スマホを壊されたとき、自転車事故で相手にケガをさせたとき、誰かの不注意でお金を失ったとき。こういう「困った状況」になったら、誰かに責任を取ってもらいたいですよね。そういうときに出てくるのが「損害賠償」という制度です。この記事を読めば、自分や周りの人に何か起こったときに「あ、これは損害賠償の出番だ」って判断できるようになりますよ。
- 損害賠償とは、誰かのせいで受けた損害に対して、その人が責任を持ってお金で返すという制度だよ。
- 損害賠償が成立するには、相手に過失(不注意や不適切な行動)があることが必要だね。
- お金だけじゃなく、心の苦しみに対する慰謝料という補償も含まれることがあるよ。
もうちょっと詳しく
損害賠償は、日本の法律(民法という法律)で定められた仕組みです。簡単に言うと「自分の行動で他の人に困ったことを与えたなら、その人に対して責任を持ちなさい」というルールですね。学校でも「友だちをいじめたら反省文を書く」みたいなルールがあるのと同じで、社会全体で「悪いことしたら責任を取ろうね」っていう仕組みがあるんです。ただし、本当に相手が困ったときに限ります。
責任がないと損害賠償もない。たとえば、自分は何も悪くないのに自転車事故にあったら、誰が悪いわけでもないので、損害賠償はありません。
⚠️ よくある勘違い
→ そうじゃなくて、相手に「わざと」「不注意で」など、責任がある行動がなければ、損害賠償をもらえません。天災や運の悪さは対象外です。
→ これが正解。相手に責任がないと、損害賠償は成立しません。
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損害賠償とは?基本的な考え方
「責任を取る」ってどういうこと?
日常生活で「責任を取れ」とか「責任がある」って言葉をよく聞きますよね。では、本当の意味での「責任」って何でしょう?損害賠償の世界では、これが「自分の行動で相手に困ったことを与えたから、その困ったことをなくすためにお金を払う」という意味なんです。
たとえば、お店でうっかり商品を落として壊してしまったとしましょう。そのお店の店員さんは「商品を弁償してください」と言うかもしれません。これが損害賠償の第一歩です。あなたの不注意で商品が壊れたから、そのお店に対して「困ったことをなくすためのお金」を払わなきゃいけない。これを「責任を取る」と言うわけです。
でもね、ここで大事なポイントがあります。もし、その商品が雨でぬれて壊れたなら、あなたのせいじゃありませんよね。天気のせいです。そういうときは、あなたに責任がないから、損害賠償をする必要がない。つまり、「責任を取る」ってのは「あなたが悪かったことに対して」という条件があるってことです。
損害賠償が生まれる「3つのポイント」
損害賠償が成立するためには、3つの大事なポイントがあります。これを覚えておくと、「あ、この状況は損害賠償の対象だ」って判断できるようになりますよ。
まず1番目は「実際に誰かが困ったのか」というポイント。困ったことがなければ、損害賠償もありません。たとえば、友だちが君のペンをうっかり折ってしまったけど、君はそのペンをもう使っていなくて、別のペンで書いていた。こういう場合は「実害がない」から、損害賠償にはならないってわけです。
次に2番目は「相手に責任があるのか」というポイント。これが最も大事です。相手が「わざと」やったのか、「不注意で」やったのか。あるいは、相手には何も責任がない場合もあります。たとえば、友だちが君のペンを折ったけど、それは君が友だちを押してしまったから。この場合、友だちが押されたせいでペンを落としちゃった。だから、本当は君に責任があるかもしれませんよね。こういうふうに「誰の責任か」を考えることが大事なんです。
3番目は「その困ったことの大きさはどのくらいか」というポイント。ペンが壊れた場合と、自転車が壊れた場合では、困ったことの大きさが違いますよね。ペンは数百円ですが、自転車は数万円です。だから、払うべき損害賠償の金額も変わってくるんです。
どんなときに損害賠償が発生するのか?
