「医者の説明がよくわからなかった」「治療の結果が思ったのと違った」「医療ミスがあったんじゃないか」――病院と患者の間でこんなトラブルが起きることってありますよね。でも、そういう問題が大きくなって、患者と医者・病院が言い合いになってしまうことがあります。それが「医事紛争」です。実は、医療の現場では想像以上に多く起きているんです。この記事では、医事紛争とは何か、なぜ起きるのか、どうなるのかを、身近な例をまじえてわかりやすく説明していきます。読み終わる頃には、「あーそういうことか」って納得できるようになってますよ。
- 医事紛争は、医療に関するトラブルで患者と医者・病院が意見が合わなくなった状態のこと
- 医療ミスだけが原因ではなく、説明不足や情報のズレが多くの紛争を生んでいる
- 裁判になることもあるけど、話し合いや専門家による解決で済むことも多い
もうちょっと詳しく
医事紛争は、医療が関わるすべてのトラブルを指します。たとえば、手術を受けたけど思った結果にならなかった、薬を処方されたのに副作用が出た、病気の診断が間違っていた、などなど。医療ミスだけじゃなく、患者さんが「説明がなかった」「自分の気持ちを聞いてもらえなかった」と感じるケースも大きな割合を占めています。つまり、医療というのは患者さんの体と心に深く関わるものだからこそ、ちょっとしたズレが大きなトラブルになってしまうんですね。医事紛争を理解することは、患者さんの側から医療との関わり方を学ぶことにもなります。
医事紛争=悪い医者 ではなく、コミュニケーション不足が原因のことが多い
⚠️ よくある勘違い
→ 実際は、多くの場合は話し合いや専門の相談窓口で解決しています。いきなり法廷に行く必要はありません。
→ 病院内の相談窓口や、医療紛争解決専門の機関に相談して、落ち着いて対応することが大切です。
→ そうとは限りません。患者さんの体の状態や、治療の難しさなど、様々な要因が関わっています。
→ どちらが「悪い」かではなく、何が問題だったのかを冷静に確認することが大事です。
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医事紛争とは何か
医事紛争の定義
医事紛争というのは、医療に関する問題や不満が原因で、患者さんと医者や病院の間に意見の相違が生じた状態を指します。つまり、医療を受ける側と医療を提供する側が「ここが問題だった」「納得できない」という気持ちでもめている状況ですね。
具体的には、どんなことが医事紛争になるのでしょう。医療ミスがあったケース、治療の説明が十分でなかったケース、治療の結果が患者さんの期待と異なったケース、医者の態度が悪かったと感じるケース、など、本当にいろいろなパターンがあります。友だちとケンカになるのと似ていて、「何か引っかかる」という気持ちが重なっていくと、だんだん大きなトラブルになっていくんです。
日本の医療現場での現状
医事紛争は、実は日本の医療現場で結構な数が発生しています。大きな病院だけでなく、小さなクリニックでも起きますし、診療科(つまり内科や外科といった医療の専門分野)を問わず、どこでも起こる可能性があります。ただし、多くの医事紛争は、患者さんと医者が直接話し合ったり、病院の相談部門に相談したりして、早い段階で解決しているんです。実際に法廷で争われるケースは、全体の中ではそこまで多くありません。
日本では、医療に関する相談を受けつけている専門の機関がいくつかあります。たとえば、各都道府県に設置されている「医療紛争処理制度」や、医療機関の中に設けられている「患者相談窓口」などです。これらの仕組みがあることで、紛争が深刻になる前に解決される場合が多いんですね。
医事紛争と民事裁判の違い
ここで大事なポイントがあります。医事紛争が起きた=必ず民事裁判(つまり、法廷で争うこと)になるわけではないということです。民事裁判というのは、裁判所で判事(裁判官)が判決を下す方法ですが、医事紛争はそこに至るまでに、色々な段階があります。
具体的には、まず患者さんと医者が直接対話する。それでもダメなら、第三者が間に入ってくれる「和解」や「調停」という方法がある。それでも解決しなかったら、初めて裁判を検討する、という段階を踏むんです。この段階的なアプローチのおかげで、多くの紛争は早い段階で落ち着いているんですね。
なぜ医事紛争が起きるのか
医療ミス
医事紛争の原因として、まず思いつくのが「医療ミス」です。医療ミスとは、つまり医者や医療スタッフが誤った判断や行動をしてしまうことですね。例えば、誤った薬を渡してしまった、手術中に間違った部位を切ってしまった、検査結果を見落としてしまった、というようなことです。
