大好きなゲームで、キャラクターの強さを数字で表されたら? またはお小遣いをどう配分するか判断するときに、その使い道の価値を考えたりしますよね。実は会社の世界でも同じこと。お金を出す人たちが「この会社、本当にいくらの価値があるのかな?」と判断する方法があって、それがバリュエーションです。銀行からお金を借りるとき、株を買うとき、会社を売るとき…いろんな場面でこの「価値の計算」が大事になってくるんです。この記事を読めば、会社の価値ってどうやって決まるのかが見えてきますよ。
- バリュエーションは、会社がどのくらいの値打ちがあるかを数字で表す計算のこと
- その会社が出している利益に、業界の相場となる倍率をかけて値段を決める方法が使われる
- 銀行からお金を借りるときや株を売り買いするときなど、いろんな場面で「会社の価値」を判断するのに必要
もうちょっと詳しく
バリュエーションは、簡単に言えば「企業鑑定」です。あなたが中古の自転車を売ろうとするとき、「この自転車、いくらで売れるだろう?」って考えますよね。新しくて状態がいいなら高く売れるし、古くてボロボロなら安くしか売れない。企業も全く同じ。会社の「品質」「これからの将来性」「業界での地位」などを総合的に判断して、「この会社は今、何億円の価値がある」と計算するわけです。バリュエーションがきちんとできていると、銀行も投資家も「よし、この会社にお金を出そう」と安心して判断できるんです。
バリュエーションは「その時点の価値」。時間がたつと変わります。会社が成長すれば価値は上がるし、失敗すれば下がる。だから「いつの時点での計算か」が大事。
⚠️ よくある勘違い
→ 違います。会社が持っている土地や建物の合計じゃなくて、「これからどれだけ儲けられるか」という未来の利益を今の値段に換算したものなんです。だから、資産がなくても儲かりそうな会社は高い評価がつくことも。
→ 正解。会社の過去の実績や、これからの成長ポテンシャルを合わせて判断するので、同じ利益を出している会社でも、成長が見込める会社のほうが高く評価されるわけです。
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バリュエーションは「会社の通知表」みたいなもの
学校で成績をつけるときって、テストの点数だけを見るんじゃなくて、「このテストは得意な科目か、苦手な科目か」「これからの伸びしろはありそうか」みたいなことも考えますよね。バリュエーションも同じで、会社の現在地を計算するときに、いろんな要素を合わせて判断するんです。
たとえば、スマートフォンを作るAさんの会社と、スマートフォンの修理をするBさんの会社があったとしましょう。2つの会社がちょうど同じ額の利益を出していたとします。でも、Aさんの会社は「これからスマートフォンがもっと売れそう」だから価値が高いと判断される。Bさんの会社は「修理需要は増えなさそう」だから価値が低めに判断される。同じ利益でも、業界の成長性や、競争の激しさによって、バリュエーションは大きく変わってくるわけです。
また、「その会社はどんな人たちが働いているか」も大事です。優秀なエンジニアがいっぱいいる会社と、経験が浅い人ばかりの会社では、同じ利益を出していても、成長の速さが違いますよね。だから投資家は「人材」という目に見えない資産も計算に入れるんです。
バリュエーションを決めるときは、会社の「いま」だけを見るんじゃなくて、「あした」「来年」「5年後」…遠い未来までを想像して計算する。だからこそ、スタートアップ(立ち上がったばかりのベンチャー企業)で、まだ利益が出ていないのに、何十億円もの価値がついたりするんです。「これから大きく成長するぞ」という期待値が値段に反映されるからね。
バリュエーションの主な計算方法
バリュエーションを計算する方法は、いくつかあります。専門用語が難しいから、身近な例で説明しますね。
まず一番簡単な方法は「マルチプル法」です。これは「利益 × 倍率」という掛け算です。先ほどの例に戻りますが、1000万円の利益 × 10倍 = 1億円という計算ですね。でも、この「倍率」って何で決まるの? それは業界の相場なんです。たとえば IT業界では利益の15倍で売れることが多いとか、小売店は利益の5倍が相場とか、業界によって違うんですよ。なぜ業界で倍率が違うかというと、その業界の成長性や競争力が違うからです。成長している業界は倍率が高くなるし、衰退している業界は倍率が低くなる。
次に「DCF法」っていう方法があります。これは「ディスカウント・キャッシュ・フロー法」の略で、つまり「これからこの会社が出すお金をすべて計算して、今の価値に直す」という方法です。説明が難しいので、例えます。
あなたが友達に「3年間、毎月1000円くれない?」と言われたら、「3年間で36,000円もらえるんだ」って思いますよね。でも実は、3年後の36,000円より、今の36,000円のほうが価値があるんです。なぜかって、今のお金で何か買ったり、銀行に預けて利息をもらったりできるから。つまり、未来のお金は今より価値が落ちるわけです。DCF法は、この「未来のお金の価値が落ちる」ということを計算に入れるんですよ。だから「この会社は将来100億円儲かりそうだ」と思っても、DCF法で計算すると「今の価値では50億円分だ」ってなることもあるわけです。
3番目に「資産ベース法」っていうシンプルな方法もあります。これは「この会社が持っている土地とか建物とか機械とか、全部足した値段 – 会社が借りているお金」という計算です。要するに「会社の純資産(つまり、本当に会社が持っている価値のある物たち)はいくらか」という計算ですね。これは一番わかりやすいですが、成長している会社には向きません。だって、スタートアップみたいな会社は資産をあんまり持ってなくて、でも将来すごく儲かる可能性があるからです。
