子どもがいない家族が子どもを迎え入れたり、親戚の子を自分たちの子にしたり、成人してから親子関係を作ったり。そういう時に使われる「養子縁組」って制度があるんだけど、具体的にどんなものか知ってますか?法律で親子になることって、ふつうの親子とどう違うのか、この記事を読めばクリアになりますよ。
- 養子縁組とは、血のつながりがない人を 法律で親子にすること。家庭裁判所を通じて公式に認めてもらう。
- 子どもがいない夫婦が子どもを育てたい時や、親戚の子を自分の子にしたい時、大人同士でも 親子関係を作るため に使われる。
- 養子縁組した子どもは、普通の子どもと ほぼ同じ権利と義務 を持つようになる(相続や苗字など)。
もうちょっと詳しく
養子縁組は日本の民法で決められた制度で、昔から今まで続いています。昔は跡継ぎ(あとつぎ)を作るためにたくさん使われていました。例えば、長男がいない家では、別の家の男の子を婿として迎え入れて、その人を「養子」にして、苗字を変えさせて、その家の跡取りにするみたいなことをしていたんです。でも今は、そういう跡継ぎ目的というより、子どもが欲しい家族が子どもを迎え入れるとか、一緒に暮らす大切な人との関係をはっきりさせたいとか、そういう理由が増えてきました。養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の二種類があります。普通養子縁組は昔からある形で、元の親との関係が残ったままになります。一方、特別養子縁組は、子どもの福祉を守るためにできた新しいルールで、元の親との関係を完全に切って、養親だけが親になるというものです。子どもがいない家庭が子どもを育てたい場合は、ほとんどこの特別養子縁組を使っています。
昔は家を守るため、今は家族を作るため。養子縁組の目的は時代で変わってるんだ。
⚠️ よくある勘違い
→ 養子縁組すると、法律上はもう他人じゃなく、親の子どもになります。だから相続もちゃんともらえるんです。ただし、普通養子縁組の場合は、元の親の遺産ももらえる可能性があるので、複雑になることもあります。
→ 養子縁組が成立した瞬間から、法律上は親の実の子どもと同じ扱いになります。だから相続権も、苗字も、親を扶養する義務も、全部同じです。
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養子縁組って、そもそもどんな制度?
養子縁組は日本の法律で認められている制度で、血のつながりがない人たちを親子にすることができます。つまり、生まれた時には他人だった人たちが、法律の手続きを通じて「親子です」という関係を作ることができるんです。これは民法という日本の基本的な法律に書かれています。
例えば、あなたのお父さんとお母さんはあなたの実の親ですよね。でも、もし子どもがいない夫婦がいて、その夫婦が子どもを育てたいと思ったら、どうするでしょう?昔は「子どもが欲しくても授からない」というのは、その家族の悩みでした。そこで使われていたのが養子縁組です。子どもを育ててくれる親もいなくて、どこかの施設にいる子どもや、親戚の子どもを「我が家の子どもにしよう」というわけです。
さらに、養子縁組は子どもだけじゃなく、大人同士でもできます。びっくりしますよね。例えば、60歳の人が40歳の人を養子にするみたいなことも、法律上は可能なんです。昔の日本では、この大人同士の養子縁組がすごく一般的でした。特に、家の跡を継ぐ人が必要だった時代は、子どもじゃなくて、大人の男の人を養子にすることがほとんどでした。
養子縁組をするには、家庭裁判所という裁判所で手続きをする必要があります。自分たちの勝手な判断で「親子だ」と決めることはできなくて、国の機関である裁判所が「この人たちを親子にすることは大丈夫」と認める必要があるわけです。特に、子どもが関係する場合は、その子どもが幸せになるかどうか、その環境が良いかどうかを、しっかりと調査して判断されます。子どもの福祉(つまり、子どもの幸せと安全)を守ることが、とても重要だからです。
普通養子縁組と特別養子縁組の違い
養子縁組には二つの種類があります。一つは「普通養子縁組」で、もう一つは「特別養子縁組」です。この二つは全然違う制度なので、しっかり理解することが大事です。
普通養子縁組というのは、昔からある形の養子縁組です。この場合、元の親との親子関係は残ったままになります。つまり、あなたが誰かの養子になっても、あなたの元のお父さんとお母さんとの関係は法律上なくならないんです。だから、相続の時に、養親と実親の両方から遺産をもらう可能性があります。これは複雑になるので、今はあまり子どものためには使われません。
一方、特別養子縁組というのは、1987年に新しく作られた制度です。この場合、元の親との親子関係は完全に切れてしまいます。つまり、養子になると、法律上は元の親との関係がなくなって、養親だけが親になるわけです。だから、相続も養親からだけもらうし、苗字も養親の苗字になります。今、子どもが必要な家庭が子どもを迎え入れる時は、ほぼこの特別養子縁組を使っています。その理由は、子どもの立場から考えたら、元の親との複雑な関係を完全に切って、新しい親だけに信頼を置ける方が、安定して生活できるからです。
養子縁組が使われる場面は?
