料理をするときのガスコンロ、冬の暖房、キャンプでのバーベキュー…こんなところでよく見かける「ガス」って、実は何か知ってますか?「都市ガスでいいのでは?」「ガスボンベに入ってるやつ」という感じで、なんとなく使ってるけど、詳しくはよくわからないよね。この記事では、日本の家庭や建設現場で大活躍している「LPガス」について、わかりやすく説明していきます。読み終わったころには、毎日使ってるそのガスが、どこから来てどう動いているのかがぜんぶ見えるようになってますよ。
- LPガスは液化石油ガスで、石油から作られたガスを圧力で液体に圧縮したもの
- ボンベに詰めて運べるので、配管がない地域でも家庭や事業所で使える
- 家庭の調理・暖房から飲食店・農業まで、様々な場面で活躍している重要なエネルギー
もうちょっと詳しく
LPガスの「LP」は英語の「Liquefied Petroleum」の略。プロパンという物質が主成分で、ブタンが混ざることもあります。液化とは、つまり「液体の状態にする」ということですね。常温では気体ですが、約20気圧(大気圧の20倍)の圧力をかけると液体になるんです。この液体を鋼製のボンベに詰めることで、運びやすく、保管しやすくなるわけです。日本では、LPガスを供給する会社が、ガスの品質管理、安全性の確保、緊急時の対応をすべて引き受けています。
LPガスは「エネルギーの柔軟性」がすごい。どこへでも運べるから、日本の山奥の村から商業施設まで、あらゆる場所に供給できるんです。
⚠️ よくある勘違い
→ ちょっと違います。都市ガスは地下のパイプを通じて供給され、化学成分も異なります。都市ガスはメタンが主ですが、LPガスはプロパンやブタンが主なんです。また、都市ガスは低圧供給ですが、LPガスは高圧を使うので、安全装置も異なります。
→ その通り。LPガスはボンベで運ぶ「個別供給」、都市ガスはパイプで供給する「集中供給」です。この違いによって、使える地域、価格、保管方法も全く変わってきます。どちらが優れているかではなく、地域や用途に応じて適切な方を選んでるんですよ。
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LPガスって何?こんな身近なエネルギー
みんなのおうちで毎日活躍しているLPガス。実はこれ、石油の精製過程で自然に出てくるガスなんですよ。石油を加熱すると、いろいろな物質に分かれるんだけど(これを分留と言います。つまり、混ざったものを加熱して違う成分に分ける作業のこと)、その中からプロパンというガスが出てくるわけです。
LPガスの本名は「液化石油ガス」。「液化」という難しい言葉が出てきましたね。これは「ガスを液体にする」という意味です。普通、ガスは目に見えない空気のようなものですよね。でも、すごく強い圧力をかけると、ガスが液体に変わってしまうんです。たとえば、ペットボトルに空気を詰めて、物すごく踏みつけたら…ボトルが潰れて、空気が液体みたいに固い状態になる、という感じに近いですね。実際にはそこまで単純じゃないですが、イメージとしてはそんな感じです。
この液化という技術のおかげで、LPガスは小さなボンベに大量に詰められるようになったんです。同じ重さのガスでも、液体にすると体積が約250分の1になっちゃうんですよ。これってすごくないですか?250倍コンパクトになるってことです。だから、あの手のひらサイズのカセットコンロとか、キャンプの時に持ち運ぶボンベとか、あんなに小さいのに長時間使える。その秘密がこの液化技術なわけです。
日本でLPガスが普及し始めたのは、昭和30年代(1950年代後半)のこと。当時は、電気やガスのインフラが都市には整ってたけど、地方はまだまだ。そこで「ボンベで運べば、どこにでも供給できるじゃん」という発想から始まりました。それ以来、日本全国で使われ続けてるんです。今でも、新興住宅地のほぼ100%、農山漁村のほぼ100%がLPガスを使ってます。つまり、都市部の団地さえ除けば、日本ほぼ全域で活躍してるエネルギーだということです。
ちなみに、世界的に見ても、LPガスは非常に重要なエネルギー源です。アメリカ、オーストラリア、中東の産油国など、多くの国でLPガスは家庭や産業で使われてます。特に発展途上国では、電気のインフラが整う前にLPガスが普及することもあります。つまり、世界共通で「柔軟に運べるエネルギー」として重宝されてるわけなんです。
LPガスはどこから来るのか?作られ方を知ろう
