「学校で習うことって、誰が決めてるの?」ってなんとなく思ったことありませんか?実は、日本の全国の学校で「何を、どのくらいのレベルで教えるか」を決める大切なルールが存在するんです。それが指導要領。この記事を読めば、学校教育がどうやって作られているのか、その秘密がわかっちゃいますよ。
- 指導要領とは、文部科学省が定める教育の基準で、全国の学校で何を、どのくらいのレベルで教えるかを決めています
- 「何を」は指導要領で決まるけど、「どうやって」教えるかは各先生の工夫に任されています
- 世の中の変化に合わせて10年ごとに改訂されるから、プログラミングなど新しい学びも追加されていきます
もうちょっと詳しく
指導要領は、単なる「この教科書を使え」という指示ではなく、もっと大きな教育の目的を持った基準なんです。例えば、算数の場合「小学3年生では、かけ算の九九を完全にマスターする」「小学5年生では、小数を習う」みたいに、いつまでに何ができるようになるべきかが決まっています。これによって、全国のどの学校でも、同じようなペースで同じようなレベルに達することができるわけです。また、指導要領は単に「知識を詰め込む」ことだけを目指しているのではなく、最近では「自分で考える力」「人と協力する力」といった、学びの姿勢まで大事にするようになってきました。だから、ただ暗記するだけじゃなく、理解することや、その知識をどう使うかまで重視されているんです。
指導要領は「何を」と「いつまでに」を決めるけど、「楽しく学ばせる工夫」は先生の役割。
⚠️ よくある勘違い
→ 実は指導要領は「最低限これだけは教えてね」という基準で、先生が自分たちの工夫で教える方法を決めたり、さらに発展的なことを教えたりすることは自由です。
→ どこの学校に行っても同じような学びができるようにするための骨組みです。その上で、先生たちは自分たちのやり方で、そこに肉をつけていくんです。
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指導要領とは何か
文部科学省が決める教育の基準
指導要領(つまり学習指導要領のこと)は、日本の文部科学省という政府の部門が、全国の学校で「何を、どのくらいのレベルで教えるべきか」を定めたルールブックみたいなものです。想像してみてください。日本中の学校がバラバラに「うちはこれを教えよう」と決めていたら、転校生は毎回困りますよね。引っ越した先の学校で、すでに習った内容をもう一度習ったり、まだ習っていないことを教えられたりすることになります。そこで、全国のどの学校でも同じようなレベルで、同じようなことを習えるようにしよう、というわけです。指導要領はそのための統一基準。つまり、「日本全国、どこに住んでいても、同じような質の教育が受けられるようにしましょう」という考え方で作られているんです。
指導要領に書かれているのは、例えば「小学1年生では、たし算の基礎を習う」「中学1年生では、方程式を習う」「高校では微分・積分を習う」といった具合に、学年ごとに「これだけは教えなさい」ということです。でも、そこに細かく「この教材を使え」とか「この授業時間は何分じゃなきゃいけない」とは書かれていません。先生たちは、「指導要領で決められた内容を、子どもたちにわかりやすく、楽しく教える」という役割を担っているんです。だから、同じ「一次関数」という単元でも、ある先生は日常生活の例えを使って教え、別の先生はグラフをいっぱい描いて教えるかもしれません。でも、最終的に「一次関数が理解できるようになる」というゴールは同じ。それが指導要領の目的なんです。
すべての生徒が同じ教育水準を受けるために
指導要領があることで、どんなメリットがあるのか考えてみましょう。まず一番わかりやすいのが「引っ越しても大丈夫」ということ。例えば、東京から北海道に引っ越したとしても、習う内容が大きく違わないから、新しい学校に行ってもついていきやすいわけです。もし指導要領がなかったら、「前の学校では習ったけど、こっちの学校では習わないんだ」とか「こっちの学校では、まだ習っていないことを教えられた」みたいなことが起きちゃいます。
それからもう一つ大事なのが「親切さ」です。親の立場から考えてみてください。自分の子どもが学校で何を習うべきか、どのくらいのレベルまで行くべきか、親には判断できないですよね。でも指導要領があれば、「中学校ではこれだけは習うんだな」「高校に行くまでにこのレベルに到達するんだな」と、親も子どもの成長を見守りやすくなります。
指導要領はいつ、どうやって決まるのか
10年ごとの改訂で時代に合わせる
指導要領は、今のバージョンで永遠に変わらないわけではありません。むしろ、時代の変化に合わせて、定期的に見直されるんです。現在は、おおよそ10年ごとに改訂されることになっています。なぜそんなことをするのか。それは、世の中が変わるからです。
昔を思い出してみてください。みなさんの親や祖父母が学生だった時代には、インターネットもスマートフォンも存在していませんでした。でも、今の子どもたちはどうか。デジタルが当たり前の世界に生きています。だから、「プログラミング」や「データの見方」といった、昔は存在しなかった学びが、今の指導要領には入っているんです。これが改訂の理由。世の中が変わった→学ぶべきことも変わった→指導要領も更新する、という流れですね。
