親友と物の貸し借りでもめたり、お店で買った物が壊れてたり、家を借りるときにお金の約束でトラブルになったり……大人も子どもも、人間関係のお金や物のことでケンカしちゃうことってあるよね。そういうときに「どっちが正しいのか」を法律で決めるのが「民事事件」です。この記事を読めば、民事事件って何なのか、刑事事件とどう違うのか、どうやって解決するのかがすっきりわかるようになるよ。
- 民事事件とは、個人や会社同士のお金や物のトラブルを法律で解決する事件で、犯人を罰する刑事事件とは別もの
- 貸金・契約・交通事故・不動産など、生活のいろいろな場面で民事トラブルは発生する
- 話し合い→調停→裁判という3段階で解決を目指す
もうちょっと詳しく
民事事件と刑事事件の一番の違いは、「誰が」「何のために」動くかです。刑事事件は、社会全体の秩序を守るために、国(検察官や警察)が動きます。つまり、殺人や盗難みたいに、社会的に許されない悪いことをした人を罰するわけです。でも民事事件は、被害を受けた個人や会社が「お金を返してほしい」「物を弁償してほしい」といった自分たちの権利を守るために、自分たちで動かなきゃいけません。国が率先して動いてくれるわけではないんですよ。だから、民事事件は「権利の問題」なんです。
民事事件 = 個人が自分の権利を守る事件
刑事事件 = 国が社会を守る事件
⚠️ よくある勘違い
→ 民事事件では、罰を与えることが目的じゃありません。相手にお金を払わせたり、物を返させたり、権利を認めさせることが目的です。懲役や罰金が決まるのは刑事事件だけですよ。
→ 民事事件は「あなたが失ったものを取り戻す」「あなたに損害を与えた分のお金をもらう」というのが目的です。罰することじゃなくて、被害者が失ったものを回復させるのが役目なんですよ。
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民事事件と刑事事件の違いって何?
そもそもどう違うのか
世の中には事件がたくさんあります。でも全部の事件が同じ法律で処理されるわけじゃないんですよ。大きく分けると「刑事事件」と「民事事件」の2種類があります。
刑事事件というのは、殺人、盗難、詐欺みたいに、法律で禁止されている悪いことをした人を罰する事件です。警察が逮捕したり、検察官が起訴したり、裁判所が懲役や罰金を決めたりする事件ですね。社会全体のルールを守るための事件なんです。
それに対して民事事件というのは、国が直接的に「この人は悪い」と判断して罰するのではなく、個人や会社同士のトラブルを「法律の観点から見て、どちらが正しいのか」を判断する事件なんです。つまり、借りたお金が返ってこなかったり、買った物が壊れていたり、隣の人の木の枝が自分の庭に伸びてきたりっていう、民間人同士のトラブルを解決するための事件ですね。
イメージとしては、刑事事件は「警察が前に出て、社会のルール破った人を罰する」という感じで、民事事件は「被害者と加害者が対等に立場をもって、法律を判断の基準として、どっちが正しいか話し合う」という感じです。
だから、刑事事件では「この被告人を懲役5年にします」みたいに罰が決まりますが、民事事件では「被告人は原告に100万円を支払いなさい」みたいに、相手が自分に与えた損害を回復させる判決が出ます。罰することが目的じゃなくて、被害を回復させることが目的なんですよ。
誰が動くのか
もう一つ大切な違いは「誰が前に出て動くのか」という点です。刑事事件では、警察や検察という国の機関が、「この人が悪いことをしたに違いない」と判断して、逮捕したり取り調べたりします。つまり、国が率先して動くわけです。被害者が「この人を捕まえてください」と言わなくても、警察が勝手に動いてくれることもあります。
でも民事事件では、被害を受けた人が自分で「この人から損害賠償をもらいたい」「この人が返すまで裁判をする」って言い出さないと、事件は始まりません。国は仲裁役に徹して、「あなたたちの言い分を聞いて判断しますよ」というスタンスなんです。だから、民事事件では被害者が積極的に動かないと何も始まらないんですよ。
民事事件にはどんな種類があるの?