ただし、医療というのは非常に複雑で、医者が完璧な判断をすることは難しいんです。医療の現場では、患者さんの体の状態は刻々と変わりますし、予測できない事態が起こることもあります。そういう中で、医者たちは最善の判断をしようとしています。だから、医療ミスがあったからといって、それが必ずしも医者の「故意」や「重大な過失」ではないこともあるんです。とはいえ、ミスがあれば患者さんが傷つくのは確かですから、その責任は生じます。
コミュニケーション不足
実は、医事紛争の最も大きな原因は「コミュニケーション不足」なんです。医者が治療の内容や危険性について十分に説明していなかった、患者さんの不安や質問にしっかり答えていなかった、というようなケースが非常に多いんですね。
例えば、手術を受ける前に医者から「この手術には○○というリスクがあります」という説明がなかった場合を考えてみてください。もし手術後にそのリスクが実際に起きてしまったら、患者さんは「事前に説明してくれていたら、手術を受けなかった判断もできた」と感じるでしょう。これが医事紛争の原因になるんです。
コミュニケーション不足は、医者側の忙しさが原因のことも多いです。大きな病院では、医者が多くの患者さんを診ることになり、ひとりひとりに時間をかけられないという現実があります。そうなると、説明が簡潔になったり、患者さんの質問に答える時間がなくなったりするんです。
期待値のズレ
医事紛争が起きるもう一つの大きな原因は、「患者さんの期待と、医療の現実のズレ」です。つまり、患者さんが「こんな結果になるだろう」と思っていたのに、実際にはそうならなかったということですね。
例えば、「この治療をすれば完全に治る」と思っていたけど、実際には症状が少し改善しただけだった、という場合があります。あるいは、「この薬には副作用がない」と思っていたのに、飲んだら体に変化が起きた、というようなことです。医療というのは、常に「完全な治療」を約束できるわけではありません。医者ができるのは「最善の治療」をすることであって、「完治」を100%保証することではないんです。この違いが理解できていないと、紛争が起きやすくなります。
患者さん側の要因
医事紛争の原因は、医者側だけにあるわけではありません。患者さん側の要因もあります。例えば、医者の指示に従わない(薬を飲まない、定期的な診察に来ないなど)、症状を正確に伝えない、という場合があります。
医療というのは、医者と患者さんが協力して初めて成立するものなんです。医者が薬を処方しても、患者さんが飲まなければ効果は出ません。医者が「定期的に来てください」と言っても、患者さんが来なければ、症状の変化を見守ることができません。こういう意味で、患者さんも責任を持って医療に参加することが大事なんですね。
医事紛争が起きたときの解決方法
話し合いと相談窓口
医事紛争が起きたとき、まず第一歩は「話し合い」です。患者さんが不満に感じたことを医者に伝えて、医者がそれに対して説明する。これを冷静にやることで、多くの紛争は解決するんです。
もし直接話し合うのが難しい場合は、病院の「患者相談窓口」に相談するという方法があります。これは、病院の中に設けられている部門で、患者さんの質問や不満を聞いて、医者との間に立って解決を図ってくれるんですね。実際のところ、こういう窓口の存在が、医事紛争の早期解決に大きな役割を果たしているんです。
医療紛争処理制度と調停
話し合いでも解決しない場合は、「医療紛争処理制度」という公式な仕組みを使うことができます。これは、各都道府県に設置されている専門的な機関で、医療に詳しい人たちが患者さんと医者の間に入って、解決を図ってくれるんです。
この制度の利点は、医療のことをよく知っている専門家が間に入るので、素人の患者さんと医者だけで話し合うよりも、より正確で公平な判断ができるということです。また、この段階でも「和解」(つまり、両者が納得できる条件で合意すること)や「調停」(仲裁人による解決)が目指されます。つまり、法廷で争うことは、あくまで最後の手段なんですね。
民事裁判
それでも解決しない場合は、民事裁判という方法があります。これは、裁判所で判事が判決を下す方法ですね。ただし、ここに至るまでには長い時間と多くの費用がかかります。だから、患者さんも医者も、裁判になる前に解決したいと考えるんです。
実際に医療の民事裁判が行われるときは、医療の専門知識が非常に重要になります。なぜなら、「本当に医療ミスがあったのか」「それが患者さんの健康被害の直接の原因なのか」といったことを、医学的に証明する必要があるからです。そのため、医事訴訟(つまり医療に関する裁判)には、医学の専門家が「鑑定人」として関わることが多いんです。
示談と合意金
医事紛争の解決方法として、「示談」という方法もあります。これは、患者さんと医者・病院が直接交渉して、「この条件で合意する」という協定を結ぶことですね。示談には、多くの場合「合意金」(つまり、医者や病院が患者さんに払うお金)が含まれます。