養子縁組は、現代ではどんな時に使われているのでしょう。いくつかの例を見ていきましょう。
子どもが欲しい家庭のために
最も一般的な使われ方は、子どもがいない夫婦が子どもを育てたいという場合です。自然には子どもが授からなかったけれど、子どもを育てたいという夫婦はたくさんいます。そういう時に、児童養護施設(親がいない子どもや、親に虐待されている子どもが生活する施設)にいる子どもや、病院で遺棄された子どもを迎え入れることができます。こうすることで、子どもは家族を得て、新しい親も自分たちの子どもを得ることができます。win-win(両方得をする)な関係が作られるわけです。
もう一つのケースは、親戚の子どもを自分たちの子にするという場合です。例えば、兄弟姉妹が亡くなって、その子どもが一人取り残されたとします。そこで、叔父さん叔母さんが「この子を育てよう」と決めて、その子を正式に自分たちの子にする。そうすると、その子は親の遺産をもらう権利ができたり、親と一緒の苗字になったり、法律上も心理的にも「この家族の一員」という地位が確定するわけです。
跡継ぎを作るため(昔のやり方)
昔の日本では、養子縁組は主に大人同士で行われていました。特に、家の跡を継ぐ人が必要な時代は、こんな風に使われていました。例えば、醤油屋さんの家に息子がいなかったとします。そうすると、別の家から成人した男の人を養子にして、その人を跡継ぎにするわけです。その人は自分の苗字を「醤油屋さんの苗字」に変えて、その家に入ります。こうして、代々続いてきた家の事業も苗字も守られるという仕組みになっていました。
戦後、家制度が廃止されても、この習慣は完全にはなくなりませんでした。だから、今でも大人同士の養子縁組は行われています。ただし、今は跡継ぎのためというより、相続や家族関係を明確にするためとか、亡くなった親戚の子どもと親子関係を作るためとか、そういう理由が多いです。
相続や家族関係を明確にするため
もう一つの理由として、相続や家族関係を法律上ハッキリさせたいというケースがあります。例えば、叔父さんが独身で子どもがいないけれど、姪っ子をすごく可愛がっていたとします。その姪っ子に相続させたいと思ったら、養子縁組をしておくと、法律上間違いなく相続ができるようになります。また、一緒に長年暮らしてきた人との関係を、法律上「親子です」と認めてもらいたい場合もあります。例えば、ずっと親戚の家で育ってきた人が、その親戚と正式に親子になりたいと思ったら、養子縁組をすることでそれが実現するわけです。
養子になるとどんな権利と義務が生まれるの?
では、養子縁組をするとどんなことが変わるのか、具体的に見ていきましょう。
相続に関すること
最も大きな変化は、相続の権利です。養子縁組をする前は、他人だった人が、養子縁組をした後は「親の子ども」になります。だから、親が死んだ時に親の遺産をもらう権利が生まれます。これは実の子どもと同じです。つまり、兄弟姉妹がいたら、養子も同じように遺産を分け合うということです。
例えば、お父さんが亡くなって、遺産が3000万円あったとします。実の娘さんがいて、養子の息子さんがいるとしたら、その遺産は二人で分け合うわけです。この場合、二人は同じくらいの遺産をもらいます。法律上は、実の子と養子に違いはないからです。
ただし、普通養子縁組の場合は、ちょっと複雑になります。元の親も生きていたら、その親の遺産ももらえる可能性があるからです。だから、養子が亡くなった人の遺産をもらう場合、どのお父さんお母さんから相続するのかをハッキリさせないといけないんです。その点で、特別養子縁組は元の親との関係が完全に切れるから、シンプルなんです。
苗字に関すること
養子縁組をすると、苗字が変わります。特別養子縁組の場合は、必ず養親の苗字になります。例えば、山田さんという家に養子として入ったら、その人の苗字は山田になるわけです。これは実の子どもと同じです。
ただし、普通養子縁組の場合は、苗字を変えるかどうかは、話し合いで決められることもあります。法律上は、普通養子縁組をした場合、養親の苗字になるのが原則ですが、場合によっては元の苗字を保つこともできるんです。これは、その人たちの状況によって違ってきます。
親を扶養する義務
養子になると、親を扶養する義務が生まれます。つまり、親が高齢になって、お金がなくなったり、病気になったりした時に、養子はその親を助ける責任があるわけです。これも実の子どもと同じです。
例えば、60歳のお父さんが、40歳の人を養子にしたとします。その後、お父さんが80歳になって、お金がなくなったとしたら、その養子(今は60歳)が親を扶養する責任があるんです。つまり、介護費用を払ったり、病院代を払ったり、一緒に生活したりする必要が出てくるわけです。
親権や教育に関すること
子どもの養子縁組の場合は、親権も養親に移ります。親権というのは、親が子どもについて決めることができる権利のこと。例えば、子どもをどこの学校に入学させるか、医者にかかる時の判断をするか、そういうことを親が決められるということです。
特別養子縁組の場合は、元の親の親権は完全になくなります。だから、養親だけが子どものことについて決められるんです。これは、子どもの安定した生活のためには、とても大事なルールです。複数の親が同時に親権を持ったら、どの親の判断で進めるのかで、トラブルになる可能性があるからです。
養子縁組の手続きはどうやるの?
