「仕事中にケガをしたら、どうなるんだろう?」って考えたことない?アルバイトを始めたり、将来の仕事を考えたりしていると、ふと気になるよね。実は「仕事中のケガや病気」には、ちゃんと守ってくれるルールがあるんだ。この記事を読めば、労働災害のしくみと、もしものときにどうすればいいかがわかるよ。
- 労働災害とは、仕事が原因で起こるケガ・病気・死亡のことで、事故だけでなく職業病や過労も含まれる
- 労働災害が認定されると労災保険が使えて、治療費全額や休業中の賃金補償が受けられる
- パート・アルバイトも含めすべての労働者が対象で、会社の加入義務があるため自己負担は不要
もうちょっと詳しく
労働災害は、大きく分けて「業務災害」と「通勤災害」の2種類があるよ。業務災害は仕事中に起きた事故や病気のこと。通勤災害は、家から職場へ向かう途中や帰り道に起きた事故のことを指すんだ。たとえば、自転車で通勤していて車にひかれてケガをした場合も、条件を満たせば通勤災害として認定される。「仕事中じゃないから関係ない」と思いがちだけど、通勤も仕事の一部として保護されているんだね。ただし、寄り道をした場合など、通勤の「合理的な経路」から外れると認定されないこともあるから注意が必要だよ。労災保険は国が運営していて、保険料は会社が全額払うしくみになっているから、労働者は保険料を払う必要がないんだ。
通勤中の事故も「通勤災害」として補償される!寄り道なしの直帰・直行が条件だよ。
⚠️ よくある勘違い
→ 労災を使うと会社の保険料が上がると思って、遠慮してしまう人が多いけど、これは間違い。
→ 労災保険は仕事上のケガや病気のために存在するしくみだよ。使うことは権利であって、遠慮する必要はまったくない。むしろ健康保険を使う方がルール違反になることもあるんだ。
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労働災害とは何か?基本をおさえよう
「仕事が原因」というのがポイント
労働災害(略して「労災」とも呼ぶよ)とは、仕事をしている最中や、仕事が原因で起きたケガ・病気・障害・死亡のことを言う。ここで大切なのは「仕事が原因」という部分だ。
たとえばこんなケースを考えてみよう。工場で機械を操作していて手を切ってしまった。倉庫で重い荷物を運んでいて腰を痛めた。飲食店でフライヤーの油が飛んでやけどをした。これらはすべて「仕事をしているときに起きた事故」だから、労働災害にあたる。
一方で、休憩中に会社の外をうろうろしていて転んでケガをした場合や、仕事と関係ない個人的な理由で体を壊した場合は、労働災害とは認められない。「業務との関連性がある」ことが認定の基本条件なんだ。
労働災害は3つに分類できる
労働災害には大きく分けて3つのパターンがある。
- 負傷(ケガ):事故や転倒などによる骨折・切り傷・やけどなど
- 疾病(病気):仕事の内容が原因で発症する職業病。アスベスト(石綿)を吸い続けることで発症する「中皮腫」などが有名だよ
- 死亡:ケガや病気の結果として亡くなってしまうケース。過労死もここに含まれる
最近は「精神的な病気」も労働災害として認められるケースが増えている。職場でひどいパワハラを受けてうつ病になった場合や、長時間労働が原因で精神的に追い詰められた場合も、条件を満たせば労働災害と認定されるんだ。これは「精神障害の労災認定」と呼ばれていて、年々申請件数が増えている社会問題にもなっているよ。
労災保険のしくみ―治療費はどうなるの?
会社が保険料を全額払う
労災保険は、正式には「労働者災害補償保険」という名前の、国が運営する保険制度だ。大事なポイントは、保険料は会社が全額負担するということ。健康保険や厚生年金は会社と労働者が半分ずつ払うのと大きく違う。労働者は1円も払わなくていいんだ。
なぜ会社が全額払うかというと、「仕事中のケガは会社の責任でもある」という考え方に基づいているから。会社が労働環境を用意して、その中で働いてもらっている以上、そこで起きたケガは会社が責任を持って補償しなければいけない、というわけだ。
どんな補償が受けられるの?
労災保険で受けられる補償は主に次のとおり。
- 療養補償給付:治療費が全額カバーされる。労災指定病院で受診すれば窓口での支払いがゼロになるよ
- 休業補償給付:ケガや病気で働けない期間、給付基礎日額(つまり1日あたりの平均賃金のこと)の60%が支払われる。さらに特別支給金として20%が上乗せされるから、合計80%が補償される計算になる
- 障害補償給付:ケガや病気が回復しても後遺症が残った場合、その程度(障害等級1〜14級)に応じて年金や一時金が支払われる
- 遺族補償給付:労働災害で亡くなった場合、遺族に年金や一時金が支払われる
- 葬祭料:葬儀の費用が補助される
これだけの補償が、自分の保険料を一切払わずに受けられるんだから、労災認定を申請することはとても大切なことなんだ。
労働災害が起きたら―何をすればいい?
