いきなり心臓がバクバクして、息ができなくなった感じがして、本当に死ぬんじゃないかって思ったことありませんか?その症状がくり返し起きたら、もしかしてパニック障害かもしれません。でも安心してください。実はこれ、あなたの心や体が悪いわけじゃなくて、脳の誤作動なんです。この記事を読めば、パニック障害がどういう状態で、どうやって対策するのかがわかりますよ。
- パニック障害は、突然に 心臓がドキドキして呼吸が苦しくなる発作 が何度もくり返す状態です
- 原因は脳の 誤作動 で、実は危険じゃないのに体が危険モードになってしまいます
- 医者の診察や 治療で大きく改善 できるので、症状があれば早めに病院に行きましょう
もうちょっと詳しく
パニック障害は「心の病気」だと思う人も多いですが、実は脳の神経伝達物質のバランスが崩れることが原因だと考えられています。つまり、気の持ちよう的な問題ではなく、医学的な治療が必要な状態なんです。また、パニック障害は若い世代や大人まで幅広い年齢で起きる可能性があります。まじめで完璧主義な人、ストレスを感じやすい人がなりやすいという特徴もあります。
パニック障害=心が弱いわけではなく、脳の誤作動。医学的な治療で治ります。
⚠️ よくある勘違い
→ 実は脳の神経伝達物質のバランスの問題です。メンタルトレーニングだけでは治りません。
→ 薬物療法やカウンセリングを組み合わせることで、多くの人が完治しています。
→ 実際には、発作自体が命に危険を及ぼすことはありません。
→ 深呼吸や、自分に「これは発作だから大丈夫」と言い聞かせることで、症状を軽くできます。
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パニック障害ってそもそも何?
パニック発作とはどんな状態か
パニック障害の中心的な症状は「パニック発作」です。これは突然に、何の前触れもなく、激しい不安や恐怖が襲ってくる状態のこと。その時、体には以下のような変化が起きます:心臓がすごくドキドキして、まるで心臓が止まってしまうんじゃないかと感じたり、呼吸が浅くなって息ができなくなった感じがしたり、手足がしびれたり、めまいがしたり、汗が出たり、吐き気がしたりします。
発作の間、あなたの体は「戦闘モード」に入っています。これは、本来なら恐ろしい敵が近づいてきた時に、体が準備する状態です。逃げるための体の力を集中させるために、心臓をドキドキさせて、血を全身に送る。呼吸を早くして、酸素をたくさん取り込む。こういったことが一気に起きるんです。でも、実際には危険な敵なんていないのに、脳がそう「勘違い」してしまっているわけです。
発作は通常、数分から30分程度で自然に収まります。つまり、この不快な状態は永遠に続くわけではないんです。でも、その時は本当に怖いから、「このまま死んでしまうんじゃないか」とか「気が狂ってしまうんじゃないか」と感じる人も多いです。実際には、発作自体が命に危険をもたらすことはありません。でも、その怖い経験をしたから、今度は「また発作が起きたらどうしよう」という不安が生まれます。この不安を「予期不安」と言うんです。
パニック障害の発作の流れ
パニック発作は、突然に起きるので、その流れを説明します。まず、何かのきっかけで不安を感じます。例えば、学校に遅刻しそうになったり、テストの前だったり、人前で話さないといけなくなったり、というような日常的なストレスです。すると、体が少し緊張します。心臓がちょっとドキドキしたり、呼吸が少し早くなったり。
ところが、その時に、「あ、心臓がドキドキしている。何か悪いことが起きるんじゃないか」と、その小さな変化を大きく解釈してしまいます。すると、脳が「危険だ!」と思い込んで、さらに体を戦闘モードに入れちゃいます。その結果、さらに心臓がドキドキしたり、息が苦しくなったりします。すると、その症状をまた不安に感じて…というように、悪循環に入ってしまうんです。これが「パニック発作のスパイラル」と呼ばれる現象です。
パニック障害の原因は何?
