を借りるとき、住宅の礼金れいきんに相当するものが「権利金」と呼ばれることがある。

駅前の一等地、商店街の目立つ角地——そういう場所は「ここで商売できること自体」に高い価値がある。そのプレミアム(=割増し価値)への対価が権利金だよ。

住宅の礼金れいきんと似ているけど、金額の規模がちがう。住宅の礼金れいきんは家賃1〜2か月分が多いのに対し、商業用の権利金は家賃の数か月〜数十か月分になることもある。人気の立地であればあるほど高くなるよ。

③造作買取・のれん代としての権利金

飲食店などでは、前のお店が残していった設備(厨房機器、内装など)を「造作(ぞうさく)」という。これを引き継ぐときに払うお金も広い意味で権利金と呼ばれることがある。また「のれん代」——つまりそのお店が持っていた顧客や知名度、ブランドへの対価——も権利金の一種として扱われることがあるよ。

権利金はどうやって計算されるの?

借地権利金の計算方法

借地権利金の金額には、税務署ぜいむしょが定めた「借地権割合」という考え方が使われる。借地権割合とは、土地の価値のうち「借りる側の権利に相当する割合」のことだ。

たとえば、路線価(つまり〜ということ=国税庁が決める土地の評価額)で価格が5,000万円の土地があって、借地権割合が60%なら、権利金の目安は5,000万円×60%=3,000万円になる。

借地権割合は地域によってちがい、都市部ほど高くなる傾向がある。60〜80%になることが多く、人気エリアでは80%以上になることも。

権利金を払わないとどうなる?

「お金を払いたくないから権利金なしで借地契約を結びたい」と思うかもしれない。これは実は可能だけど、落とし穴がある。

権利金を払わずに相場より安い地代(つまり〜ということ=土地の賃料のこと)で借りると、差額分が「地主から借り手への贈与」とみなされて、贈与税ぞうよぜいがかかる可能性があるんだ。タダで借りてもお得にならないどころか税金を取られることがある。これを「無償返還の届出」などの方法で回避することもできるけど、専門家に相談が必要だよ。

商業用物件の権利金は交渉できる?

交渉の余地はある。空き物件が多いエリアや、テナント誘致に苦労しているビルオーナーなら、権利金を減額してもらえることもある。逆に人気エリアや競争が激しい場所では値引きはほぼ無理。市場の需要と供給で決まる部分が大きいんだ。

税金との関係——権利金を払ったり受け取ったりしたときの会計・税務

権利金を払った側の税務処理

権利金を払った側(借りる人・テナント)は、このお金をどう会計処理するか判断しなければならない。

繰延資産(くりのべしさん)として処理するというのが一般的だよ。繰延資産とは「すでに払ったお金だけど、その効果が将来にわたって続くもの」を、一度に全額経費にせず、何年かに分けて経費にしていく処理のこと。

たとえば飲食店の権利金200万円を払った場合、それを5年間で償却(つまり〜ということ=少しずつ経費に落としていくこと)するなら、毎年40万円ずつ経費になる計算だ。

一方、借地権利金は「借地権という資産を取得した対価」なので、繰延資産ではなく無形固定資産(むけいこていしさん)として資産計上する。借地権は消耗しないので、原則として償却(減価償却)しない。つまりずっと資産として残り続けるよ。

権利金を受け取った側の税務処理

地主や家主が権利金を受け取った場合、これは「不動産所得」または「譲渡所得」として課税される。どちらになるかは権利金の性格によって変わるため、税務上の判定が複雑になる。

特に借地権利金は金額が大きいことが多いため、受け取った年に一気に高い税率がかかることもある。このあたりは税理士に相談するのが安全だよ。

消費税しょうひぜいはどうなる?

権利金に消費税しょうひぜいがかかるかどうかも判断が必要だ。住宅用の借地に関する権利金は消費税しょうひぜい非課税ひかぜい(かからない)ことが多い。でも商業用途の権利金は課税される(消費税しょうひぜいがかかる)ことが多い。土地に関するお金は基本非課税ひかぜいだけど、権利金の性格によって変わる。これも専門家に確認しよう。

権利金に関するトラブルと注意点

「権利金を返せ」といえるケースはある?

原則として権利金は返ってこない。でも例外がある。

  • 契約が最初から無効だった場合:詐欺や錯誤(勘違い)によって契約が取り消された場合は、払ったお金を取り戻せる可能性がある。
  • 借地権を地主が買い戻す場合:借地人(土地を借りている人)が土地を地主に返すとき、借地権を地主に買い取ってもらうことがある。このときは権利金の一部が戻ってくることもある(ただし交渉による)。
  • 契約書に返還条件が書いてある場合:特約として「一定条件で返還する」と書いてあれば、それに従う。

「払ったのに返ってこないのはおかしい」とトラブルになるケースも多い。契約前にしっかり契約書を読み、返還の有無を確認することがとても大切だよ。

権利金なのか礼金れいきんなのか曖昧なことがある

地域によっては「権利金」と「礼金れいきん」が同じ意味で使われていたり、「保証金」の一部が実質的に権利金の性格を持っていたりすることがある。名前だけで判断せず、「このお金は何のために払うのか」「返還されるのか」を契約前に必ず確認しよう。口頭の説明と契約書の内容が食いちがっていたときは、必ず書面で確認を取ることが重要だよ。

権利金の相場を知らないまま払うのは危険

権利金の金額は法律で上限が決まっているわけではないから、相場を知らないと高すぎる金額を払ってしまうことがある。借地権利金なら国税庁の路線価図や借地権割合で相場を調べられる。商業用テナントの権利金はエリアの仲介業者に複数社聞いて相場感をつかもう。「言い値をそのまま払う」のが一番危ないよ。

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この記事を書いた人

大人になってから「これ知らなかった…」と恥ずかしい思いをした経験から、このサイトを作りました。お金・仕事・社会のしくみって、学校で教えてくれないのに知らないと損することだらけ。むずかしい言葉を「あーそういうことか!」って思えるまでかみ砕いて説明するのが得意です。主に経済・法律・税金・ライフイベント周りの用語を毎日更新中。

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