この合意金の額は、ケースによって大きく異なります。医療ミスがあった場合、患者さんが受けた被害の程度(例えば、入院が長くなった、後遺症が残ったなど)に応じて決まるんです。また、医療ミスがなくても、患者さんの不満が大きい場合は、「心情的な補償」として合意金が払われることもあります。
実際の医事紛争の事例から学ぶ
診断の誤りによる紛争
実際に起きた医事紛争の例として、診断の誤りがあります。例えば、ある患者さんが「お腹が痛い」と医者に訴えたのに、医者が誤った診断をしてしまった場合を考えてみましょう。実は重大な病気だったのに、「単なる消化不良だ」と診断されてしまったら、患者さんは治療を受けずに過ごしてしまい、病気が悪化することになります。
こういう場合、患者さんは「医者は検査をしっかりしなかった」「別の医者に診てもらえば正しい診断ができたはずだ」と感じて、医事紛争が起きるんです。ただし、医療の中には「判断が難しい」ケースが多いんです。同じ症状でも、人によって原因が違うことがあります。だから、医者が「悪意」なく誤診することもあるんですね。
手術の同意書に関する紛争
もう一つの典型的な事例は、「手術の同意」に関する紛争です。医者が患者さんに手術を勧めて、患者さんも同意したのに、手術後に「こんなはずじゃなかった」と患者さんが不満を感じるケースがあります。
これが起きるのは、多くの場合「事前説明が不十分」だからです。医者が「この手術には○○というリスクがある」と説明していなかった、「失敗の可能性もある」ということを伝えていなかった、というような場合があります。患者さんは「医者が言ったなら安全な手術なんだろう」と思って同意したのに、実はリスクがあったということになって、紛争が生じるわけです。
薬の副作用に関する紛争
薬の副作用に関する紛争も多いです。医者から処方された薬を飲んだら、想定外の副作用が出てしまった、というケースですね。例えば、「風邪の薬」として処方されたのに、重い副作用が出てしまった、という場合があります。
この場合、重要なのは「医者が患者さんに副作用の可能性について説明していたかどうか」です。もし説明がなければ、患者さんは「危険性を知らずに飲んでしまった」ことになって、紛争が起きやすくなります。反対に、医者が「この薬には○○という副作用が出る可能性があります。出た場合はすぐに来てください」と説明していれば、患者さんも心構えができるんですね。
医事紛争を防ぐには
医者側の工夫
医事紛争を防ぐために、医者側ができることがあります。まず、何より大事なのは「コミュニケーション」です。患者さんに治療の内容、メリット、デメリット、リスクなどを、わかりやすく説明することが非常に重要なんですね。
また、患者さんの話をしっかり聞くことも大事です。患者さんが何に不安を感じているのか、何を期待しているのかを理解することで、後の紛争を防ぐことができるんです。さらに、医療の現場では「インフォームド・コンセント」という考え方があります。これは、つまり「医者が患者さんに十分な情報を提供して、患者さんがそれに基づいて同意する」ということですね。これが医療の倫理として求められているんです。
患者さん側の工夫
患者さんの側でも、医事紛争を防ぐためにできることがあります。まず、医者に対して、自分の症状や不安をしっかり伝えることです。医者は患者さんの話を聞いて初めて、正確な診断や治療ができるんです。また、医者から説明を受けるとき、わからないことがあれば、どんどん質問することも大事です。
さらに、医者の指示に従うことも重要です。例えば、処方された薬は指示通りに飲む、定期的な診察には来る、という風に、患者さんも医療に責任を持って参加することで、トラブルを防ぐことができるんです。また、医療の完璧さを過度に期待しないことも大事ですね。医者は最善の治療をしますが、すべての患者さんが完全に治るわけではないということを理解しておくと、もし思った通りの結果にならなくても、冷静に対応できるんです。
医療機関の体制
医療機関として、医事紛争を防ぐための体制を整えることも大事です。例えば、患者相談窓口を設置する、医者向けのコミュニケーション研修を実施する、といった工夫があります。また、もし医療ミスが起きてしまったときは、すぐに患者さんに説明して謝り、その後のサポートをするという姿勢も重要なんです。
実は、医療ミスが起きたときに、医者や病院がすぐに誠実に対応すれば、多くの場合は患者さんの怒りが和らぐんです。隠蔽したり、言い訳したりするから、患者さんの不信感が深まって、紛争が大きくなるんですね。だから、透明性と誠実性が、医事紛争を防ぐ最も大事な要素なんです。