脳のセロトニン不足が関係している
パニック障害の原因は、まだ完全には解明されていません。でも、研究によって、脳の神経伝達物質という、脳の神経同士が情報をやり取りするために使う物質のバランスが崩れていることが分かっています。特に「セロトニン」という物質が足りなくなっていることが多いです。
セロトニンというのは、気分を落ち着かせたり、不安を減らしたりするための物質です。これが足りなくなると、つまり脳が落ち着きを保つ機能が弱まるので、些細なことで不安を感じやすくなったり、その不安が大きく広がったりしやすくなります。だから、パニック発作が起きやすくなっちゃうわけです。
このセロトニンの不足は、どうして起きるのか。遺伝的な要因もあると考えられています。つまり、親がパニック障害だと、子どももなりやすい可能性があるということです。でも、遺伝的素質があるからといって、必ずパニック障害になるわけではありません。ストレスや生活習慣など、環境の要因も大きく関わっています。
ストレスや生活習慣も大きな要因
パニック障害が起きる背景には、心理的なストレスや、生活習慣の乱れも関わっています。例えば、学校での人間関係がうまくいっていない、親からのプレッシャーが強い、テストや試験が続く、というようなストレスが続くと、脳が疲れてしまいます。すると、セロトニンの働きが弱まったり、脳が不安に対して敏感になったりして、パニック発作が起きやすくなるんです。
また、夜更かしをしたり、朝寝坊したり、食事の時間が不規則だったり、というような生活習慣の乱れも、脳の働きに悪い影響を与えます。脳は、一定のリズムで動いているので、その リズムが崩れると、セロトニンのような神経伝達物質の分泌のタイミングも崩れてしまいます。だから、パニック障害を予防したり、症状を軽くしたりするには、生活習慣を整えることも大事なんです。
さらに、大きな出来事の後に、パニック障害が起きることもあります。例えば、交通事故に遭った、急な別れ、重い病気の診断、というようなトラウマになるような経験の後に、パニック障害が始まることがあります。この場合、その出来事が脳に大きなストレスを与えたことが原因だと考えられます。
パニック障害の症状と特徴
パニック発作の具体的な症状
パニック発作の症状は、人によって少し違いますが、典型的には以下のようなものが挙げられます:
心臓の症状としては、心臓がドキドキするのが一番多いです。脈が異常に早くなったり、不規則になったり、つまりドキドキしたり、バタバタしたり、という感じです。時には、胸が痛くなることもあります。だから「心臓が止まるんじゃないか」とか「心臓病になったんじゃないか」と思う人も多いです。でも、検査をしても心臓は何ともないことがほとんどです。
呼吸の症状としては、息が苦しくなったり、呼吸ができなくなった感じがしたりします。これは、発作の時に呼吸が早くなるから(つまり過呼吸になる)です。早く呼吸しすぎると、血液の二酸化炭素が減りすぎて、体の化学バランスが崩れます。その結果、脳が「酸素が足りないんじゃないか」と誤解して、さらに焦って呼吸を早くしてしまいます。
体全体の症状としては、手足のしびれ、めまい、ふらつき、汗が止まらない、吐き気、かゆみなどが起きます。また、デパーソナライゼーション(つまり、自分の体が自分のものじゃないような感覚)とか、デリアライゼーション(つまり、周りの世界が現実じゃないような感覚)という不思議な感覚が起きることもあります。これらは、脳が過度にストレス状態にあるから起きる症状です。
予期不安と回避行動
パニック発作を何度も経験すると、「また発作が起きたらどうしよう」という不安が生まれます。これが「予期不安」です。この不安が強くなると、発作が起きそうな場所や、逃げられないような状況を避けるようになります。これを「回避行動」と言います。
例えば、電車の中で発作が起きた経験があると、次からは電車に乗るのが怖くなって、電車を避けるようになります。或いは、人前で発作が起きたら恥ずかしいと思って、人が多い場所を避けるようになります。映画館やコンサート、デパートというような、逃げにくい場所を避けるようになることもあります。
ここが大事なポイントなんですが、一度回避行動をしてしまうと、その回避行動が強化されちゃいます。例えば、「電車に乗ったら発作が起きる」と思い込んでいるから、電車を避けます。すると、実際に電車の中での発作は起きません。だから、脳は「電車を避けたから、発作が起きなかった。電車は危険だ」と学習してしまい、ますます電車を避けるようになります。このように、回避行動が増えていくと、生活の幅がどんどん狭くなってしまうんです。だから、治療では、この回避行動を減らしていくことが重要なんです。
パニック障害の治療法
医学的な治療:薬物療法
パニック障害の治療の第一選択肢は、薬物療法です。主に使われるのは、SSRIという種類の抗うつ薬です。SSRIというのは、セロトニンの再吸収を選択的に阻害する薬という意味(つまり、セロトニンが脳から消えるのを防ぐ薬)。セロトニンが脳にとどまっている時間を長くすることで、脳の落ち着きを保つ機能を高めるんです。
SSRIは、抗うつ薬ですが、パニック障害の治療にも効果的です。飲み始めてから効果が出るまでに、数週間から数ヶ月かかることもありますが、多くの人が症状の改善を感じます。また、発作が起きた時の緊急用として、ベンゾジアゼピンという、すぐに効く薬も使われることがあります。ただし、この薬は依存性があるので、長期的には使いません。