さて、LPガスがどうやって作られるのか、という話ですね。先ほど、「石油の精製過程で出てくる」と言いましたが、もうちょっと詳しく説明しましょう。
石油採掘所から採れた原油は、そのままでは使えません。ガソリン、灯油、軽油、重油…いろいろな燃料が混ざった状態だからです。これを分ける作業が「石油精製」。具体的には、原油を約350℃に加熱して、分留塔という背の高い塔に通すんです。温度が高いところと低いところで、物質の沸点(液体が気体に変わる温度)が違うことを利用して、成分ごとに分離するんですね。
この過程で、プロパンやブタンといった軽いガス成分が出てきます。これらが「石油ガス」です。そしてこれを圧縮・冷却して液化させたのが、LPガスというわけ。つまり、LPガスは「石油の副産物」というわけではなく、「石油精製の必然的な産物」なんです。石油を燃料に使う限り、必ずLPガスは出てくるんですよ。
もう一つ、LPガスの大事な供給源があります。それが「天然ガス精製」です。天然ガスというのは、地下に埋まっている化石燃料で、これをそのまま燃料として使うことができます。でも、このガスを処理する過程でも、プロパンやブタンが副産物として出てくるんです。だから、石油からも、天然ガスからも、両方からLPガスが作られるんですね。
日本の場合、国内でLPガスを大量生産することはできません。なぜなら、日本は石油や天然ガスの産地ではないからです。だから、オーストラリア、アメリカ、中東といった地域からLPガスを輸入しています。タンカー船で液化されたLPガスを運んできて、日本の港で受け入れて、そこから全国に配送するわけです。この流れをイメージするだけで、LPガスが「世界規模で流通するエネルギー」だということがわかりますね。
ちなみに、LPガスは液化して運ぶときの温度が約マイナス40℃。すごく冷たいです。そのため、運搬用のタンカーやボンベは、特殊な素材で作られ、厳格な安全基準をクリアしているんです。「爆発しないの?」と心配になるかもしれませんが、実は高圧容器技術が発達してるので、安全に運べるんですよ。
あなたの家庭ではどう使われてる?日常の活躍シーン
では、LPガスが私たちの日常生活でどのように活躍してるのか、見ていきましょう。
まず、最も身近な使い方が「調理」です。ガスコンロで料理をするときのガス、あれがLPガスですね。マッチで火をつけて、つまみをひねると炎が出る。あの炎の源がLPガスというわけです。電気コンロと違って、火力が強いので、中華料理のようにいきなり強い火力が必要な調理に向いてます。
次が「給湯」。シャワーやお風呂のお湯を沸かすのに、LPガスが使われます。冬に冷たい水が出てきて、ガス給湯器がそれを温める、あの仕組みですね。電気ヒーターでお湯を沸かすこともできますが、LPガスの方が素早くお湯になるので、「すぐに温かいお湯が出てくる」という使いやすさがあります。
そして「暖房」。ガスストーブで部屋を温めたり、温風ヒーターでリビングを暖めたり。特に冬の寒い地域では、LPガスの暖房器具が活躍します。電気ヒーターより素早く部屋が温まるし、電力消費が少なくて済むから、電気代も抑えられるわけです。
これら三つ(調理、給湯、暖房)が、一般家庭におけるLPガスの「三大用途」と言ってもいいでしょう。つまり、毎日の食事と、毎日のお風呂と、冬の暖かさ。生活に欠かせないものばかりですね。
次に、家庭以外の場所での使用例を見ていきましょう。飲食店では、ガスコンロの他に、コンビニエンスストアの揚げ物コーナーの加熱、寿司屋の炙りなど、いろいろな調理に使われます。事務所や商業施設では給湯や暖房に。農業の現場では、ハウスの加熱や農産物の乾燥に。建設現場では、溶接機やバーナーに。工場では、ボイラーや加熱装置に。アウトドアでは、キャンプのカセットコンロや懐中電灯に。え、懐中電灯?と驚くかもしれませんが、ガス式ランタンというのがあって、LPガスを燃焼させて光を出すんです。
こう見ると、LPガスって本当に色々なところで使われてるんですね。日本の社会が成り立つために、絶対に必要なエネルギーだということが実感できます。
安全に使うために知っておくべきこと
LPガスはとても便利なエネルギーですが、「ガス」という目に見えないものを使ってるので、安全性については細心の注意が必要です。ここでは、LPガスを安全に使うために大事なことを説明します。