日常生活のどこに隠れているのか
損害賠償って、特別な場面だけの話だと思っていませんか?実は、あなたの日常生活のいたるところに潜んでいるんです。
たとえば、スマートフォン。友だちが君のスマホを落として画面が割れちゃった。これは典型的な損害賠償の事例です。友だちの不注意で君のスマホが壊れた。だから、スマホの修理代を友だちが払う。こういうシンプルなケースが、毎日、学校でも家庭でも起こっているんです。
次に自転車事故。君が自転車で歩行者とぶつかってしまった。歩行者がケガをした。このケースでは、医療費だけじゃなく、入院費、通院のための交通費、さらには「仕事ができなくて給料がもらえなかった」というお金まで、損害賠償の対象になることもあります。これは「人的損害」と言って、ものが壊れた場合よりも大きな補償になることが多いんです。
さらに、SNSでも損害賠償は発生します。友だちの悪口をネットで書いたら、その友だちが「名誉毀損」(つまり、評判を傷つけた)という理由で、損害賠償を請求することだってあります。ネットは「証拠が残る」「多くの人に見られる可能性がある」だから、損害が大きくなりやすいんです。
「過失」がポイント
損害賠償が発生するかどうかの最大のカギは「過失」です。過失ってのは、つまり「不注意や不適切な行動」ってことですね。
例を出しましょう。君が学校で走っていて、角で誰かとぶつかってしまった。相手がケガをした。この場合、君に過失がありますか?それは「状況による」んです。君が学校のルール通り、歩いていたのに、相手が急に曲がってきたなら、相手にも過失があるかもしれません。反対に、君が「走ってはいけない場所で走っていた」なら、君に過失があります。こういうふうに、「誰がどの程度悪かったのか」を判断することが大事なんです。
さらに注意する点があります。君が「気をつけていたのに、でも何か悪いことが起こった」という場合でも、場合によっては「過失がある」と見なされることもあります。つまり「あなたは、ここまで気をつけるべきだった」という基準が決められているんです。たとえば、道を歩くときは「周りを見て歩く」というのが基準です。もし、スマホを見ながら歩いていたら、「スマホを見ていない人よりも気をつけるべき」という義務があるわけです。だから、スマホを見ながら歩いている途中にぶつかったら、「過失がある」って判断されることが多いんです。
だれが損害賠償を払うのか?
原則は「悪いことをした本人」
損害賠償を払う人は、基本的には「悪いことをした本人」です。友だちが君のペンを壊したなら、友だちが払う。君が他人に損害を与えたなら、君が払う。シンプルですよね。
でも、問題が1つあります。友だちが中学生だったら、お金をいっぱい持っていないかもしれませんよね。そういうときはどうするんでしょう?答えは「親が払う」ことになります。これを「親の責任」と言います。
なぜ親が払わなきゃいけないのか?それは「親には、子どもを監督する義務がある」からです。親は「子どもが何か悪いことをしないように見張る責任」があるんです。だから、子どもが損害を与えたら、親もその責任を負うことになるわけです。
ただしね、例外があります。親が「十分に監督していた」という証拠があれば、親は責任を負わないこともあります。たとえば、子どもが親の言いつけを守らずに、こっそり悪いことをした場合。この場合、親は「監督できない状況だった」と考えられることもあるんです。
会社はどうなるの?
もう1つのパターンは、会社の従業員が悪いことをした場合です。たとえば、デパートの店員が客に乱暴なことをして、その客がケガをした。この場合、店員本人が悪いのですが、デパート(会社)も責任を負うことが多いんです。これを「使用者責任」と言います。つまり、「その人を雇っている会社も責任がある」ってわけです。
なぜか?それは「会社は、従業員に給料を払っているから」です。給料をもらっている仕事をしているときに何か悪いことをしたら、その会社も責任を負う。こういう仕組みになっているんです。ですから、店員に文句がある場合、その店員本人ではなく、会社に損害賠償を請求することが多いんです。会社のほうが、お金をいっぱい持っていますからね。
損害賠償の種類と金額
「実損害」と「精神的な損害」の2種類
損害賠償には、大きく分けて2種類があります。1つは「実損害」で、もう1つは「精神的な損害」です。
実損害ってのは、つまり「実際にお金がかかった損害」ってことですね。ペンを壊されたら、ペンを買い直すお金。自転車を壊されたら、自転車の修理代。スマホのガラスが割れたら、修理代。こういうふうに「実際にいくら費用がかかったのか」で計算される損害です。これは比較的わかりやすいですよね。
次に、精神的な損害。これが「慰謝料」です。つまり「心のダメージに対するお金」ってことですね。たとえば、誰かに無視されて、すごく悔しかった。とても落ち込んだ。こういう「目に見えない心の苦しみ」に対してもお金がもらえるんです。ただし「誰かのせいで心が傷ついた」という証拠が必要です。たとえば、いじめを受けたら、学校のカウンセラーに相談した記録があると、慰謝料をもらいやすくなるんです。
実損害よりも慰謝料のほうが、金額を決めるのが難しいです。なぜなら「心の苦しみ」ってのは、人によって違うからです。ある人にとっては大した苦しみじゃなくても、別の人にとっては大きな苦しみかもしれません。だから、裁判で「この状況なら、精神的な損害はいくらか」という判決が出るんです。
金額はどうやって決まるの?
