あなたが何か大事な判断をする時、親や学校の先生が「本当にそのことを理解して判断できてるの?」と聞いてくることってありませんか?じつはこれ、法律の世界でもすごく大事な考え方で、「意思能力」というルールが関係しているんです。契約したり、遺言を書いたり、結婚したり…人生の大事な決断をする時、「ちゃんとその内容を理解して、自分の意志で決めてるのか」を確認する法律の仕組みなんですよ。この記事を読めば、何か重要なことを決める時に「これって有効なのかな?」って判断できるようになります。
- 意思能力とは、何かを決める時に「それが何なのか」「どういう結果になるのか」を理解できる力のこと
- 契約・結婚・遺言など、人生の大事な決断をする時に、意思能力があるかどうかをチェックされる
- 意思能力がないと判断されたら、その契約や決断は無効(なかったこと)にできる
もうちょっと詳しく
「意思能力」を持つということは、単に「意識がある」ということじゃないんですよ。たとえば、すごく眠い時でも「寝ているわけじゃない」から意識はあるけれど、内容をちゃんと理解してるかは別問題。法律では「契約の内容を理解している」「その契約がどんな法的効果(結果)を生むのかを理解している」「その上で自分の意志で判断している」という3つの条件をすべて満たす必要があるんです。つまり、外見上は元気そうでも、実際には内容を理解できていない状態だったら、意思能力がないと判断される場合もあるんですよ。
意思能力があるかどうかは、その時点での本人の「理解できる力」が基準。いつも理解できない人もいれば、時々わかる時がある人もいます
⚠️ よくある勘違い
→ サインがあっても、その時点で意思能力がなかったら、後から契約を取り消せます。サインは「判断した証拠」ではなく、「判断したはずの表現」に過ぎないんです。
→ サイン、年齢、本人の言い分など、いろいろなことを見て、総合的に判断するんです。だからサインがあっても、実は理解してなかったら、取り消しできることもあります。
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「意思能力」ってそもそも何?
理解する力があるかどうかが大事
「意思能力」って、すごく難しい言葉に聞こえるけど、実はシンプルなんです。何か重要なことをする時に「それが何なのか」「どんな結果になるのか」をちゃんと理解できている状態のこと。つまり、ただ「いいですよ」と返事してるだけじゃなくて、その言葉の意味をちゃんと頭で理解できているかどうかなんですよ。
たとえば、あなたが友達とお金の貸し借りをするとしましょう。友達が「1000円貸してくれない?1ヶ月後に2倍にして返すから」って言ったとします。この時、あなたは「あ、友達が1000円借りようとしてるんだな」「1ヶ月後に2000円返すんだな」ということをちゃんと理解できてますよね。これが意思能力がある状態。でも、もしあなたがすごく高い熱が出ていて、頭がボーッとしていて「何言ってるんだろう…」と理解できないまま「いいですよ」と言ったとしたら?その時は意思能力がないかもしれない、ということになるんです。
法律の世界では、人間関係の中で大事なルールがあります。それは「大事な決断をする時は、ちゃんと理解した上でやってね」という約束なんですよ。だから、もし誰かが「この人、実は内容を理解してなかったんじゃないか」と思ったら、その決断を取り消すことができるようになってるんです。これは本人を守るためのルール。詐欺とか、だまされたりしないようにするためのものなんですよ。
3つの条件をすべて満たすことが大事
意思能力があるかどうかを判断する時は、3つのことをチェックするんです。
1つ目は「その行為の意味を理解しているか」。たとえば「あなた、結婚しますか?」と聞かれた時に「結婚って何?」という状態だったら、そこで意思能力がないと判断される可能性があります。
2つ目は「その行為がもたらす法的な結果を理解しているか」。「結婚する」って言葉の意味は知ってるけど「結婚したら、法律上はこの人とずっと一緒で、子どもが生まれたらその人が親になって…」みたいな結果を理解できてなかったら、意思能力がないんです。
3つ目は「自分の意志で判断しているか」。つまり、誰かに強制されたり、だまされたりしてるんじゃなくて、自分で考えて決めてるかどうか。親に「絶対にこれをしなさい!」と命令されて、逆らえなくて判を押したとしたら、それは自分の意志で判断してないってことになるんです。
この3つすべてが満たされてないと「意思能力がある」とは言えないんですよ。だから「意思能力があります」って判断されるのは、意外とハードルが高いんです。法律が本人をちゃんと守るためには、この くらい厳しくチェックしないといけないんですね。
どんな時に「意思能力」が問われるの?