では、実際に養子縁組をするには、どんな手続きが必要なのでしょう。
子どもの特別養子縁組の場合
子どもを養子にする場合、ほぼ「特別養子縁組」という手続きを使います。この手続きは、次のようなステップで進みます。
まず、家庭裁判所に「特別養子縁組の申立」をします。つまり、「この子を私たちの子どもにしてください」という願書を、裁判所に提出するわけです。その時に、養子になる子どもの情報、養親(親になる人たち)の情報、なぜ養子縁組をしたいのかという理由を書きます。
次に、家庭裁判所が調査をします。調査官という人が、本当にこの養子縁組が子どもの幸せのためになるのか、養親が本当に子どもを育てられる環境にあるのか、そういうことをしっかり調べるんです。親の仕事や収入、住んでいる環境、子どもへの向き合い方、いろいろなことが調査されます。
その後、家庭裁判所で判断があります。子どもの幸せのためになると判断されたら、特別養子縁組が成立します。その瞬間から、法律上その子どもは養親の「子ども」になります。
全体的には、申立から成立まで、大体1年くらいかかることが多いです。時間がかかる理由は、それだけ子どもの幸せについて、慎重に判断しているからです。
大人同士の普通養子縁組の場合
大人同士の養子縁組は、子どもの場合よりずっと簡単です。やることは、親になる人と子どもになる人(大人)が、市町村の役場で「養子縁組届」という書類を出すだけです。判子を押して、署名をして、役場に提出すれば、その日のうちに成立してしまいます。
ただし、注意点があります。この届を出す前に、養親の親族(兄弟姉妹とか親とか)が「いいですよ」と同意していないといけません。実は、昔からの法律では、家族全体で養子縁組について同意する必要があるんです。だから、一人で勝手に「養子にします」と決めることはできないんです。
また、大人同士の養子縁組でも、実は相手の同意がすごく大事です。相手の人が「嫌だ」と言ったら、強制的に養子にすることはできません。両者の合意があって初めて成立するんです。
養子縁組について知っておきたいこと
最後に、養子縁組についてもっと知っておくといいことを、いくつか紹介しておきます。
養子縁組は取り消すことができるの?
養子縁組をした後で「やっぱりやめたい」と思ったら、どうなるんでしょう。実は、養子縁組は原則として「取り消す」ことはできません。つまり、一度親子になったら、法律上はずっと親子のままなんです。
ただし、例外があります。相手に詐欺や脅迫があった場合、つまり「嘘をついて養子にさせられた」とか「強制的にやらされた」という場合は、家庭裁判所に「養子縁組の無効」を主張することができます。でも、これはすごく難しい手続きですし、簡単には認められません。だから、養子縁組をする時は、本当に真剣に考えて、後悔しないようにしないといけないわけです。
養子はいじめられたり、差別されたりするの?
これはよくある質問ですが、現代の日本では、法律上は養子と実の子に全く違いはありません。だから、学校の手続きでも、戸籍でも、相続でも、全く同じ扱いです。
ただし、心理的には「この人は養子なんだ」という意識を持つ人がいるのも事実です。昔ほどではありませんが、今でも養子について偏見を持つ人もいるかもしれません。でも、それは社会が変わっていくことで、だんだん減っていくはずです。何より大事なのは、親子の間に愛情があるかどうかです。法律がどうなっていようと、親が子を愛し、子が親を信頼できるなら、それが本当の親子なんです。
実の親に会いたいと思ったら
特別養子縁組で、元の親との関係が完全に切れた場合、元の親に会いたいと思っても、その情報は原則として秘密にされます。これは、養子の安定した生活を守るためのルールです。でも、子どもが成人して、自分から情報を知りたいと思った時は、一定の条件下で、親の情報を教えてもらうことができる仕組みになっています。
また、特別養子縁組でない普通養子縁組の場合は、元の親と連絡を取ることもあります。特に、親戚の子どもを養子にした場合は、元の親(例えば、亡くなった親の親)と関係を保つことが、子どもにとって心理的にプラスになることもあるんです。