損害賠償の金額は、どうやって決まるんでしょう?これが難しいポイントです。
実損害の場合は比較的簡単です。壊れたものの値段を調べて、それが損害賠償の金額になります。でも、問題があります。「元々、そのものはいくら価値があったのか」を判断することです。たとえば、5年前に買った自転車。今、買えば3万円だけど、5年前に買ったときは4万円だったかもしれません。どの金額で補償するのか?普通は「今、その自転車を買い直すのにいくらかかるのか」という金額で補償されます。これを「修理費と新しいものの値段の安いほう」で決めることが多いんです。
慰謝料の場合は、もっと複雑です。一般的には「どの程度の精神的な苦しみか」「どのくらい悔しい思いをしたのか」という点から、金額を決めます。たとえば、いじめを受けた場合、その期間がどのくらい長かったのか、どの程度の被害があったのか、相手がどの程度の悪意を持っていたのか。こういう点を総合的に判断して、金額が決まるんです。一般的には、数万円から数十万円のことが多いですね。もし、人生に大きなダメージを与えるようないじめだったら、数百万円ということだってあります。
お金以外の補償もあるのか?
損害賠償は基本的にお金ですが、場合によっては「お金以外の補償」も考えられます。たとえば、君の大事な写真をうっかり捨てられてしまった。写真は、二度と同じものは撮れません。こういう場合、「写真を撮り直す」「デジタル化する」といった補償ではなく、「その行為によって生じた悔しさ」に対してお金をもらう。これが慰謝料ですね。
また、債務不履行(つまり「約束を守らなかった」)という場合もあります。たとえば、友だちが「確実に返すからゲーム機を貸して」と言ったのに、返してくれなかった。この場合、ゲーム機をもらう権利と、返されなかった期間の「使えなかった」という損害賠償を請求できるんです。つまり「ゲーム機を返してもらう」ことと「返されなかった期間の補償」の両方ですね。
日常生活での損害賠償の事例
学校での事例
学校生活の中で、損害賠償が関係する場面はいくつかあります。
まず、教科書や教材を壊した場合。例えば、体育の授業で、友だちの体育着を汚してしまった。または、教科書に落書きしてしまった。こういう場合、学校では「弁償してください」と言われることがありますよね。これは損害賠償の一種です。ただ、学校は「教育の場」だから、実際のお金でなく「弁償金」という形で集めることが多いです。
次に、いじめの場合。友だちが君のものを壊したり、君のお金を盗んだり、君の悪口を言ったりした。こういう場合は、学校の先生に相談します。先生が仲介して、相手に「弁償しなさい」と指導するわけです。ただ、相手が弁償しない場合は、両親が出てきて、話し合いをすることもあります。これが本格的な「損害賠償の話し合い」になるんです。
さらに、学校の施設を壊した場合。君が野球をしているときに、ボールが窓ガラスに当たって割ってしまった。この場合、学校の窓を壊したわけだから、親が学校に修理代を払うことになります。ただし「君が悪いことをした」が条件です。もし、友だちが君を押したせいで、ボールを投げる制御ができなくて、ガラスに当たった。この場合、その友だちや、その友だちの親に損害賠償を請求する可能性もあります。
家の中や近所での事例
家の中や近所でも、損害賠償の話は起こります。
たとえば、友だちが遊びに来たとき。友だちがコップを割ってしまった。または、椅子を壊してしまった。こういう場合、「弁償してください」と言うかどうかは、家族によって違いますね。ただ、物の値段が大きい場合(例えば、テレビを壊されてしまったなど)は、親同士が話し合いをすることがあります。
次に、近所での事例。君が近所の子どもに自転車をぶつけてしまったり、野球のボールが近所の人の家を壊してしまったり。こういう場合、親が出てきて、損害賠償の話し合いをすることになります。近所の関係を壊さないために、親はきちんと対応することが大事なんです。
さらに、ペットが関係する場合もあります。君の犬が近所の人に噛みついてしまった。その人がケガをした。この場合、君の親に責任があって、医療費や慰謝料を払うことになります。ペットは「物」ではなく「責任があるもの」として考えられるんです。
インターネットでの事例
最近は、インターネットが関係する損害賠償も増えています。
たとえば、SNSで誰かの悪口を書いた場合。その人が「名誉毀損だ」として、損害賠償を請求することができます。ネットは「証拠が残る」「見ている人が多い」だから、慰謝料が大きくなることが多いんです。一般的には、実名を出して悪口を書いた場合は、慰謝料が大きくなります。反対に、匿名でも「その人だとわかるような書き方」をしたら、やはり損害賠償の対象になるんです。
次に、友だちの写真をSNSに許可なく載せた場合。これは「プライバシー侵害」という損害賠償の対象になります。慰謝料をもらえることもあります。
さらに、ネットショップで詐欺を受けた場合。お金を払ったのに、商品が来なかった。商品が壊れていた。こういう場合は、ネットショップに対して「お金を返してください」と請求するわけです。これも損害賠償の一種ですね。ただ、ネットショップの場合は「返品制度」という仕組みが決まっていることが多いから、それに従って対応することになります。