まず、LPガスには「においがついてる」ということを知ってますか?実は、採掘されたばかりのLPガスには、ほぼ無臭です。でも、そのままだと、もしガス漏れが起きても、誰も気づかないですよね。危ないです。そこで、日本では、法律で「LPガスに、わざと嫌な臭いを付ける」ことが決まってるんです。タマネギが腐ったような、または、キャベツが腐ったような臭い。あの臭いがLPガスに付けられた「警告の合図」というわけです。だから、もしうっかりガス漏れが起きても、すぐに「あ、ガスが漏れてる!」と気づけるようになってるんですよ。
次に「爆発のリスク」です。LPガスは、空気と混ざってある濃度になると、火がつくと爆発します。濃度が薄すぎても、濃すぎても爆発しません。爆発するには「ちょうどいい濃度」が必要なんです。これを「爆発限界」と言います。つまり「爆発する危険な濃度の範囲」のこと。だから、ガス漏れが起きて「爆発限界」に達する前に、人間が気づいて、対応する必要があるんですね。その時に役に立つのが、先ほどの「嫌な臭い」というわけです。
安全装置も大事です。ガスコンロには「消し忘れ防止装置」がついています。つまり、火が消えたらガスの供給も止まる、という装置です。また、給湯器には「不完全燃焼防止装置」があります。つまり、酸素が不足してガスが完全に燃えない(不完全燃焼)と、一酸化炭素という危ない物質が出てくるんですが、その状態を感知したら、自動で火を消すという装置ですね。
さらに、ボンベの管理も重要です。LPガスのボンベは、定期的に検査されます。つまり、容器が壊れてないか、サビが出てないか、きちんと機能するか、定期的にチェックされるんですよ。日本では、ボンベは「10年ごとに全数検査」という厳しい基準があります。10年経ったボンベは、一度すべて検査対象になるわけです。これは、世界的に見ても、かなり厳しい基準だと言われてます。
あとは、使用者側の心がけも大事ですね。ガス器具の周辺に、可燃物(燃えやすいもの)を置かない。定期的に器具の点検をする。換気をこまめにする。などなど。LPガスは安全なエネルギーですが、「安全と安心は別」という言葉もあります。つまり、どんなに安全な設計になってても、使う人が気をつけなければ、事故は起きます。だから、安全性に対する「意識」が、最も大事なんですよ。
環境との関係:エネルギーの未来を考える
最後に、LPガスと環境の関係についても考えてみましょう。これは、「LPガスって本当にいいエネルギーなのか」という、ちょっと深い問い掛けですね。
まず、LPガスは、石油から作られています。石油は「化石燃料」、つまり、昔の生き物や植物が地中で化石化したもの。これを燃やすと、二酸化炭素(CO2)が出ます。二酸化炭素は「温室効果ガス」で、地球温暖化の原因の一つだと言われてます。だから、「LPガスを使うことは、地球温暖化を進めてるのでは?」という懸念も、確かに存在するんです。
でも、同時に、LPガスには「クリーンさ」というメリットもあります。たとえば、石炭と比べると、LPガスは燃やしたときにCO2の排出量が少なめです。また、硫黄酸化物や窒素酸化物という、空気汚染の原因になる物質も、ほぼ出しません。だから、「石炭より悪い」ことはないんですね。むしろ、「他の化石燃料より、環境負荷が小さい」というのが、LPガスの評価です。
さらに、LPガスは「バイオガス」という代替燃料への転換も進んでいます。バイオガスとは、生ゴミや動物の糞など、生物由来の物質を分解して作られるガス。これは、石油のような「限られた資源」ではなく、「毎年再生される資源」だから、持続可能だということになります。日本でも、このバイオガスへの転換を進める動きが広がってます。
つまり、LPガスの未来というのは、「すぐに消えるわけではないけど、少しずつ環境にやさしい代替品に置き換わっていく」という流れになるんでしょう。太陽光発電、風力発電、水力発電といった「再生可能エネルギー」と、LPガスのような「化石燃料」が、これからの時代、共存していく。その中で、いかに環境負荷を減らしながら生活を送るか、というのが、みんなで考えるべき課題なわけです。
ちなみに、日本は「2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出をゼロにする)」という目標を掲げています。つまり、50年後には、LPガスのようなガス燃料ではなく、電気やバイオガスといった、環境にやさしいエネルギーに完全に切り替わってる、という想定なんですね。それでも、あと50年は、LPガスは日本の重要なエネルギーとして機能し続けるでしょう。