お金のトラブル
民事事件の中で一番多いのは、お金のトラブルです。例えば、友達にお金を貸したのに返してくれなかったとか、給料が約束より少なかったとか、貸金返還請求ですね。会社同士でも「納品した商品の代金をまだ支払ってくれない」みたいなトラブルが起きます。
また、銀行のローンの問題もあります。例えば「銀行から借りたお金の利息が高すぎる」とか「銀行が不当な条件を押し付けた」みたいなトラブルですね。これも民事事件です。
さらに給与差し押さえなんかもあります。お金を貸した相手がずっと返さない場合、裁判所に「相手の給料から返済分を天引きしてください」と申し立てることができるんです。これは強制的に相手の給料から返済分が引かれることになるので、相手も必ず返さないといけなくなるわけです。
契約のトラブル
皆さんの生活の中には、いろいろな契約があります。学習塾に通うための契約、携帯電話を使うための契約、家を借りるための契約……こういった契約で「約束と違う」っていうトラブルが起きたら、それは民事事件になるんです。
例えば、通販サイトで買った物が説明と全然違う商品が来たとか、買った時は動いていた機械が1週間で壊れたとか、家を借りたときの説明と実際が違ったとか、こういったことですね。
また、契約を途中で破棄する(やめる)みたいなトラブルもあります。「3年間の契約だと思って入ったのに、1年で解約したい」みたいな場合、解約金が発生するかどうかっていう争いになったりします。
交通事故による損害賠償
もし交通事故でけがをしたら、相手に対して「医療費を払ってほしい」「入院した日数分の給料を補償してほしい」「精神的に傷ついたから慰謝料をください」みたいに請求することができます。これも民事事件ですね。
ただし、相手も「いや、あなたも責任がある」と言い張ることもあります。例えば「信号は確かに赤だったけど、君も脇見運転してたじゃないか」みたいにね。そしたら「じゃあどっちがどのくらい悪いのか」を裁判で判断することになるんです。
交通事故の場合は、相手の保険会社が対応することがほとんどですが、万一保険会社が「払いません」と言い張れば、民事裁判で相手に直接請求することになります。
不動産のトラブル
家を買ったり借りたりするときに起きるトラブルも民事事件です。例えば「家の壁に亀裂がある」とか「隣の家の騒音がうるさい」とか「大家さんが約束の修理をしてくれない」みたいなことですね。
また、土地の境界でもめることもあります。昔から住んでいる家なのに、隣の家が「いや、この土地はうちのもんだ」と言い張るみたいなケースです。こういう時は、専門家に測量してもらって、法律的に「どちらの土地なのか」を判断してもらうわけです。
さらに相続のトラブルもあります。おじいちゃんが亡くなったときに「財産をどう分けるか」で兄弟がもめるみたいなことですね。これも民事事件の一種です。
その他いろいろ
他にも、著作権の問題「誰かがぼくの作曲した曲を無断で使った」とか、名誉毀損「新聞が嘘の記事でぼくの名前を出した」とか、プライバシー侵害「ぼくの個人情報が無断で公開された」とか、いろいろなトラブルが民事事件になり得るんです。
つまり、「お金」「物」「権利」「名誉」に関することで、個人や会社同士がもめたら、大体は民事事件になるんですよ。
民事事件はどうやって解決するの?
段階1:話し合い(示談)
民事事件のトラブルが起きたときの第一歩は、話し合いです。これを「示談」(じたん)といいます。つまり、当事者同士が「あなたにお金を払う」「ごめん、返します」みたいに話し合って、勝手に解決することですね。
例えば、友達にお金を貸したのに返してくれなかったら、まずは「返してよ」って言いますよね。そしたら相手が「ごめん、来月返すから」とか「2万円だけ今払うから」みたいに言うかもしれません。そこで合意できたら、わざわざ裁判所に行く必要はないんです。
示談だと早いし、お金もかかりませんし、何より相手の事情も聞けたり、柔軟な解決ができるんです。だから、ほとんどの民事トラブルは示談で解決するんですよ。
段階2:調停(ちょうてい)
でも話し合いでもめちゃう場合ってありますよね。「いや、お金なんか借りてない」と相手が言い張るとか、「返すけど額が違う」みたいなことです。そういう時は、公式な話し合いの場に行くんです。それが「調停」です。
調停というのは、家庭裁判所(かていさいばんしょ)とか簡易裁判所(かんいさいばんしょ)っていう、裁判所で行われます。そこに「調停委員」(ちょうていいいん)っていう、中立的な立場の人たちが来るんです。つまり、その人たちが両方の言い分を聞いて「いい案がない?」「合意できるポイントはない?」って仲裁するわけですね。
