「病気や怪我をしたあとで、字が書けなくなった」「箸が使いにくくなった」「玄関の段差がこんなに大変だったんだ」って思ったことありませんか?そういうときに「日常生活をもう一度できるようにするお医者さん」がいるんです。それが作業療法士。この記事を読めば、作業療法がどういう治療なのか、なぜ「治す」じゃなくて「生活に戻す」という考え方が大事なのかがわかりますよ。
- 作業療法とは、日常生活の動作をもう一度できるようにする治療で、リハビリの一種です
- 作業療法士という資格者が、食べたり着たり仕事をしたりする「実生活の動作」を手伝います
- 体を治すだけじゃなく、「その人らしい生活に戻す」ことが目標なので、仕事や趣味も含めて考えます
もうちょっと詳しく
作業療法って「作業」という字が入ってるけど、これは「仕事」という意味の「作業」じゃなくて、「活動」とか「日常の動作」という広い意味の「作業」なんだよ。だから作業療法士さんは、脳卒中で手が不自由になった人が「箸が使えるようにする」練習をしたり、認知症の高齢者さんが「日付がわかるようにする」活動をしたり、発達障害の子どもが「人間関係をうまく作るための遊び」をしたりするんです。つまり、体だけの回復じゃなくて、心や頭や社会での活動まで含めて「その人が自分らしく生活できる状態」に持っていくのが目的ってわけ。
「作業」=仕事じゃなくて「日常の活動全般」。食べる・着る・遊ぶ・働く・学ぶ・人間関係、全部が対象です
⚠️ よくある勘違い
→ リハビリは医学的な治療全体の大きな概念。理学療法(歩く・走る)、作業療法(生活の動作)、言語療法(話す・飲み込む)とか、いろんな種類があります。作業療法はその中の一種です。
→ 体力を戻すだけじゃなくて、実生活で困らないようにすることが目的。だから包帯を巻く練習とか、シャンプーする動作の工夫とか、生活に直結したことをやります。
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作業療法は「体の治療」じゃなくて「生活の治療」
作業療法を理解するために、まず「治療」という概念を変えてみてください。普通、病院に行って「治療を受ける」というと、「病気を治す」「症状を消す」みたいなイメージですよね。でも作業療法は違うんです。例えば、脳卒中で倒れた人がいたとします。その人が病院で一生懸命リハビリをして、医学的には「右半身の麻痺が改善した」となったとしましょう。でも、実際にお家に帰ると「ご飯が食べにくい」「着替えが大変」「トイレの後始末ができない」みたいな問題が出てくるんです。そこで登場するのが作業療法です。
作業療法士さんは、その人が「実生活で困っていることは何か」を見つけて、それを解決するための練習や工夫を考えるんです。つまり、「医学的に完璧に治すこと」よりも「その人が生活できるようになること」を目標にしてるわけ。だから「治療」というより「生活支援」に近い感じですね。
具体例を出すと、昔は「脳卒中で麻痺が残ったら、ずっと家にこもるしかない」と思われていました。でも今は、作業療法士さんが「右手は動かないけど、左手とこんな工具があれば、ボタンが留められますよ」「段差は困るけど、こういう道具があれば大丈夫ですよ」って工夫を教えるんです。だから、障害があっても「その人らしい生活」ができるようになるんですよ。
この「生活を取り戻す」という考え方が、作業療法の一番大事なポイントなんです。医者は「病気を治す」、作業療法士さんは「生活を作る」。二つが一緒に働くことで、初めて本当の意味で「健康になった」と言えるんだと思いますよ。
作業療法士さんって何をしてるの?