日常的な契約から人生の大事なことまで
「意思能力」が問われるのは、いろんな場面なんですよ。一番多いのは契約です。実はね、あなたが毎日やってることの中にも契約がいっぱいあるんです。
たとえば、学校帰りにコンビニでジュースを買うでしょ。その時、あなたが「このジュース、100円ですか?」と店員さんに言って、お金を払って、ジュースを受け取る。これも契約なんです。つまり「100円払ったら、このジュースをくれる」という約束を、お互いに理解した上で結んでるんですよ。この時、あなたに意思能力がなかったら(たとえば、お店の人が子ども扱いして「このガキ、何言ってるんだ」と思ってたら)、その売買は無効になっちゃう可能性があるんです。
でも、小さい子どもが「このロボット、買ってください」って言ってくる場合、お店の人は「この子、100円の価値とか理解できないんじゃないか」と思うかもしれません。その時は、意思能力が問われるんですよ。
もっと大事な場面もあります。たとえば、あなたが大きくなって、スマートフォンの分割払いの契約をするとしましょう。月5000円払ってスマホを買う契約。この場合、「月5000円かかる」ってことを理解できてるか、「6ヶ月なら30000円払うことになる」ってのを理解できてるかがチェックされるんです。親に「何言ってんの!」と怒られても、あなたが「ちゃんと理解してました」と言えたら、その契約は有効だと判断される可能性が高いんですよ。
人生を大きく変える決断
もっともっと大事な決断もあります。それは結婚です。「あなた、この人と結婚しますか?」という時に、あなたが「結婚って何?」と思ってたら、結婚できないんですよ。結婚って、法律上は「この人が配偶者(つまりパートナー)になる」「将来、子どもが生まれたら、その子の親になる」「もし別れたい時は離婚という手続きをしないといけない」みたいなことがいっぱい関係してくるんです。こういった大事なことを理解した上で「結婚します」と言える人だけが、結婚できるんですよ。
それからね、遺言も意思能力が問われる大事な場面です。遺言ってのは「自分が死んだ後に、自分のお金や土地を誰にどうやってあげるか」を決める書類。もし、おばあちゃんが認知症になってて、ほぼ何も理解できない状態で「孫の太郎に全部の財産をあげる」という遺言を書いたとしたら?その遺言は無効になっちゃう可能性があるんです。なぜなら、おばあちゃんが「これが何なのか」「どういう結果になるのか」を理解できてなかったから。だから「遺言を書く時に、本人は意思能力があったのか」というのは、すごく大事な問題になるんですよ。
他にも、お金をもらう約束、土地を売る、会社を作る…こういう「人生に大きく影響することを決める時」には、だいたい「意思能力があるか」がチェックされるんです。
誰もが意思能力を持ってるわけじゃないんです
子どもはどうなの?
