「えっ、このスマートフォン、ほぼこの1社の製品ばっかりだ…」って思ったことないですか?便利だから使ってるけど、1つの企業ばかりが強くなりすぎたら、逆に困ることもあるんですよ。そんな時に登場するのが「独占禁止法」です。日本にはライバル企業のひとりぼっちを防ぐ法律があります。この記事を読めば、なぜそんな法律が必要なのか、そして企業がどこまで大きくなってもいいのかが分かるようになりますよ。
- 独占禁止法は、1つの企業が市場を 独り占めするのを防ぐ 法律だよ
- ライバル企業がいることで、公正な競争 が生まれて、お客さんにとって良い商品が増えるんだ
- 企業が強いのはいいけど、反競争的な行為 は禁止されているってわけだよ
もうちょっと詳しく
独占禁止法は、正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」という長い名前の日本の法律です。つまり、ある企業が市場を独り占めして不公正なことをするのを禁止する法律ですね。この法律がなかったら、どうなると思いますか?大きな企業がどんどん強くなって、ライバル企業を潰してしまったり、お客さんに高い値段を吹っかけたりしてもいいということになっちゃいます。でも実は、企業が大きくなることは悪いことじゃないんです。問題なのは「どうやって大きくなったか」「大きくなってから何をしているか」という部分なんですよ。
企業を禁止する法律じゃなくて、不公正な行為を禁止する法律だよ
⚠️ よくある勘違い
→ 違います。大きくなること自体は問題じゃないんです。問題は「どうやって大きくなったか」です。ライバルを不正な方法で潰したり、根拠のない値上げをしたりするのが禁止されているんですよ。
→ その通り。いい商品を作って、お客さんに選ばれて大きくなるのはOK。でも、その大きさを使ってズルをするのはダメということなんです。
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独占禁止法ってどうやって生まれたの?
戦前の日本で何が起きていたのか
独占禁止法が生まれたのは、今からさかのぼること約80年、1947年のことです。第二次世界大戦が終わった直後のことなんですよ。その時の日本はどんな状態だったかというと、「財閥(ざいばつ)」という超大手企業グループが、ほぼすべての産業を支配していたんです。つまり、鉄鋼(てっこう)、つまり鉄を作る産業、銀行、どの業界を見ても、1つか2つの財閥が独り占めしていたわけですね。その結果、どうなったかというと…
独占企業がやっていたズルい手口
財閥は独り占めしているから、お客さんは「嫌ならこの会社から買わなきゃいい」という選択肢がなかったんです。だから値段は高くなりっぱなし、サービスは悪いままでした。そしてもっとヤバい話が、小さな企業を潰すためにいろんなズルをしていたんですよ。例えば、「うちから部品を買わない企業には、他の企業との取引を禁止する」みたいな。つまり、小さな企業が独立できないように、財閥が足かせをはめていたわけです。これって、今で言えば、ゲーム機のメーカーが「うちのゲーム機を売らない店には、他の家電を卸さない」と言うようなものです。お客さんからしたら、選択肢がなくなっちゃいますよね。
戦後の改革で独占禁止法が誕生
戦争に負けた日本は、アメリカの指導下で新しい法律を作ることになります。その時にできたのが独占禁止法です。つまり、「市場が自由競争の場になりますように」という願いを込めた法律だったわけですね。当時のアメリカは、自分たちの国でも大企業による独占が問題になっていたので、日本にも同じ法律を導入させたんです。こうして、日本の市場は「ライバルがいない企業は強気になる」という悪い循環から解放されることになったわけですよ。
独占禁止法が禁止している行為って、具体的には何?
その1:私的独占
最初の禁止行為が「私的独占」です。これは何かというと、つまり「1つの企業が市場を支配して、他の企業が入ってこられないようにする行為」のことです。簡単に言うと、ある企業が「市場全体を手中に収める」みたいな状態ですね。例えば、スマートフォン業界を想像してください。もしある企業のスマートフォンが市場の95%を占めていて、その企業が「他の企業のスマートフォンは、うちの通信網では使えません」と宣言したとしたらどうでしょう?お客さんは、その企業のスマートフォンを買わざるを得なくなりますよね。これが「私的独占」です。独占禁止法は、このような行為を禁止しているんですよ。
その2:不公正な取引慣行
2つ目が「不公正な取引慣行」です。つまり、強い立場を使って相手を不当に扱うことですね。例を挙げると、大手スーパーが食品メーカーに対して「うちから出す量は変わらないけど、納める価格を今の半分にしろ」と言うようなことです。食品メーカーは、このスーパーなしには経営ができないから、しぶしぶ受け入れるしかありませんよね。これが「不公正な取引慣行」です。強い企業が弱い企業を不当に扱う行為を禁止しているんですよ。
その3:カルテル
3つ目が「カルテル」です。これは、本来はライバルのはずの企業同士が、こっそり協力して値段を決めたり、市場を分け合ったりすることですね。例えば、スマートフォンメーカーA社とB社が、こっそり「スマートフォンの値段は一緒にしようぜ」と約束したとします。すると、お客さんはどこで買ってもいい値段になって、競争がなくなっちゃいます。これが「カルテル」です。見た目は「1つの企業が独占しているわけじゃない」ですが、実質的には独占と同じ状態になっちゃうんですよ。だから禁止されているわけです。
その4:不当な価格制限
4つ目が「不当な価格制限」です。つまり、企業が「この商品は絶対にこの値段で売らなきゃダメ」と強制することですね。例えば、人気ゲーム機のメーカーが小売店に「このゲーム機は、絶対に5000円以下で売るな」と指示したとしましょう。すると、小売店は値下げしたくても、できなくなっちゃいます。これもお客さんにとって不利だから、禁止されているんですよ。
実際に日本で起きた独占禁止法違反事件
マイクロソフトの事件
2000年代初頭、パソコンのOSの王様だったマイクロソフトが、独占禁止法に引っかかった事件がありました。何をしたかというと、Windows(ウィンドウズ)というOSを販売する時に、「絶対にうちのブラウザ(インターネット・エクスプローラー)を一緒に入れなきゃダメ」と強制していたんです。つまり、ライバルのブラウザメーカーは、Windowsユーザーに自分たちのブラウザを使ってもらう機会を失ってしまったわけですね。これが「不公正な取引慣行」として問題になったんですよ。
大手電力会社の事件
日本でも、大手電力会社が地域を分割して「この地域はうちの管轄」みたいにして、他の企業が参入できないようにしていた時代がありました。これは典型的な「私的独占」です。そこで、電力市場の自由化という改革が起きたんですよ。つまり、「どの電力会社からでも電気が買えるようにしよう」という改革ですね。これも独占禁止法の理念が背景にあるわけです。
独占禁止法は企業の成長を止めるのか?