実際、ここ20年の指導要領の改訂を見てみると、かなり大きな変化があります。「英語を小学校から習う」「プログラミング思考を学ぶ」「古文・漢文より現代文を重視する」「理科の実験をもっと増やす」といった具合に、どんどん新しい内容が追加されたり、割合が変わったりしています。これは、日本の教育が「時代の流れについていくために」「子どもたちが大人になった時に役立つ力をつけるために」、常に進化し続けているということなんです。
誰がどうやって決めるのか
「では、誰が指導要領を決めるのか」という質問が出てきそうですね。基本的には、文部科学省という国の組織が中心になって決めます。でも、勝手に決めるわけではなく、いろいろな人の意見を聞きながら進めるんです。教育委員会の人、学校の先生、教育学の専門家、企業の人、そして親や市民の声も聞きながら、「これからの日本の子どもたちに必要な学びは何か」を考え続けるんですよ。
改訂の流れとしては、まず「世の中がどう変わったか」「子どもたちに何が必要か」といったテーマで、いろいろな立場の人たちが集まって、何年にもわたって議論します。そこで「英語の比重を上げよう」「理科を実験中心に変えよう」といった大きな方向性が決まり、その後、具体的にどの学年で何を教えるかという細かい内容が作られていくんです。それが完成すると、全国の学校に通知されて、新しい指導要領に基づいた教育が始まるというわけです。
指導要領と先生の工夫の関係
基準は同じ、でも教え方は十人十色
ここで大事なポイントを一つ。指導要領は「何を教えるか」「どのレベルまで教えるか」を決めますが、「どうやって教えるか」は先生に任されています。これが、教育の面白さでもあり、先生の腕の見せ所でもあるんです。
例えば、「一次関数」という中学3年生の数学の単元があります。指導要領では「一次関数について学ぶ」と決まっています。でも、どう教えるかは先生次第。ある先生は「スマートフォンの料金プランは一次関数だ」という例えを使って教えるかもしれません。別の先生は「ジェットコースターの動きが一次関数だ」という例えを使うかもしれません。もう一人の先生は、グラフを自分たちで描かせて、「ほら、直線になったでしょ」と実感させるかもしれません。つまり、どの先生も「一次関数を理解させる」というゴールは同じだけど、そこまでの道のりは先生たちの工夫で、いろいろに変わるわけなんです。
これは、指導要領が「骨組み」で、先生たちが「肉をつける」という関係だと思えばわかりやすいですよ。骨組みは決まっているから、日本全国どこでも大体同じような形になる。でも、肉のつけ方、つまり教え方は、先生たちの工夫や個性で、いくらでも変えられるということです。だから、同じ学年でも、クラスによって授業が少し違う感じがすることもあるんです。
発展的な学習も可能
もう一つ重要なのが「指導要領は最低限」という考え方。つまり「少なくともこれだけは教えてね」という基準で、それ以上に教えるのは禁止されているわけではないんです。
例えば、小学4年生で「÷(割り算)を習う」と指導要領で決まっているとしましょう。先生は「これだけは絶対に教える」ということですが、クラスの子どもたちの理解が早かったら、もっと難しい割り算まで教えてもいいんです。「指導要領以上に教えちゃダメ」という厳しいルールではなく、「指導要領以下で止まるのはダメ」というルールなんですよ。だから、得意な子どもたちがいるクラスなら、先生は発展的な内容も教えることができます。逆に、まだ理解が不十分なクラスなら、何度も繰り返して、より深く理解させることもできる。そういう柔軟性が指導要領の中には隠れているんです。
指導要領が目指す力の変化
昔は「知識」、今は「考える力」
指導要領は、何十年もの間に、かなり大きく変わってきています。一番大きな変化は「何を重視するか」という価値観の転換です。
昔の指導要領は「とにかく知識を詰め込むこと」を目指していました。歴史の年号をいっぱい暗記させたり、英単語をひたすら覚えさせたり、数学の公式を丸暗記させたり。「知らないことを知ること」が学びの中心だったんです。でも、今はどうか。スマートフォンを持てば、知りたいことはすぐにインターネットで調べられます。もう、暗記だけの学習では不十分だってことに気づいたんですよ。
だから、今の指導要領が重視するのは「考える力」「問題を解く力」「人と協力する力」といったものです。例えば「令和3年は令和何年の何年前か」という問題があったら、昔なら「とにかく引き算をして答えを出せ」ってやり方でした。でも今は「なぜそうなるのか」「実生活ではこういう計算をする場面があるよね」といった、意味のある学習が重視されています。
「生きる力」を養う
指導要領の理念を簡潔に言うと「生きる力を養う」ということです。つまり、大人になった時に「学校で習ったから役立った」って思える力をつけることが目標なんです。
具体的には、こんなことが挙げられます。自分の頭で考えて、判断できる力。友だちと意見が違ったときに、相手の意見も聞いて、協力して何かを作り上げる力。失敗しても、そこから学んで、もう一度挑戦する力。新しいことに出会ったときに「どうやってやるんだろう」と調べて学び続ける力。こういった力は、スマートフォンでは身につきません。学校の中で、先生たちが工夫して、子どもたちに経験させることで、初めて身につくんです。だから、指導要領も「知識をいかに教えるか」から「どうやって力を育てるか」へと、主役が移ってきたんですよ。
最後に一つ覚えておいてください。指導要領は「完璧」ではなく「進化し続けている」んです。子どもたちが大人になったときに「あ、あのとき習ったことが役に立った」と思える学びを提供するために、文部科学省、学校の先生たち、教育の専門家たちが、毎日工夫して改善し続けているんです。それが指導要領という制度なんですよ。