子どもって、意思能力があるのでしょうか?これはね、子どもの年齢や状況によって変わるんですよ。
生まれたばかりの赤ちゃんは、当然ながら意思能力がないんです。だからね、赤ちゃんの親が「うちの子に1000万円の借金をさせます」なんて言っても、絶対に無効になります。赤ちゃんが「結婚します」と言ったとしても、その結婚は認められません。これは当たり前ですよね。
では、小学生はどうでしょう。小学6年生なら、100円のジュースを買う契約くらいだったら、意思能力があると認められる可能性が高いです。だって「100円払ったらジュースがもらえる」ってのを理解できてますからね。でも、300万円の自動車を買う契約は?300万円がどのくらい大きなお金か理解できてない可能性があるから、意思能力がないと判断される可能性が高いんです。
つまり、「同じ子どもでも、契約の内容によって『意思能力がある』『ない』が変わることもある」んですよ。小学6年生だったら「ゲーム機を買う」くらいは理解できるけど「家を買う」となると理解できないかもしれない。そういう感じです。
法律では、だいたい民法は「15歳から契約ができる可能性がある」という感じで考えてるんですが、でも15歳でも「すごく複雑で理解しにくい契約」だったら、意思能力がないと判断されることだってあります。
大人でも意思能力がない場合がある
驚くかもしれないけど、大人でも意思能力がない場合があるんですよ。
一番多いのは認知症です。認知症って、つまり「脳の病気で、だんだん記憶がなくなったり、判断ができなくなったりする病気」。認知症が進むと、今日が何月何日かわからなくなったり、自分が誰かわからなくなったり、さっき何があったか忘れちゃったりするんです。こういう状態だと「この契約が何なのか」「どういう結果になるのか」を理解できないんですよ。だから認知症のおじいちゃんが「家を売ります」と言った契約は、無効になっちゃう可能性があります。
それからね、精神疾患(つまり心の病気)のために判断できない大人もいます。たとえば、統合失調症という病気があります。これは「幻覚が見えたり」「幻聴が聞こえたり(つまり実在しない音が聞こえたり)」「考え方が混乱したり」する病気なんです。こういう状態だと「契約の内容を理解する」ことが難しくなるんですよ。
それからね、一時的に意思能力がなくなることもあります。たとえば、すごく高い熱が出てて、脳がボーッとしてる状態。この時に何か契約をしたとしたら、その時点では意思能力がないと判断される可能性があるんです。薬を飲んで眠くなってる状態とか、意識がはっきりしない状態も同じです。
つまり、「意思能力がある」ってのは「ちゃんとした判断ができる力がある状態」を意味するんですよ。これは年齢じゃなくて「その時点での判断能力」で判断されるんです。だから「あの人、20歳だからぜったいに意思能力がある」とは限らないんですよ。20歳でも、薬で眠い状態だったら意思能力がない可能性があるんです。
意思能力がないと判断されたら、どうなるの?
契約が無効になる
もし「この人、この契約をした時に意思能力がなかったんじゃないか」と判断されたら、その契約は無効(つまり最初からなかったこと)になるんです。
たとえば、あなたのおばあちゃんが認知症でほぼ何も理解できない状態で、詐欺師みたいな人に「おばあちゃん、これに署名してください。すごく儲かる投資です」と騙されて、1000万円を払ってしまったとしましょう。後から「あ、これって詐欺だ」ってわかった時、あなたの家族が「当時、おばあちゃんは認知症で何も理解できない状態だったから、この契約は無効だ」と言ったら?その契約は無効になって、1000万円を返してもらうことができるんですよ。
これはね、本人と本人の家族を守るためのルールなんです。だって、判断能力がない状態で決めた契約って、その人の人生に悪い影響を与える可能性があるじゃないですか。だから「あ、その時点では判断できてなかったんだ」ってわかったら、契約を取り消すことができるようにしてるんです。
でも注意してください。契約を無効にするには「その時点で本当に意思能力がなかったのか」を証明しないといけません。詐欺師みたいな人は「いや、その人はちゃんと理解してました」と言い張るでしょ。だから「意思能力がなかった」という証拠が必要になるんですよ。病院の診断書とか「この時期、この人は認知症が進んでました」っていう医学的な証拠が必要になるんです。
遺言が無効になる場合も
遺言の場合も同じです。もし、おじいちゃんが自分の全財産を一人の孫にあげるという遺言を書いたとします。でも、当時おじいちゃんは認知症で、医者も「この時期、記憶がほぼありませんでした」と言ったとしたら?その遺言は無効になる可能性があるんです。
なぜかというと、遺言ってのは「自分の大事な財産を誰にあげるか」を決める、すごく大事なことだからです。だから「本当にちゃんと理解した上で書いたのか」という基準がすごく厳しいんですよ。
実は、遺言に関しては「その時点で少しでも判断能力があったら、有効」という判断もあります。つまり「その人が、その瞬間だけ「今日は誰に何をあげたいか」という判断ができてたら、その遺言は有効」ってことなんです。だから、認知症がある人でも、良い時間帯(たとえば朝起きたばかりの時)に遺言を書いたら、その遺言は有効になる可能性があるんですよ。これは難しいルールですけど、本人の権利を守つためにこうなってるんです。
本人と家族の権利を守るしくみ
意思能力がないと判断された場合は、もう一つ大事なことがあります。それは成年後見制度(つまり、親や家族が本人の代わりに判断して、本人を守る制度)を使うことができるってことです。
たとえば、おばあちゃんが認知症になって、判断能力がなくなったとしましょう。その時、おばあちゃんは「医療の契約」とか「介護サービスの契約」とか、生活に必要なことを決めなきゃいけません。でも、おばあちゃんに意思能力がなかったら、どうやって決めるんでしょう?そこで家族(たとえばおばあちゃんの子ども)が「成年後見人」になって、おばあちゃんの代わりに判断して、おばあちゃんを守るんですよ。これは、おばあちゃんのためのしくみなんです。
「意思能力」はどうやって判断されるの?