「大きくなること」と「独占」は別問題
ここで大事な質問ですよ。「独占禁止法があると、企業の成長が止まるんじゃないですか?」って思うかもしれません。でも、そうじゃないんです。Amazonというアメリカの大企業、ご存知ですか?あの企業は、アメリカにもヨーロッパにも独占禁止法があるのに、ものすごく大きくなりました。Googleだって、Apple だって、みんな大きいですよ。つまり、独占禁止法は「大きくなるな」という法律じゃなくて、「ズルをするな」という法律なんですよ。
市場支配力と違法性の関係
実は、企業が市場のほぼすべてを占めていたとしても、それが違法とは限らないんです。大事なのは「その力をどう使っているか」という部分なんですよ。例えば、ある企業のスマートフォンが市場の70%を占めていたとしましょう。でも、その企業が「ライバルの製品も使いやすいように対応する」「値段を無理に上げない」「ライバル企業の部品メーカーからも商品を買う」という行動をしていたら、違法ではないんです。一方、別の企業が市場の30%を占めているけど、その30%を使ってライバルを潰すような行為をしていたら、違法になる可能性があります。つまり、市場のシェアの大きさより、「どんな行為をしているか」が大事なんですよ。
実際の判断基準
日本の独占禁止法を管轄している公正取引委員会(つまり、違反がないかチェックする役所)は、企業の行為が違法かどうかを判断する時に、いくつかのポイントを見ます。その企業の市場での力の大きさ、競争相手はいるのか、その行為によってお客さんが損をしていないか、などですね。例えば、スマートフォンの充電ケーブルの規格を統一する動きがありました。これは一見、大手企業による独占のように見えるかもしませんが、実は「お客さんにとって便利」だから、独占禁止法的には問題がないんですよ。つまり、「どうなっているか」だけじゃなくて、「お客さんにとって良いのか悪いのか」も見てるわけですね。
独占禁止法は今、どんな課題を抱えているのか?
インターネット企業による新しい独占
今、独占禁止法は新しい課題に直面しています。それが、GoogleやAmazonみたいなインターネット企業による独占です。この企業たちの何が問題かというと、「市場を数値化しにくい」ということなんですよ。例えば、Googleの検索エンジンは市場の90%以上を占めています。でも、Googleを使うのはタダなんです。つまり、「お金は払ってない」から、「損をしてない」と考える人もいます。でも実は、Googleは検索データを集めて、広告に使っています。つまり、お客さんの情報が商品になってるわけですね。これって、昔の財閥による独占と違う形の独占じゃないですか。こういう新しい形の独占に、古い法律で対応できるのか、という課題があるんですよ。
プラットフォーム企業の力
もう1つの課題が、プラットフォーム企業の力です。つまり、「市場そのもの」を支配しているような企業のことですね。例えば、App Storeというアップルのアプリケーション販売の仕組みは、iPhoneを使う人にとっては「唯一の選択肢」です。もしアップルが「App Storeから売上の30%を取る」と言ったら、アプリ開発者は払うしかないですよね。ここに見えているのは、「インターネット世界では、昔の市場と違う形の独占が起きてるんじゃないか」という問題なんですよ。
法律の進化
だから、世界中の国々が、今、独占禁止法をアップデートしているんです。日本の公正取引委員会も「デジタルプラットフォーム」に関する新しいルールを作ったり、調査を強化したりしています。つまり、「インターネット時代の独占にも対応できる法律にしよう」という動きが起きてるわけですね。これからの独占禁止法は、1つの企業の売上シェアだけじゃなくて、「その企業がどれだけ市場をコントロールしているか」「お客さんに選択肢があるのか」という部分を見ていくようになっていくと思いますよ。