では、実際に作業療法士さんは何をしてるんでしょう?医者や看護師さんと何が違うのか、イメージを持ちやすくするために、いくつか例を出してみますね。
まず、患者さんの「困っていることをリストアップする」のが第一歩です。病院で初めて会うときに、「退院したら何がしたいですか?」「今、何が一番困ってますか?」みたいに聞くんです。例えば「仕事に戻りたい」「孫と遊びたい」「自分でご飯が作りたい」とかね。そしたら、その人の目標に合わせて、何を練習したら良いか計画を立てるんです。
次に、実際の「生活動作の練習」をします。例えば、手術をして指が不自由になった人であれば:
・お箸でお豆をつかむ練習
・ボタンを留める・外す練習
・鉛筆を持って字を書く練習
・スマートフォンを操作する練習
みたいなことを、毎日少しずつやるんです。ただし「練習」といっても、退屈な運動じゃなくて、「好きなゲームをしながら指を動かす」とか「実際に自分の好物を食べる」みたいに、楽しく生活に近い形でやるんですよ。
それから「生活環境の工夫」も大事な仕事です。例えば、足が不自由になった人に「こういう杖があると歩きやすいですよ」とか「玄関に手すりをつけた方がいいですよ」みたいなアドバイスをしたり、実際に「この階段をこうやって上がると安全ですよ」って教えたりするんです。つまり、リハビリ施設の中だけじゃなくて「お家での生活」を想定した工夫をするわけですね。
あと、認知症の高齢者さんとか、発達障害の子どもさんの場合は「心理的なサポート」もやります。例えば、認知症の人が「今日は何月ですか」って何度も聞く症状がある場合、「カレンダーを見える場所に貼っておく」「毎日カレンダーに丸をつける活動をする」みたいな工夫をするんです。不安を減らして「安心して生活できる環境」を作るわけ。
だから、作業療法士さんの仕事って「医学的な知識」と「生活の工夫」と「その人の心理」が全部必要になるんです。だから4年制の大学で勉強して、資格試験に受かった人しかなれない職業なんですよ。
作業療法が活躍する場面ってどんなとこ?
作業療法って聞くと「リハビリテーション施設」みたいなところだけで行われてるのかなって思いますが、実は結構いろんな場所で活躍してるんです。どんな場面で必要とされてるのか、見てみましょう。
まず「急性期の病院」。脳卒中や心筋梗塞で倒れた人が入院してる時期ですね。ここでは「病気の直後から、できるだけ早く生活を取り戻す準備をする」ことが大事なんです。例えば脳卒中の人が「麻痺した手を動かす練習」をするんですが、その時に「実際にスプーンを持たせて食べる形で練習する」みたいなことをするわけ。そうすることで、その人が「俺、まだ食べられるんだ」って元気が出たり、実際に退院してからの生活をイメージしやすくなるんです。
次に「リハビリテーション施設」。ここは「回復期」って言われる時期に、ガッツリとリハビリをする場所です。1ヶ月とか2ヶ月とか、集中的に練習する。作業療法士さんもいっぱいいて、その人に合わせたオーダーメイドのプログラムを作って、毎日練習をするんです。
「老健施設」(介護老人保健施設)でも活躍してます。ここは「回復のあとも、ずっと生活する場所」なので、「その人がそこでどうやって生活するか」を考える作業療法が特に大事なんですよ。車椅子の操作の工夫とか、トイレの使い方の工夫とか、「そこでの生活を快適にする」ことに力を入れるんです。
「精神科の病院」でも作業療法は重要な役割を果たしてます。例えばうつ病の人とか、統合失調症の人とか、「心の病気」の人の場合、「毎日何もしないで寝てるだけ」みたいなことになりやすいんです。そこで作業療法士さんが「陶芸をしよう」「野菜を育てよう」みたいな活動プログラムを作って、「毎日の生活に目的を持たせる」んですよ。これが心の回復に繋がるんです。
「児童発達支援センター」とか「特別支援学校」でも作業療法が行われます。発達障害の子どもが「生活の中で困ってることはないか」「学校での学習が上手くいくようにするには何が必要か」を見つけて、工夫や練習を考えるわけです。例えば、注意が散りやすい子に「静かな環境を作る」「短い時間で区切る」みたいな工夫をするんですよ。
そして「訪問リハビリ」。これは作業療法士さんが「その人のお家に行く」という形で、家での生活を見ながら「玄関はどうするか」「階段の登り方」「お風呂の使い方」みたいなことを直接教えるんです。これが一番「その人の生活に密着した」作業療法だと言えますね。
作業療法で何が良くなるの?何が難しいの?