薬を飲むことに対して、「薬に頼るのは良くない」と思う人もいるかもしれません。でも、パニック障害は脳の神経伝達物質のバランスが崩れた状態です。つまり、医学的な問題だから、医学的な治療(つまり、薬)が必要なんです。眼鏡をかけずに、目を細めようとするのは大変ですが、眼鏡をかけると楽に見えるのと同じで、薬を使うことで、脳の働きが正常に戻るんです。
心理療法:認知行動療法
薬物療法と同じくらい重要なのが、心理療法、特に「認知行動療法」という治療法です。これは、パニック障害の人の「考え方」と「行動」を変えていく治療法です。
認知行動療法の中心的な考え方は、「パニック発作は、実は命に危険をもたらさない」ということを学ぶこと。発作の症状(心臓のドキドキ、息苦しさなど)は、確かに不快です。でも、その症状自体が体に害をもたらすわけではないんです。だから、「この症状は不快だけど、大丈夫。この発作は必ず終わる」という風に、考え方を変えていくんです。
また、回避行動を減らすことも、認知行動療法の重要な部分です。例えば、「電車が怖い」と言う人に対して、段階的に電車に乗る練習をします。最初は、駅の前に立つだけ。次は、プラットフォームに行く。次は、電車に乗って、駅一つ分だけ乗る。というように、少しずつ、怖い状況に慣れていきます。これを「暴露療法」と言うんです。暴露療法を続けることで、「実は、電車に乗っても発作は起きないんだ」とか「起きても、大丈夫」ということを、体験を通じて学ぶことができるんです。
生活習慣の改善
薬と心理療法と同じくらい大切なのが、生活習慣の改善です。特に、睡眠、運動、食事、これら三つが重要です。
睡眠は、脳の神経伝達物質の分泌を調整するために、すごく大事です。毎日、同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで、脳のリズムが整います。リズムが整うと、セロトニンの分泌もスムーズになり、パニック発作が起きにくくなります。逆に、夜更かしをしたり、寝坊したり、睡眠不足だったりすると、脳が疲れて、セロトニンの働きが悪くなります。だから、毎日7~8時間の睡眠を心がけることが大切です。
運動も、セロトニンの分泌を増やすために、すごく効果的です。特に、ウォーキングというような、軽い有酸素運動が良いと言われています。1週間に3日以上、30分程度の運動をするだけで、脳の気分が改善されます。運動の時間がない人も、毎日、少し歩く距離を増やすとか、階段を使うとか、そういった工夫をするだけでも効果があります。
食事も、脳の働きに大きな影響を与えます。セロトニンを作るためには、アミノ酸やビタミンが必要です。タンパク質(肉、魚、卵、豆など)、ビタミンB(穀物、豆など)、ビタミンD(魚、卵など)を意識的に取ることで、脳の神経伝達物質の製造がスムーズになります。逆に、カフェインを取りすぎると、脳が過剰に興奮して、パニック発作が起きやすくなるので、注意が必要です。
パニック障害との付き合い方
発作が起きた時の対処法
もしも、突然パニック発作が起きてしまったら、どうすればいいのか。まず大事なのは、「これは発作だ。やがて必ず終わる。自分は大丈夫」と自分に言い聞かせることです。発作の時は、本当に怖いから、そう思うのは難しいかもしれません。でも、発作は通常、数分から30分で自然に収まります。だから、「この不快さは永遠に続かない」ということを思い出すことが大事です。
次に、呼吸をコントロールすることが重要です。発作の時は、呼吸が早くなって、過呼吸になりやすいです。だから、意識的に、ゆっくり深く呼吸するようにしてみてください。例えば、4秒かけて鼻からゆっくり息を吸って、6秒かけて口からゆっくり息を吐く、というようなペースです。深呼吸をすることで、血液の化学バランスが正常に戻り、症状が軽くなります。
また、体を動かすことも効果的です。例えば、その場で軽く動いたり、冷たい水で顔を洗ったり、または好きな音楽を聴いたり、といった、注意を別なことに向ける工夫も効果があります。重要なのは、「この症状に注目し続けない」ことです。症状に注目すればするほど、脳がそれを大事だと判断して、ますます症状を強くしちゃうんです。
周りの人への説明と理解
パニック障害を持っている人にとって、周りの人の理解は、すごく大切です。親友や家族に、「実は、パニック障害を持っている。発作が起きる時がある」と説明することで、予期不安が減ったり、発作が起きた時に適切な対応をしてもらえたりします。
周りの人に説明する時は、「これは心の弱さじゃなくて、脳の誤作動。医学的な治療を受けている。だから、心配しないで」というように説明するといいでしょう。パニック障害を持っている人自身も、周りの人も、「これは治る病気だ」という認識を持つことで、前向きに対応できるようになります。
長期的な回復の見通し
パニック障害は、適切な治療を受けることで、多くの人が完治します。薬と心理療法を組み合わせて、1年~2年継続することで、発作が起きなくなったり、症状が大きく改善したりする人が多いです。中には、2~3年で完治する人もいます。
回復の過程では、「今日は症状が出ていない」「今日は電車に乗れた」というような、小さな成功を積み重ねることが大切です。1日1日の小さな成功が、脳に「大丈夫だ」というメッセージを送ります。その結果、脳の不安反応が少しずつ薄れていき、やがてパニック障害は起きなくなるんです。