実務では、これらの方法を組み合わせて使います。マルチプル法は簡単だから、ざっくりした判断には使う。DCF法は精密だから、本気で会社を買うときに使う。資産ベース法は、土地をいっぱい持ってる製造業とか、資産が大事な業界に向いている。だから「どの方法が絶対正解」じゃなくて、会社の種類によって使い分けるんですよ。
実は、バリュエーションは「お願い値段」の交渉を決める
バリュエーションがなぜ大事なのか、もっと実感的に理解するために、具体的なシーンを想像してみてください。
あるベンチャー企業が、銀行からお金を借りたいとします。銀行は「よし、お金を貸すか」と判断する前に、「この会社、本当に経営がうまくいくの? ちゃんと返してくれるの?」と心配になりますよね。そこで銀行はバリュエーションを調べるわけです。「この会社の価値が50億円だから、いざというときは会社を売ってお金に変えられるから、10億円のお金を貸しても安全だ」という判断をするんです。つまり、バリュエーションが高いほど、銀行は安心してお金を貸してくれるわけです。
また、会社を買いたい別の会社がいるとしましょう。「この会社、うちのグループに入ってほしいな」となったときに、「じゃあ、いくらで売ってくれるの?」という交渉が始まります。ここでバリュエーションが重要になります。売りたい会社は「僕たちの価値は100億円です」と言いたいし、買いたい会社は「いや、50億円だよ」と言いたい。その間で交渉するわけです。バリュエーションがしっかり計算されていないと、「何を根拠に言ってるの?」という話になってしまいますよね。
さらに株を売り買いするときも大事です。株というのは、会社の一部を持つ権利なんですよ。たとえば、100万円の価値がある会社の100分の1の株を持ってれば、あなたは1万円分の価値を持ってることになります。バリュエーションが高く評価されると、その会社の株の値段も上がるし、安く評価されると株の値段も下がる。だから、投資家はいつもバリュエーションに注目しているわけです。
バリュエーションが高い会社と低い会社、何が違うの?
同じくらいの利益を出している会社でも、バリュエーションに大きな差がつく理由は何か。それは「成長の速さ」と「競争力」です。
成長が速い会社は、今の利益は小さくても、バリュエーションが高くなります。たとえば、今1000万円の利益しか出していないけど、毎年50%のペースで成長している会社。5年後には5倍以上に成長してるってことですよね。そういう会社には、投資家が殺到するから、バリュエーションがどんどん上がります。スマートフォンが出たばかりの頃、アップルやサムスンはバリュエーションが異常に高かった理由もそれです。「これからスマートフォンの時代が来るぞ」という期待値が値段に反映されたわけです。
反対に、今はいっぱい利益を出してるけど、衰退していく産業の会社は、バリュエーションが低くなります。たとえば、フィルムカメラのメーカー。デジタルカメラの時代が来たら、どんどん売上が減ってくることが見えているから、いくら過去の利益が多くても、バリュエーションは安くなってしまう。
競争力も大事です。その業界で圧倒的な地位を持っている会社は、バリュエーションが高いです。たとえば、スマートフォン市場を支配しているアップルは、競争相手がなかなか追いつけません。だから、将来もずっと利益を出し続けることが期待できるから、バリュエーションが高いんです。一方、競争が激しい業界で、特に強みがない会社は、ライバルに負けることもあるから、バリュエーション低くなる。
それと「経営陣の実績」も見られます。創業者や経営者が、過去に成功させた経験があるか。その人たちの判断力や実行力を信頼できるか。そういうことも、バリュエーションに反映されるんです。同じビジネスプランでも、実績がある人が進めると高く評価されるし、初心者が進めると低く評価される。銀行や投資家は、結局は「この人たちなら成功させられるだろう」という人を信頼して、お金を出すわけですからね。
バリュエーションを学ぶことで、会社や投資の意味が見えてくる
最後に、バリュエーションを理解することのメリットについて考えてみましょう。
もしあなたが将来起業家を目指すなら、バリュエーションの知識は絶対に必要です。自分の会社の価値を正しく計算できないと、銀行から借りるお金の額を決められないし、投資家に説得することもできないからです。また「ライバル会社はいくらの価値だから、うちはそのくらいを目指そう」という目標設定もできない。
投資家志望なら、バリュエーションの見方をマスターすることで、「この株は本当に価値があるのか」を見分ける力がつきます。株の値段が上がった下がったで一喜一憂するんじゃなくて、「本来の価値は何か」という冷静な判断ができるようになるわけです。
さらに、ニュースで「〇〇社の企業価値が□□億円に評価された」って出てくるけど、それが何を意味するのかが理解できるようになります。世の中の経済を理解するために、バリュエーションの知識は欠かせないんですよ。
バリュエーションは、一見すると難しい専門用語に見えるかもしれません。でも、本質は単純です。「この会社、どのくらい価値があるんだ?」という問いに対して、「こうやって計算しましょう」と決めたルールなんですよ。さまざまな方法があるのは、会社の種類や業界が違うから。だからこそ、複数の方法を組み合わせて、総合的に判断する。それがバリュエーションという仕事なんです。