では、作業療法を受けることで、実際には何が変わるのか、そして何が難しいのかを見てみましょう。
作業療法の「良い点」は、何と言っても「その人が『生活できた』という実感を得られる」ことです。リハビリって、ときどき「退屈だ」「意味が分からない」って感じることがありますよね。でも作業療法の場合、「好きなことをやりながら」「実生活に直結した形で」練習するから、患者さんが「あ、これなら自分のためになるな」って感じやすいんです。だから、やる気が出やすいし、長く続けやすいんですよ。
また「その人の目標に合わせられる」のも良い点です。医者の治療だと「病気を治す」という一つの目標ですが、作業療法は「仕事に戻りたい人」「孫と遊びたい人」「好きな趣味をやりたい人」とか、その人の「本当にやりたいこと」に合わせて、プログラムを変えられるんです。だから、退院したあと「本当に自分がやりたい生活」ができる可能性が高いんですよ。
それから「生活の工夫」という知識が得られるのも大きい。もし障害が残っちゃったとしても「でもこんな工夫があれば生活できるんだ」って分かることで、その人の心の負担が減るんです。心理的な回復も、すごく大事なんですよ。
一方、「難しい点」もあります。まず「見た目に変わりが分かりにくい」ってことですね。手術だと「傷が治った」って分かりやすいですが、作業療法は「だんだん生活がしやすくなる」って感じなので、劇的な変化が見えにくいんです。だから「本当に効果あるのか」って不安になる人もいるんですよ。
それから「その人のやる気次第」という面も大きいんです。医者の治療だと「薬を飲む」「手術を受ける」みたいに「受け身」でもいいんですが、作業療法は「その人が積極的に活動する」ことが大事なんです。だから、やる気がない人とか、疲れやすい人は、頑張りすぎて逆に体を痛めちゃうこともあるんです。
あと「時間がかかる」ってのも、患者さんにとっては大変なんです。手術だと「一回やったら終わり」ですが、作業療法は「毎日、何週間も、何ヶ月も」続けることが多いんで、患者さんのモチベーション維持が大事なんですよ。
これからの作業療法はどうなるの?
作業療法って、実は日本ではまだ「理学療法」ほど知られていないんです。でも最近「高齢社会」になってきたこともあって、ニーズが急速に増えてるんですよ。
今後、作業療法が活躍する場面は、もっともっと増えると思われます。特に「超高齢社会」になってきたので、高齢者さんが「自分らしく生きる」ためのサポートが必要になってくるんです。それから、うつ病とか引きこもりとかいった「精神的な悩み」を持つ人も増えてるから、「心の健康を取り戻す活動」も大事になってくるんですよ。
それから「テクノロジーとの組み合わせ」も注目されてます。例えば、VR(バーチャルリアリティ)を使った作業療法とか、ロボットを使ったリハビリとか、「ゲーム感覚で楽しくリハビリできる環境」を作ろうっていう動きが広がってるんです。
また「予防医学」の観点からも、作業療法が注目されてます。つまり「病気になってから治す」じゃなくて「元気なうちから『生活の質を高める活動』をしておく」ってことですね。例えば「高齢者が介護になるのを防ぐために、今から『生活に役立つ活動』をしておこう」みたいな形で、作業療法の出番が増えてくるんだと思いますよ。
つまり、これからの医療は「病気を治す」だけじゃなくて「その人が自分らしく、充実した生活を送るためのサポート」がより大事になってくる。そのサポートの中心になるのが、作業療法だと思われてるんです。