医学的な判断と法的な判断
「この人、意思能力があるのかな?ないのかな?」ってどうやって判断するんでしょう。これはね、すごく複雑なんです。
まず医学的な判断が重要です。つまり「その人の脳や心の状態はどうなのか」を医者が判断するんですよ。もし「この人は統合失調症で、幻聴が聞こえてる状態です」と医者が言ったら、それは「意思能力がない可能性が高い」という参考になります。もし「この人は認知症で、MMSEスコア(つまり認知機能のテスト)が15点です」と医者が言ったら(満点は30点)、それも「判断能力が低い」という参考になるんですよ。
でもね、医学的な診断があるだけでは、まだ「意思能力がない」と決められないんです。なぜかというと、「診断=意思能力がない」じゃないからです。たとえば、統合失調症の人でも、その時その時で判断能力が変わることがあります。症状が落ち着いてる時は「ほぼ普通に判断できる」かもしれません。認知症の人でも、朝は比較的判断能力があるけど、夜になると混乱するかもしれません。だから「医者が『統合失調症です』と診断した」=「その人は意思能力がない」ではないんですよ。
具体的な場面での判断
だから、法律の判断では「その具体的な場面での判断能力」を見るんです。
たとえば、統合失調症の人が「100万円の車を買う契約」をしたとします。その時の判断が有効かどうかは「その時点で、その人が『100万円がどのくらい大きなお金か』『車を買うってどういう意味か』『毎月ローンで払うってどういうことか』を理解できてたのかどうか」を見るんです。
実際に、裁判で判断する時は「その人の言葉」「その人の行動」「その時の周りの状況」などを総合的に考えるんですよ。たとえば、
・本人は「この車、好きだから買いたい」と理由を言えたか
・本人は「月々いくらお金がかかるのか」という質問に、ちゃんと答えられたか
・本人は「もし払えなかったらどうなるか」という説明を理解できたか
・その時の医学的な診断はどうだったか
・その時の気分や体調はどうだったか
・まわりの人が本人に強制したり、だましたりしてなかったか
こういった全部のことを見て、総合的に「この時点で意思能力があったのか、なかったのか」を判断するんですよ。だから、簡単には「この人は絶対に意思能力がない」とは言えないんです。
時間によって変わることもある
それからね、大事なことがあります。それは「同じ人でも、時間によって意思能力が変わることがある」ということです。
たとえば、認知症のおばあちゃんでも、朝起きたばかりの時は「あ、今日は何をしようかな」と考えられるけど、夜になって疲れたら「え、私は誰?」みたいになっちゃうことがあります。だから「朝に書いた遺言は有効で、夜に書いた遺言は無効」という判断になる可能性だってあるんですよ。
それからね、薬の影響も大事です。たとえば、風邪の薬を飲んで眠い時と、風邪が治って元気な時とでは、判断能力が違いますよね。だから「この時点では眠い薬を飲んでました」という情報が証拠になったら「この契約は無効かもしれない」と判断される可能性があるんです。
つまり、「意思能力があるかないか」ってのは、医学的な診断よりも「その具体的な場面での判断能力」が大事なんですよ。これだから「意思能力」の判断は難しくて、よく裁判になることもあるんです。医者と裁判官が「いや、この人は実は理解できてたと思う」「いや、理解できてなかったと思う」と意見がぶつかることもあります。