調停の良いところは、裁判みたいに勝ち負けがはっきり決まるわけじゃなくて、「どっちかが完全に譲歩する」とか「折り合える場所を探そう」みたいな、比較的柔軟な解決ができることなんです。
ただし、調停でも合意できなかったら、次は裁判に行くしかないんです。
段階3:裁判(さいばん)
話し合いでもダメ、調停でもダメ、ってなったら最後は裁判です。簡易裁判所か地方裁判所(ちほうさいばんしょ)に行って、判事に「あなたたちの言い分を聞いて、法律に基づいて誰が正しいか判断します」ってやってもらうわけです。
裁判では、原告(もともと訴えた人)と被告(訴えられた人)が、それぞれ証拠を提出したり、証人を呼んだり、法律的な主張をしたりします。そして判事が「法律的に見て、どちらが正しいか」を判断するんです。
判事の判断が出たら、それが「判決」(はんけつ)になります。この判決に納得がいかなかったら、さらに高い裁判所に「控訴」(こうそ)したり「上告」(じょうこく)したりできます。でも最終的には、どこかの裁判所の判決が確定して、それに従わないといけないんですよ。
民事事件のポイント:実際に起きた例を通じて理解しよう
例1:貸金返還請求事件
隣の家のおじさんに「ちょっとお金を貸してくれませんか」って言われたから、50万円貸しました。「来月返すから」ってことだったんです。でも1年経ってもお金が返ってこないんです。何度も催促しても「ごめん、ごめん、もうちょっと待ってくれ」って言うばっかりです。
こういう場合、あなたは「貸金返還請求事件」で相手を訴えることができるんです。つまり「50万円返してください」って裁判を起こすわけですね。
簡易裁判所に訴えたら、裁判所から相手にも呼び出し状が来ます。そして「本当に借りたのか」「いつまでに返すのか」みたいなことを、両者で主張して、判事が判断するんです。
もし判事が「あなたがお金を貸したこと、証拠からも事実だし、返すという約束もあった。だから相手は50万円を払うべき」って判断したら、判決文に「被告は原告に50万円を支払え」と書かれます。相手がこれに従わなかったら、あなたは相手の銀行口座を差し押さえたり、給料から天引きしたりできるようになるんですよ。
例2:不良品返品事件
通販で買ったゲーム機が届いたんだけど、電源が全く入らないんです。説明書に「到着から1ヶ月以内なら新品と交換します」って書いてあったから、メールで「これ不良品なんですけど、交換してください」って連絡したんです。
でも販売元から「いや、あなたが落とし壊したんじゃないですか?」って言い張られて、交換に応じてくれなかったんです。こういう場合、あなたは販売元を訴えることができるんです。
簡易裁判所に「商品は不良品で、修理または交換、もしくは返金してください」って訴えるわけです。あなたは「到着時点で電源が入らなかった」っていう証拠を出さないといけません。例えば「届いた日のメール」「その日に写した写真」「販売元とのメールのやり取り」なんかですね。
判事が「到着時点での写真や説明書の内容から見て、これは明らかに不良品だ。販売元は商品を交換するか返金する義務がある」って判断したら、判決が出るわけです。
例3:騒音トラブル事件
隣の家がいつも夜中にギターを練習するんですよ。毎晩11時まで「ジャジャジャーン」って音が聞こえるんです。何度も「夜は静かにしてください」って言ったんですが、改善されないんです。
こういう場合、あなたは隣の人を訴えることができるんです。「あなたの騒音で私の睡眠が妨害されて、精神的苦痛を受けました。慰謝料として30万円払ってください」みたいな訴え方ですね。これを「不法行為に基づく損害賠償請求」といいます。つまり、法律で禁止されていない行為でも、相手の権利を侵害したら、損害賠償を請求できるっていう制度なんです。
裁判では、あなたが「いつから、どのくらいの時間、どのくらいの大きさの音」か、証拠を出さないといけません。例えば「毎晩11時から1時間、80デシベルぐらいの音」みたいにね。判事がその証拠から「これは確かに生活妨害になるレベルだ」と判断したら、「被告は原告に慰謝料を支払え」という判決が出るんです。
ただし「どのくらいの金額か」は、状況によって変わります。毎晩のように続いてたら慰謝料も高くなるし、1回だけなら低くなるわけです。判事がそれを判断するんですよ。