まず最初にやること
もしも仕事中にケガをしたり、体の異変に気づいたりしたら、まず次のことをしよう。
① すぐに上司や会社に報告する
「大したことないから黙っておこう」はNG。後になって「そんなケガは聞いていない」「仕事中のことではない」と言われるリスクがある。ケガや体調不良が起きたら、その場で必ず報告しよう。
② 病院は「労災指定医療機関」に行く
労働災害の治療は、労災指定医療機関(つまり、労災の保険が使える病院のこと)で受けるのが基本だよ。そこに行けば「労災保険の請求書」をもらえて、窓口での治療費支払いが不要になる。もし急いで労災指定病院以外に行った場合も、後から申請してお金を戻してもらう方法がある。
③ 労災保険の申請をする
申請は「所轄の労働基準監督署」に書類を提出して行う。書類は会社が用意して代わりに出してくれることが多いけど、会社が「労災申請しないでほしい」と言ってきても、労働者本人が直接申請することができるよ。これを「労働者の直接申請権」と言う。
会社が申請を嫌がる場合はどうする?
残念ながら「労災を申請すると会社のイメージが悪くなる」「保険料が上がる」などの理由で、会社が申請をしぶるケースもある。でも、それは労働者の権利を侵害することになるから、絶対に従う必要はない。
困ったときは、労働基準監督署(つまり、労働に関するトラブルを相談できる国の機関のこと)に相談しよう。全国各地にあって、無料で相談できる。「会社が労災申請をさせてくれない」「労働災害かどうかわからない」という相談も受け付けているよ。
どんなケースが労働災害として認められるの?
認定の2つの基準
労働災害として認定されるには、次の2つの条件を満たしている必要があるよ。
- 業務遂行性:労働者が会社の指示・管理のもとで仕事をしている状態であること。つまり「勤務時間中に、会社のために働いていた」という状況であること
- 業務起因性:仕事の内容や環境が原因でケガや病気が起きたという因果関係があること
この2つの条件が揃って初めて「労働災害」として認定されるんだ。
最近増えている「メンタルヘルス」の労災
2010年代以降、心理的な病気(うつ病や適応障害など)が労働災害として認定されるケースが増えている。たとえばこんなケースが認定された例として挙げられるよ。
- 上司から継続的に暴言や暴力を受けた(パワーハラスメント)
- 月100時間を超えるような極端な残業が続いた
- 職場で性的な嫌がらせを受けた(セクシャルハラスメント)
- 仕事で重大なミスやトラブルが起き、強いプレッシャーにさらされた
ただし、精神的な病気の場合は「仕事が原因か、それとも私生活の問題か」の判断が難しいため、認定には詳しい調査が必要になる。「もしかして自分もそうかも」と思ったら、一人で抱え込まずに相談窓口を頼ってほしい。
労働災害を防ぐために―職場の安全ルールって何?
会社には安全を守る義務がある
会社は法律によって、労働者が安全に働けるよう環境を整える義務(これを「安全配慮義務」と言う)を負っている。これは「従業員の安全に気を配りなさい」という意味だよ。具体的には次のようなことが求められている。
- 危険な機械には安全カバーをつける
- 危険な作業にはヘルメットや手袋などの保護具を支給する
- 作業前に安全確認の手順(KY活動:危険予知活動)を実施する
- 過重労働にならないよう労働時間を管理する
- 定期的な健康診断を実施する
労働者も安全のために行動しよう
もちろん、労働者側も安全に対して責任を持つ必要がある。会社から「ヘルメットをかぶれ」と言われているのに「面倒だから」とかぶらないのは、自分の身を危険にさらすことになる。
また、「危ないな」と感じたことや、ヒヤリとした体験(事故には至らなかったが「危なかった」という体験、これを「ヒヤリハット」と言う)は、積極的に上司や会社に報告することが大切だ。1件の重大事故の背後には、29件の軽い事故と300件のヒヤリハットが隠れているという「ハインリッヒの法則」という考え方があるくらい、小さな気づきの積み重ねが大きな事故を防ぐことにつながるんだ。
もしアルバイトで労災にあったら
アルバイトをしている中学生・高校生・大学生も、労働災害の対象になることをもう一度確認しておこう。特に飲食店や小売店でのアルバイトでは、油でのやけど、包丁での切り傷、重い荷物による腰痛など、意外と身近なリスクがある。
ケガをしたら、まず店長やバイトリーダーに報告すること。「バイトだから自分でなんとかしないと」と思わないこと。正規の手順を踏んで労災申請をすることは、正社員と同じ権利として認められているから、遠慮せずに活用してほしいよ。
